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ドバイミーティング回顧

全く触手が動かなかったドバイミーティングですが、グリチャを見ていた感想という意味で回顧していきたいと思います。


・UAEダービー

まず、UAEダービーから行きましょうか。前走でサウジダービーを辛勝したフォーエバーヤングなど3頭の日本馬が出走した同レースですが、レースを見た限りはフォーエバーヤング強いなぁという印象です。大外枠からスタートして、終始外を回りながら5番手に付け、4角で前を捕まえに行って直線入口で先頭に並ぶと一騎打ちをあっさり制して2馬身差で1着。

あら強い。前に行かせた坂井瑠星は上手いですねぇ。サウジの時は体調一息だと言っていましたが、しっかりリカバリーした今回は全く危な気ないレースを見せてくれました。スタートから出して行ったのに、先に行った3頭には追いつけなかったものの、ペースが落ち着いたら先団に付いてポジションを確保した点はアメリカ向きのような気がしますし、5戦5勝で自信を持ってアメリカへ行けるのではないでしょうか。


・ドバイゴールデンシャヒーン

続いてスプリント戦のゴールデンシャヒーンですが、ぶっちゃけ興味がほぼなかったですね。というのも出走馬がねぇ・・リメイクは重賞2勝馬でJBCスプリント2着、前哨戦のサウジも勝っていますのでまぁ分かります。ただ、ドンフランキーはプロキオンS勝ちがあるものの、前走のフェブラリーSを10番人気9着、ケイアイドリーは地方重賞1勝のみと招待されるレベルじゃないでしょう。応援しようという気にならないんですよね。

レースは果敢に先手を奪ったドンフランキーが直線中頃まで粘ったものの、勝ち馬の強烈な決め手に6馬身も差を付けられてしまいます。2着に死守しましたが、届かない後続もなんだかなぁという感じ。リメイクはイグナイターの斜行の煽りを受けたのは痛かったものの、それでも前には届かなかったでしょう。ダート短距離の一線級ってなかなか育たないですし、このカテゴリーで日本馬が活躍するのは難しいでしょうね。


・ドバイターフ

みんな大好き武豊とドウデュースが出走したドバイターフですが、こちらはまぁネット上で荒れましたねぇ。確かに出遅れたドウデュースは悪いですが、内枠も、すぐに前に取りつく調子の良さも全部悪い方に出た印象で、ぶっちゃけコレは出遅れ以外は騎手の責任ではありません。あの位置から外に出すのはどんな名手でも無理ですし、そういう位置に居たのがそもそも悪いという意見も原因から目をそらすための逆・責任転嫁です。

ダメですよ。原因は原因はでしっかり言わないと。自分(騎手)が悪いと言えば、それ以上言いにくいですし、建設的な議論を放棄するようなもんですからね。まぁ武豊を非難している輩は、叩きたいだけの輩か、競馬を知らない素人かでしょう。

それはともかく、そもそもドウデュースにはドバイターフは合わないと思うんですよね。みんなも思っていたように距離が短いという点は間違っていないと思います。ダービーの後方一気が派手な印象として残っているかもしれませんが、私はドウデュースの強さって京都記念や有馬記念のように自分から動いて消耗戦に持ち込む形だと思うのです。スパッと切れる脚というより、そこそこの速度を持続させるイメージでしょうか。

その強みを生かすには動けるポジションとペース、そしてある程度の距離が必要なんですが、このレースではその全てがありませんでした。仮に末脚勝負が出来るのであれば、ウオッカの安田記念のように進路が空いたら一気に脚を伸ばすことができたでしょう。しかし、このレースではジリジリとしか伸びていませんし、1馬身前に居たダノンベルーガを詰め寄るどころか、逆に離れされていますからねぇ。そういう競馬は合わないことが良く分かります。

この日のドバイミーティングで言うならドバイシーマのシャフリヤールのように、直線入口で後方に差を付けた上で、前を捉えて後ろを抑える競馬だったら違ったと思いますよ。そういう意味ではドバイシーマの方が良かったですね。結果論ですが、短い距離ならせいぜい2000mまでかな。


