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騎手の成績 2021年4月

春の中山開催が終了し、気が進まない東京開催が始まります。強い馬が普通に競馬して順当に勝つ東京競馬場は、楽しみが少ないですからね。ただ、昨年から続くはやり病による入国制限のおかげで、短期免許組が居ない騎手界隈は非常に興味を引く内容となっています。

https://note.com/boost_quinty/m/m2e15fb7b1501

上記のマガジンでも分かる様に、私は常々、短期免許制度は改正が必要だと主張してきました。ただでさえエージェントの暗躍によって頻繁に行われる乗り替わりがミスを許さない風潮を生み、未熟な若手を萎縮させ、騎乗機会を奪う形になっている現状で、そこに世界で活躍するトップジョッキーを来日させれば、当然、若手はおろかJRA騎手も次々と騎乗馬を奪われる結果となるのは明白だからです。

ところが、はやり病の関係で短期免許組が来日できなくなり、必然的にJRA騎手で競馬を回す事になりました。その結果、短期免許組に回っていた馬が各騎手に分散され、なかなか日の目を見なかった騎手の活躍が目立つ様になりました。

パッと思い付くのが鮫島克横山和、それに当たり年と言われる35期の面々です。特に35期の菅原は、関東騎手の2年目は成績が下がると言われていたものの成績をキープしましたし、岩田Jr、亀田、団野大成は勝ち星を倍増、斎藤新は数字こそ落としたものの同期で最も早く重賞制覇を達成しました。これは短期免許組の不在が大きく影響していると容易に推測できます。

私は、日本人騎手の技術向上に資する目的である短期免許制度が悪いとは言いません。日本人騎手が役に立たないから外国人騎手を傭兵のように招聘して騎乗馬を奪う短期免許制度が悪いと言っているのです。本来の目的である日本人騎手の技術向上から外れるどころか、悪影響となっていますからね。

JRAはこうした現状を鑑み、短期免許制度が日本競馬界や日本人騎手に与える影響を冷静に分析して、日本競馬界に資する短期免許制度を構築してほしいと思います。

なお、私個人は短期免許組の来日数を制限するより、騎乗制限(1日5鞍、特別戦は2鞍を上限)をした方が、現実的に技術向上と傭兵のバランスが取れると思います。さらに、25歳以下を対象にした短期免許枠もあって良いと思いますし、合わせて一定期間以上、継続して海外遠征をした日本人騎手は、帰国後の平場で優先出走権の付与するなど日本人騎手の海外武者修行を支援する制度もあると良いですね。

長くなりましたが、日本人騎手は過渡期を迎えていると思いますし、それを後押しできるような方策をJRA、馬主、調教師、関係者が知恵を出し合って考えていく必要があると思いますね。


ルメールは堅固か?それとも異変か?

さて、4月期の騎手成績を見て行きますが、1位は指定席のルメールでした。1月期から譲らず居座り続けていますが、どうにも例年のルメールとは違います。4月期は9勝に終わり、重賞も未勝利とルメールらしくありません。
特に重賞はフェブラリーS以降15連敗と、ノータイムで頭から外せるほど精彩を欠く内容に非常に不安を覚えます。

ただ、それと同時に安心する自分も居ます。ルメール一強だった時代から群雄割拠の時代へと移り変わるパラダイムシフトになるかもしれませんから。


2位は騎乗停止でお休み中の松山を抜いて川田が帰還。簡単には日本人騎手TOPの座を渡すつもりはないようです。というか、今の川田は手が付けられません。4月期は41戦して15-4-4-18、重賞5勝、内GⅠ2勝、4週連続重賞勝利ですからね。3着内率はルメールの低迷によりトップに返り咲きし、前年比も3月期のワースト1位から4位まで改善しています。ダノンザキッドは残念でしたが、今後も期待できそうですね。


3位は前月2位から陥落した松山です。騎乗停止で2週間の休養中の分、4月期は4勝に終わりました。3月期16勝と合わせて2ヵ月で20勝なので、まぁまぁの内容ですが、リーディングTOPを狙うのであればもう少し上積みしたいところでしょう。まずはデアリングタクトのQE2世Cでしっかりと結果を出しましょう。


4位は一つ落とした福永が入りました。あまり良い印象がない4月期でしたね。9勝したものの重賞未勝利でしたし、大阪杯でコントレイルを飛ばしてしまい、さすが?の福永だと思いました。ただ、高松宮記念のインディチャンプや桜花賞のファインルージュの3着など嬉しい誤算もありましたし、軽視できないレベルではあります。


