見出し画像

韓国国際競走を見て思う

韓国国際競走のコリアスプリント(G3Ⅲ)・コリアカップ(GⅢ)が行われました。結果は後程書きますが、前提条件をしっかり書いていきましょう。

まず、同競走は2016年に始まりました。格付けはGⅠなんですが、韓国はパートⅡ国ですので、ローカルGⅠ、簡単に言えば国際的にはただOP競走(もしくはリステッド競走)扱いなんですね。その後、2019年から国際GⅢとなる予定でしたが、日韓関係の悪化に伴い日本馬を招待しないことを発表すると、その格付けは取り消しとなってしまいます。

なんでも「国際競馬連盟(IFHA)のThe Blue BookにおけるPart 1のGⅠ~GⅢ付与基準によれば、地理的基準を理由に参加資格を制限するレースには格付けが付与されないと記載されている(No Group/Graded races should have any geographically-based conditions of entry in regard to the place of the horse’s birth,training or ownership.)」らしく、それが理由で格付けが得られなかったようですね。

で、今年は様々なニュース記事でGⅢの表記がありましたが、国際格付けを得られたというソースは見当たりませんでした。韓国のローカルGⅠ(OP競走)なのか、国際GⅢなのか、またはそれ以外なのか。日本の地方交流重賞も国際重賞のように表記する競馬記者たちですからねぇ~大本営の発表のみを信じるのではなく、きちんと詳細を取材してほしいところです。

そんなわけで、ここは国際セリ名簿基準委員会(ICSC)のThe Blue Bookを覗いてみようと思い立ち、Part 1の中にあるOTHER RACES(パートⅠ国以外の国で国際格付けが認められたレース)を見てみると、コリアスプリントおよびコリアカップはGⅢと記載されていました。

画像1

つまり、この同競走は正式に国際GⅢに昇格したということになります。一応、international Cataloguing Standards Bookを2018年まで遡ってみましたが、2019年までは記載が無く、2020年からGⅢとなっていました。同年と翌2021年はレース自体が中止となりましたので、GⅢとして施行するのは今年が初めてとなります。

ただ、総賞金に関しては2020年は10億ウォンだったのが、2021年からは6億ウォンと記載されており、JRAの発表や他のニュース記事とは異なります。おかしいですねぇ~2021年のBookでジャパンCを見ると648,000,00とあり、これは本賞金と出走奨励金の合計額ですから、このBookに記載されているPURSEの項目は総賞金を表すハズです。

また、今年から賞金が上がるジャパンCは、2022年のBookでは864,000,000となっておりますので、この2022年のBookは今年のレースに適用されるもののハズです。つまり韓国国際競走の同項目にある600,000,000は自国通貨ウォンで総賞金を表したもののハズなんですね。にも関わらず、JRAの発表からして違うのは何故なんでしょう。3年振りの参戦となったのでその辺の確認を怠ったのでしょうか。それともBook自体が間違っているのでしょうか。誰か原因を知っていたら教えてください。こういうの気になるんですよ。


さて、長々と書いてきましたが、結果を見ていきましょう。8/28付けの記事で「コリアスプリントとコリアカップが個人的に気になる」と書きました。その中で、

「コリアカップはロンドンタウンクラスの馬で1~2秒の大差をつけるのだから、サウジダービーやユニコーンSで2着だったセキフウでもまぁやれる」

「コリアスプリントはOPやJPNⅢ勝ちしかないグレイスフルリープやフェブラリーSの勝ち馬だが2年間勝ち星のないモーニンが勝つレベルだから、交流重賞のJPNⅢを2つ勝っているラプタスなら十分相手になる」

と評してみたものの、それは微妙な形で崩れました。


コリアカップに出走したセキフウですが、終始2番手を追走したものの最後の直線では苦しくなり、前を交わせず、後ろに差されるという屈辱の結果で3着となりました。鞍上の藤岡康太騎手は「状態は良かった。勝負所で反応が鈍くなるという話だったが、盛り返すファイトは見せてくれた」とコメントしたものの、力負けの印象が強かったです。

一方のコリアスプリントに出走したラプタスは、先手を取って自分の形に持ち込み、直線では迫られてからもうひと伸びしたものの、残り20mほどで交わされ2着。鞍上の幸英明騎手も「一旦突き放せるかと思ったところから勝ち馬がしぶとかった。乗り方ひとつでどうにかならなかったかな、という悔いは残ります。」との事で、ホントそんな感じでした。相手関係やコース形態などをしっかりと把握していたら結果は違ったでしょうね。


そんな2レースを見て、韓国馬のレベルはどんなもんかとイメージしてみます。コリアカップの勝ち馬ウィナーズマンは韓国産の韓国ダービー馬で、今年重賞3連勝しており、コリアスプリントの勝ち馬オマオマは米国産の5歳馬で、1200mの重賞を2勝しているそうです。

そんな馬相手に交流重賞JpnⅡやJpnⅢを勝つレベルの馬で2,3着という結果なので、韓国馬のレベルは韓国GⅠ馬で交流重賞に勝てるかどうか韓国の名馬クラスで地方のJpnⅠで掲示板がやっとというレベルでしょうか。たぶん交流重賞でコンスタントに馬券に絡んだり、JpnⅠで勝ち負けするような馬を状態の良く連れて行ったら圧勝するでしょうね。

なんかそういうの見たなぁ~と思ったら、初期のジャパンCと一緒ですね。最初にボコボコにされて、数回経つとちょいちょい勝ったりするものの、地元の名馬がことごとく返り討ちに遭う感じが何とも同じに見えます。

まぁ韓国国際競走はまだ始まったばかりですし、今後どうなるかは分かりませんが、日本馬にとっては9月の美味しいレースであることには間違いありません。古馬にとっては南部杯やJBCで足りない馬、あるいはJBCのステップにしたい馬が狙うにはちょうど良いですし、3歳馬にとっては秋に出走できる重賞が少ないので選ばれれば賞金加算目的で出走するのもいいかもしれません。2024年から10月に移行する予定のJDDのステップには厳しいかもしれませんね。


というわけで、韓国馬レベルには負けてほしくないなぁという気持ちから独断と偏見で書いてきましたが、来年以降はしっかりと日本馬のレベルを見せつけてほしいと思います。また、韓国馬が日本に遠征というのも期待したいですね。日本馬のレベルを思い知って糧にしてくれればと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?