・ドバイシーマクラシック

そのドバイシーマはまぁ驚きの結果ですし、そうだろうなという納得もある一戦でした。一言で語ればリバティアイランドの底が見え、シャフリヤールの底力が予想以上だったという結論に達するのですが、前に行った1・2着馬が後ろを少し離していましたよね。これで上がり勝負は無くなり、後ろは脚を使いながらポジションを上げ、さらに末脚を伸ばさないといけない競馬になりました。これがドウデュースがやりたかった競馬です。

直線入口で勝ち馬と5~6馬身くらいの差だったリバティは、残り300m辺りでは勝つまでは行かないまでも2着は悠々確保できるくらいの勢いでしたが、残り200mで脚色が鈍り、残り100mでは完全に脚が止まりました。これはそういう競馬でお釣りが無かったわけですが、それにしてもシャフリヤールを交わせないのは期待外れもいいトコです。本質的にどうかというより、最も力を発揮できるのは2000m前後で、2400mを走るなら東京競馬場限定ではないでしょうか。欧州競馬はもちろん、香港だって怪しいと思いますよ。

逆にシャフリヤールはノド鳴りの手術後は力を取り戻した感じです。プリンスオブウェールズはだらしないと思いましたが、天皇賞・秋、札幌記念、有馬記念も理由付けができますし、古馬になっても力が衰えているような印象を受けませんでしたけど、ただ、ここまでやれるとは思いませんでしたね。BCターフもそうですが、こういう競馬が合っているのでしょうし、そういう競馬に持ち込めればリバティにも勝てる馬だとすれば、シャフリヤールが強いのかリバティがそうでもないのか、難しいところです。

また、ジャスティンパレスも思った以上に競馬でした。物差しから考えれば頑張ってもリバティとどっこいどっこい、普通にやれば1~2馬身差くらいだと思っていましたが、結果はクビ差。国内に残っても大阪杯は難しかったでしょうし、天皇賞・春連覇のチャレンジと比較すれば悪くない挑戦でしたね。


・ドバイWC

今年はどうしようもないですね。勝ち馬が強すぎました。先手を取った馬が芝並みのペースで進み、そのまま押し切ったわけですから普通のダート馬では太刀打ちできないでしょう。ウシュバテソーロはいつもの競馬で、前走のサウジCで敗れたセニョールバスカドールを競り落としたまでは良かった、という感じでしたが、今日はどんなに頑張ってもノーチャンスでした。

にしてもウシュバテソーロは次はどうするんでしょうかね。昨年は使い詰めで来たので半年ほど空けてましたが、今年は余裕がありますし、帝王賞当たりで復帰するのでしょうか。秋には再びBCクラシックに挑戦するようですが、脚質的にアメリカの競馬は合わないでしょうし、復帰戦は悩みますね。


・まとめ

というわけでドバイミーティングを見てきましたが、ドウデュースもリバティアイランドも残念というか拍子抜けした感がすごいですね。前者は力負けではないと言えますが、後者は力負けですしねぇ・・・次をどこにするかでジェンティルやモアイクラスになれるか、アパパネやデアリングタクトクラスに落ちるのか、分水嶺になりそうです。

それから、勝てはしませんでしたが、日本馬が各レースで馬券に絡む活躍を見せた点は日本馬のレベルの高さを見せたとは思います。ただ、それは特定の場所での話で、いわゆる競馬の本場である欧州やアメリカに乗り込んで勝てるかと言えばそうでもありませんし、そもそもそうした挑戦すらありません。特に欧州は、競技が違うと言われるほど馬場が違うため、日本馬が活躍するのは難しいでしょう。

そうした本場での活躍が無ければ、結局は井の中の蛙で終わってしまうわけで、それは血を残すという競馬の根幹において致命的な問題になると思うのですよ。イクイノックスのように、いくら国内で無双してもじゃあ外国馬と比べて強いのか、と言われれば分からないと答えるしかありませんからね。

国内のGⅠ最多記録に挑戦するなり、更新するなりすれば多少は評価も変わるでしょうが、それもないのであれば振り返った時にその馬をどう評価していいか分かりません。そうならないように様々な場所でのチャレンジが必要ですし、それが欧州やアメリカだったらより明確になるでしょう。できることならそうなるように願っています。


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