街の平和 アイラブ漫画喫茶。#2
印象に残っている漫画喫茶のことを、思いついたときに書いていきたい。
よく通っていたり、好きだったりする漫画喫茶はいくつかあるが、その中でも一番好きな某店。
このお店、近所のおじさん(おじいさん)たちにめちゃくちゃ愛されているのである。
おじいさんたちは、店に行くのが日々のルーティーン。ゆっくり歩いてやってきて、朝食をとり(もしくは昼食もしくは夕食)、またゆっくり歩いて帰っていく。
常連ぶりが極まっているから、だいたいはメニューも見ずに、
「きょうはカレーね〜」とか、
「寒いから中身汁にしようかな」とか、
「なすみそ、あるかねぇ」とか言えば、
「あいヨォ」
と、秒でオーダーが完了である。
店員さんに「何食べようかねぇ、あんたが決めて」というおじいさえ見たことがある。
おねえさん「ランチのチキンがひとつ残っているよぉ。それにする?」
おじいさん「ん〜、今日はあんまり入らないなぁ」
おねえさん「だったら野菜にするぅ?」
おじいさん「うん、野菜ならじょうとう」
おねえさん「あいヨォ。塩は薄めね、ごはんも半分ね。コーヒーじゃなくてあったかいお茶にしようねぇ」
おじいさん「はいはい」(漫画ゴラクを手に取りながら)
もはや管理栄養士。おじいの健康は漫画喫茶のねーねーが守っている。
で、すでにおわかりかもしれないが、このお店、働いている店員さんたちが、ちょっと驚くくらいフレンドリーというか、ホスピタリティーがマシマシなのである。
お客に呼ばれたら魚河岸のように「あいヨォ!」と元気がいい。
コーヒー・ティー・コーラのいずれかが食事についてくるのだが、まーた、それだけでは終わらないんだな。
客に子供がいるのを見つけると、そそくさと近寄ってきて
「カルピス飲むぅ?」と尋ねてくる。
「アッはい」唐突で戸惑う子供。
運ばれてくるカルピス。
おねえさんは言う。
「ちょっと、こゆく作ったから、おひや足して薄めてたくさん飲んでねぇ」
「アッはい」
ときには尋ねられもせずにカルピスがやってくることさえある。大好きなカルピスを飲みながら漫画を読めるということで、子供でさえもすっかり虜。もちろん別料金などはとりません。
今どき、いろんな事情で、自宅で食事ができない人もいるはずで、こういうお店がちゃんと開いているというのはなんというか、たいへんに社会福祉っぽいと思う。
メニュー通りのサービスだけじゃなく、客の好みに合わせることで、安心感とちょっとした楽しさをくれる。
漫画喫茶よ、これからも街の健康と平和を守ってくれ。(え)