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SCOM Ultra 45/45(Rim brake)使用レビュー

以前に投稿した「SCOM Ultra 49/67(Rim brake)」のレビューに引き続き、SCOMWHEELS JAPAN様より、「SCOM Ultra 45/45(Rim brake)」のテストレビューをご依頼いただいた。

【SCOMWHEELS JAPAN】
https://x.com/scomwheelsjapan?s=20

【SCOM 公式HP】
SCOM Ultra – SCOM (scomsports.com)

SCOMのブランド概要や商品シリーズについては、上記記事をご参照いただきたい。


スペック


49/67は、
・1440g
・21mm Internal / 28mm External rim width
であったのに対して、
・1280g
・19mm Internal / 26mm External rim width
と、重量が160g軽量となっている。
また、リム幅も、内幅、外幅共に45/45の方が狭くなっている。
これはおそらく、リムハイトごとにエアロ効果が最適になるように設計されたものであろう。

ホイール写真


前輪
後輪
ゼロコーティングリムの無骨さがえちえち
ロゴはシックな感じ
全体写真
ELVES白抜きロゴとの相性が抜群

なお、私がもう1台所有している、2013年式のTREK SPEEDCONCEPTには、このホイールは取り付けができなかった。
理由は、ハブがワイドな設計となっているため、ハブの外端とフォーク内側が干渉してしまったためである。

おそらく、近年(といってもリムブレーキは新モデル自体2020年以降はどこのメーカーも出していない気もするが)のモデルでは、そのような問題は生じないと思うが、
2010年以前のモデルや、TTバイクのようなフレームとホイールの幅が狭いものは、私と同様の問題に直面する可能性があるので、注意が必要である。


使用レビュー

全体感

リムブレーキなのにガチガチの剛性が際立つ。
空力・重量・掛かりの良さどれをとっても一級品で、レースでの使用には最適の機材となり得るが、ゆっくりペースのロングライドには身体への負担が気になるかもしれない。

平坦

漕ぎ出しの場面では、重量的なメリット+掛かりの良さが際立ち、これまでに乗ったどのリムブレーキバイクよりも最速で高速度域まで乗せることができる。

巡航速度(35km/h以上)の維持という面においても、全く苦にはならない。

単独(あるいは先頭)で平坦巡航しているときには、SCOM Ultra 49/67(Rim brake)と比較すると、やや速度の維持に力を使う印象があるが、これは、一定ペースでの平坦巡航は、エアロ性能がほぼ全ての要素となるため、仕方のないことであろう。

むしろ、瞬間的なスピードアップに優れているため、「人の後ろについて巡航しているとき」には、SCOM Ultra 49/67(Rim brake)と比べても、結果的に楽に走行できるような印象を受けた。

また、全体重量はかなり軽量であるものの、リムがいたずらに軽いわけではないこともあり、軽量ホイールにありがちな、「平坦で全く伸びない」という印象は全く受けない。これもポイントである。

【まとめ】
他の50mmハイトホイールと比べると、平坦におけるこのホイールの良さは「加速の早さ」にある

登り

正直な感想としては、登りでこのホイールの良さが際立つ、ということまでは感じなかった。

というのも、登りにおいては、全体重量リム単体での重量がより登坂タイムに影響するものと考えられる。

私自身、リム単体での重量が軽い(330g台)ホイールをヒルクライム用に所有していることもあり、どうしてもそことの比較になってしまうのだが、外周部が超軽量というほどではないため、登りで軽い!という感動まではなかった。

もちろん、登りで遅い、ということでは全くない。
むしろ、リム重量が軽いホイールと比べると、平坦での速度は圧倒的に速いため、緩い勾配では、こちらの方に軍配が上がるような印象。
富士ヒルくらいなら、こちらを選びたい。

スプリント

残念ながら、レビュー期間内に何回もスプリントを試行する機会があまりなかったのだが、主な試行場面としては、30秒程度の登り勾配スプリント(出力で言うと、600~800wの範囲内)である。

SCOM Ultra 49/67(Rim brake)で抱いた印象とは、少し違った。

どちらも、全く力が逃げない、という点では変わらない。

SCOM Ultra 49/67(Rim brake)は、ホイール自体が真っすぐ進もうとする力が強く、スプリントをしても、バイクが全然揺れずに、どっしり進んでいく印象があった。
いうなれば、シッティングの延長線、といった感じであろうか。

他方、こちらのSCOM Ultra 45/45(Rim brake)は、踏んだらその分パーンと弾かれるような、そんな横剛性の高さが全面に出ているような印象であった。

50km/h以上で最高速やセグメント全体での速さを競うようなスプリントなら、SCOM Ultra 49/67(Rim brake)の方を選びたいが、少し勾配のあるスプリントや瞬間的な加速を競うようなスプリントでは、SCOM Ultra 45/45(Rim brake)を選びたい。

まあ、私が主戦場にしているトライアスロン(しかもミドル~ロング)では、そんなシチュエーションは来ないんだが(笑)

その他

縦剛性、横剛性いずれも高いので、正直に言って、乗り心地はあまりよくない。

200kmを超えるようなロングライドや、せいぜい30km/h程度でのサイクリングでは、あまりこのホイールの良さを感じることはなく、むしろ、デメリットの方が際立ちそうだと感じた。

このホイールが活きる場面は?

以上を簡単にまとめると、
【強み】
①35km/h以上に至るまでの加速の早さ
②瞬間的な加速
【弱み】
①乗り心地

であろう。
加減速が繰り返されるクリテリウムが(特に大磯とか)、このホイールが一番生きる場面ではなかろうか。
また、全体としては平坦基調であるものの、勝負が掛かる登りがあるようなレース(近くのレースでいうと、秩父宮杯とか?)も、このホイールの良さが最も活きる場面ではないかと思われる。

他方、単調かつ勾配のきついヒルクライム(乗鞍とか)や、終始高速度域で展開されるレース(エンデューロ)では、それに特化したホイールの方が速いかもしれないが、それは単に「特化したものよりは劣る」というだけであり、どのようなレースシチュエーションでも特にネガなく使える、オールラウンドな性能に有していることは間違いないだろう。


おわり



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