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3歳ダート路線の3冠競走を創設??

JRAとNAR(地方競馬全国協会)は、20日に再来年の2024年から3歳ダート路線を整備すると発表しました。なんでも、現在、南関東所属馬のみが出走できる羽田盃(4月、S1大井1800m)と東京ダービー(6月、S1大井2000m)をJpn1に変更、さらにジャパンダートダービー(7月、Jpn1大井2000m)を10月に移行した上で三冠競走とするそうです。

それに伴い賞金も増額するとの事で、羽田盃は1500万円増の5000万円、東京ダービーは倍増の1億円、ジャパンダートダービーは1000万増の7000万円となり、さらに三冠ボーナスは8000万円にもなるそうです。

また、兵庫チャンピオンシップ(5月、Jpn2園田1870m)も距離を1400mに短縮して短距離路線の頂点を決めるレースになり、賞金も500万円増の4000万円に変更し、ついでに2歳秋から3歳春にかけて「高額賞金」の重賞級認定競走を新設する予定とのことです。


なんだかスゴいニュースが飛び込んできましたね。このニュースを聞いて最初に思ったのは「ROAD TO THE KENTUCKY DERBY どうなんの?」です。確かにね、若駒のダート路線って重賞が少なく、なかなか寂しいもんですよ。2・3歳の重賞とOP戦は以下のとおりです。

2歳
10月エーデルワイス賞   (JpnⅢ 門別D1200m)
11月JBC2歳優駿      (JpnⅢ 門別D1800m)
  兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ 園田D1400m)
  ★カトレアS       (OP  東京D1600m)
12月★全日本2歳優駿     (JpnⅠ 川崎D1600m)

3歳
2月★ヒヤシンスS      (L   東京D1600m)
3月昇竜S          (OP   中山D1800m)
   ★伏竜S         (OP   中山D1800m)
5月端午S          (OP   京都D1400m)
   青龍S          (OP   東京D1600m)
   鳳凰S          (L    京都D1800m)
   兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ 園田D1870m)
6月関東オークス     (JpnⅡ 川崎D2000m)
      ユニコーンS       (GⅢ   東京D1600m)
7月ジャパンダートダービー(JpnⅠ 大井D2000m)
8月レパードS        (GⅢ    新潟D1800m)
★はROAD TO THE KENTUCKY DERBYの対象レース


この他に地方馬限定の2歳OP戦がいくつかありますが、交流戦となるとこれだけなんですね。重賞はユニコーンSとレパードSのみで、残りはリステッド競走が2つと、OPが5つ、交流重賞が7つと数だけ揃えた感じなので、隆盛という観点から見れば物足りないです。だからこそ、力ある馬はケンタッキーダービーへ行け、とROAD TO THE KENTUCKY DERBYを用意したハズなんですがねぇ。

まぁこれがあってもケンタッキーダービーに行く馬がほとんどいませんし、UAEダービーに向かう馬が年々増加していますから、完全に形骸化しているのでしょう。というか、今回のダート路線整備は、2020年に立ち上げられた「ダートグレード競走改善研究会」で検討を重ねてきたそうですが、その辺はどう折り合いをつけようと考えているのでしょうか。

研究会では、若駒のダート馬の目標となるレースの増加、3歳ダート路線の三冠競走の創設、ダート短距離路線の整備、ダートグレード競走の統括的な見直しが検討されたそうです。会見に出席した特別区競馬組合の桑野俊郎事務局長は「現状、各地のダービーシリーズで勝ち上がったダービー馬が一堂に会することがコンセプトの一つとしているジャパンダートダービーに、各地のダービー馬が出走しないことが多い。チャンピオンを明確にするため、JRAの芝クラシック三冠に匹敵する、全日本的な視野で検討された競走体系が必要だと考えた」とコメントしました。

ただ、全日本的な競走体系の整備には至っておらず、単にJpn1を増やしただけのような形に見えるんですよね。JRAとしては「3歳のダート路線は作りたくない、JBCのようにJpn1にすればNARでも拍が付くし盛り上がるだろう、うちで路線整備する必要もないし丸投げだ」と思ってもおかしくないですよね。NARもできるだけレース形態を統一していきたいと思うでしょうし、盛り返した地方競馬をさらに盤石なものにしたいでしょうし。でも、だから賞金を上げます、夏を越した三冠路線にします、これでいいでしょって簡単に決めているように見えるんですよ。

だいたい「JRAの芝クラシック三冠に匹敵する」とか言いながら、三冠全て大井競馬場でやるんでしょ?距離も1800mと2000mなんでしょ?匹敵どころか劣化コピーにもならないんじゃないですかね。せめて二冠は南関四場で行い、残りの一冠を他に持っていくとかできなかったのでしょうか。兵庫チャンピオンシップ(園田D1870m)→東京ダービー(大井D2000m)→川崎or船橋D2400mぐらいにすればまだ理解できますが、一つの競馬場で三冠全てやるってのは無いわぁ~ってみんな思うんじゃないですかね。


それに私は競馬を伝統と格式が重要なブラッドスポーツだと思っており、格付けに関しては明確にしたい派です。2007年に日本がパートⅠ国に昇格し、移行期間を経て、2010年に全ての重賞に国際格付けが得た以降は、しっかりと線引きをするべきだと思うのです。

現状、2011年に国際GⅠに昇格した東京大賞典を除いた交流重賞は、JBCであっても国際的には重賞ですらありません。そのため、JBCをはじめとした地方GⅠは「Jpn1で誤魔化してGⅠだと言われても・・」と冷めた目で見てしまうのですよ。Jpn1をGⅠと認めてしまうのであれば、GⅠ9勝のアーモンドアイよりGⅠ3勝、Jpn1を8勝したコパノリッキーの方が素晴らしいという理屈になってしまうんですよね。かさ増ししてでもアーモンドアイを歴代最多GⅠ勝利=歴代最強とか喚いていたファンの皆様はそれで納得できます?
そんなん言うなら芝とダートは違うとか、国が違うとか、GⅠのレベルがとか、対戦相手がとか、なんでも有りになってしまうじゃないですか。だからこそ国際格付けがあるんじゃないんですかね。

JRAの発表では「ダート競馬の競走体系を整備することにより、高い能力を持った馬がさまざまな適性に応じて活躍できる場を提供し、魅力ある競走を実施することで、ダート競馬のさらなる振興を図り、ひいては日本競馬全体の発展につなげていきたいと考えております。」と仰っていますが、それなら国際格付けの取得を目指した方がよっぽど発展に繋がると思うのですが。

帝王賞やJBCクラシックなどは頑張れば国際GⅠ取得できると思いますし、ぶっちゃけ国際GⅡでも外国馬呼び込めればダート競馬の振興、日本競馬の発展には貢献できると思いませんかねぇ。思いませんかそうですか。

まぁ色々大人の事情があると思いますし、Jpn1からいきなり国際GⅠになれるのかって問題もありますし、そもそもJpn1で十分とか考えているかもしれませんし。ただ、このままならいつまで経ってもダート馬は芝の2軍という立場を変えられないと思いますし、BCを勝つ日本馬が出現したのは良い契機というか、天啓じゃないかと思ったりするんですがねぇ。

とにかく、発表してしまった以上はこのままで行くのでしょうが、まだ2年ありますし、今秋までに再考してより良いダート路線にしてほしいですね。



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