5位の吉田隼人はジリジリと順位を上げて来たのか、辛うじてキープしたのか微妙なところです。4月期は5勝とリーディング上位らしからぬ成績ですが、GⅠ騎乗のためローカルを回れない日がありましたし、そもそもローカルがない週もあったので、まぁこんなもんでしょう。

また、クラシック初制覇を果たした桜花賞では見事な競馬でしたね。好スタートから内の2列目をキープし、暴走するメイケイエールを先に行かせて4角3番手で足を溜めます。直線入口で外に居たジネストラを弾いて進路を空けると、焦る事なく残り300m辺りから追い出し抜け出すと、後方一気にサトノレイナスをクビ差退けコースレコードで快勝。完璧な競馬でした。これを見ると2冠も期待してしまいます。

6位の幸英明は意外な位置にいますね。5位の吉田隼人から9位の鮫島克まで
5勝差
19位のバシシューまで10勝差と大混戦なので来月には定位置に戻る可能性もありますが。


7位の横山武は言わずもがなですね。皐月賞で初GⅠ、初クラシック制覇を果たした若武者は今年重賞4勝を挙げる活躍。しかも共同通信杯、弥生賞、日経賞、皐月賞と格の高い重賞ばかりという点も評価が高いです。

また、22歳3ヶ月28日でのクラシック制覇は最年少とまではいきませんでしたが、和田の21歳9ヶ月27日に続く史上2番目の若さでの勝利となりました。さらに祖父横山富雄、父ノリさんに続く親子3代によるGⅠ制覇という記録もありますし、ノリさんの予言のとおり、マジでヤバイ騎手になりそうです。

昨年リーディングを獲った事もあり、今年はローカル回りをせず、中央四場で勝負しており、それでいてこの成績ですからね。関東騎手ですし、今後が非常に楽しみです。


8位の田辺は1月期4位から3月期6位、4月期8位と徐々に順位を下げており、中山2開催で4勝と大きくブレーキが掛かっています。ただ、これでも関東リーディングでは3位ですし、2月の開催で7勝を挙げた東京に移って爆発を期待したいです。

あと、皐月賞のタイトルホルダーについて、何度もPVを見直して思うのが、4角で普通に内を空けたのはいかがなものかって事ですよ。真後ろに人気馬が居たのに締める事なく進路を譲れば勝つ可能性は少なくなりますよね?川田はともかく、福永はすぐ隣でしっかりと寄せていますし、仮に田辺が内を締めたら横山武は外に出す、あるいは内が空くのを待つ必要があり、ここまでスムーズに勝つ事はできなかったでしょう。

というか、田辺が勝っていた可能性も少しはあるのですよ?日本はギチギチのタイトな競馬より安全な競馬を優先しますが、それが悪い方に出ているような気もします。だから短期免許組やルメールにバンバン勝たれるのだと、少しは考えてもらいたいです。


9位の鮫島克は田辺とは逆に1月期13位、2,3月期11位からのTOP10入りは十分褒められますね。4月期7勝中5勝が新潟ですが、これも今の自分の立ち位置を理解した上での判断でしょう。昨年やっと年2戦乗る事ができたGⅠも今年は既に3戦騎乗していますし、春競馬でどこまで活躍できるか注視したいですね。


10位の西村も1月期21位だった事を考えると、この位置に居るのは良くやっていると思います。4月期9勝中6勝が新潟と昨年跳ね返された中央四場挑戦は一旦お休みしているようで、横山武と差がついてしまいました。ただ、
先月やっとの事で重賞を勝った後、しっかりと結果を残した点は昨年の鮫島克より評価できます。

関西若手3年目のジンクスも辛うじてクリアしましたし、今後に期待する事は無くても、注視はしていきたい存在です。


入れ替わりが激しいが中身は?

11~20位は入れ替わりが激しい状況となっています。3つ以上の変動があったのは、13位の横山和、14位の武さん、16位の岩田父、18位の戸崎、19位のバシシュー、20位の泉谷の6人です。

まず、13位の横山和は先週4勝を挙げて、前月17位から4つもランクアップとなりました。鮫島克同様、ローカルで活躍して上位にいる騎手の一人です。リオンドール、サンロックランドのように積極的に前に行く競馬が出来る点は評価できますよね。2月の小倉でも同様の競馬を見せていたので、型通りの競馬しかできない奴より信頼できそうです。

14位の武さんは故障で戦線離脱中です。一開催休んでいるのでここまで下がるのもやむなし。5月頭の復帰を目指しているそうですが、早期復帰でバランスが崩れたまま勝てずに凋落していった経験がありますし、万全の状態で戻ってきて欲しいです。

16位の岩田父は前月22位から6つも上げてきました。8勝中7勝がダートという点が目を引きますが、気が付けばあんなに上に居た息子がすぐ上に。そろそろ息子に父の偉大さを教えられるか?!

18位の戸崎は9つも落としましたが、ドバイ遠征があったので自粛含めて3週間のお休みがあったので仕方ありません。

19位のバシシューは約一年ぶりの重賞勝利を挙げましたが、どうも人気馬で2,3着が多いです。上位まで僅差なのでこうした部分を改善できたら、さらに上位に行けると思います。

20位の泉谷はローカル回りで腕を磨いています。前年の勝利数に既に並んだ点は評価できますが、特別戦の勝利は少ないですし、まだまだ数字だけの存在かなと思います。春のローカルでもっと活躍し、夏の飛躍に繋げられるように頑張ってほしいですね。


この中位グループの安定さよ

基本的に安定している中位グループですが、気になる騎手が何人かいます。

21位の浜中は2月の小倉で稼ぎましたが、4月期は3勝に留まりました。武さんの穴を埋めるどころの話じゃありませんでしたね。人気馬の2,3着も多いですし、噛み合ってないなぁという印象があります。

22位のミルコは重賞を勝ちましたが、特に勝ち星が伸びたというわけではなく、毎月、淡々と同じ分だけ勝ち星を挙げています。相変わらず3着内率は高いので、勝ち星よりも中身で勝負する方が良いでしょうね。

25位の団野は4月は未勝利で現在58連敗中とスランプに入ったかもしれません。4/10,11の週は実に7回も2着がありましたし、ちょっと足りないのか、それとも噛み合わないのか。GⅠにも重賞にも乗れているので、期待はしているのですが・・・

あとは32位の亀田、37位の津村、43位の池添、44位のノリさん、45位の荻野、49位の藤田、50位の江田などが順位を大きく上げ下げしています。挙げている騎手のほとんどは新潟で勝ち星を重ねており、この後も続く新潟開催で注目したいところ。

下げてしまった池添はいつも通りでしょうが、ノリさんは騎乗数も絞っていますし、息子の覚醒を見届けて引退なのかなぁ。孫と一緒に騎乗したいという話を信じたいところですが・・どうでしょうか。


古川奈は本物か?

それからデビュー2ヵ月となる新人騎手ですが、中でも高評価を得ているのが古川奈です。既に6勝を挙げ、新人の中ではトップに君臨しており、藤田を越える勢いを見せています。

ただし、これがいつまでも続くとは思えません。6勝中5勝がリーディングトレーナーでもある師匠の馬で全て5番人気以上ですし、兄弟子の坂井瑠星が中東遠征しなければ回ってこなかった馬ばかりです。彼女を持ち上げる記事を良く目にしますが、まだまだ様子見を続ける必要があると思います。

一方、猛蔵は2着の差で小沢に交わされ新人3位に転落。それでも関東の新人にしては良い馬が集まっているように見えますし、ローカルで腕を磨いてほしいですね。

また角田は初勝利から順調に勝ち星を重ねており、3着内率0.215は新人トップの数字です。春から夏のローカルで一気に浮上する可能性もありそうで要注目です。永島は完全に藤田、古川の金魚のフンのような扱いですが、軽斤量を生かして人気薄を馬券圏内に持ってきていますし、それほど人気馬に騎乗していないので、意外と穴場になるかもしれません。こちらも要注目と言えるでしょう。


我らが野中君は・・・

記事を書くのも辛かった我らが野中君ですが、1/11の今年初勝利から92連敗という長いトンネルを抜け、やっと2勝目を挙げる事ができました。翌週にはネイチャーシップで私の未勝利戦予想を粉々に打ち砕く2着ぶっ込みを見せ、さらに翌週、あろうことか14連敗で3勝目を挙げる活躍を見せました。

やればできるじゃねぇか!!


ここまで期待をすれば裏切られ、期待をしなければ結果を残す騎手なんて、私が応援してきた騎手の中には居ませ・・・・いやったくさん居たな。まぁ数字的には新人にも劣る厳しいものですが、それなりに需要も残ってそうなのでまだ応援できそうです。

個人的には東京より新潟に出向いて腕を磨いてほしいところですが・・厩舎関係の事情もあって、それもなかなか難しいのかもしれません。というか、はやり病が無ければ昨年、二度目の海外遠征を視野に入れていたハズですし、今年の夏以降にはやり病が落ち着いたらまた海外に挑戦してほしいと思います。





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