乙女のポリシー

10cmくらいで済むと聞いていた手術の傷は、鳩尾から臍までを縦に綺麗に突っ切り、15cmの傷となっていた。あとは腹腔鏡の穴が二つ。
仰向けに寝ているだけでも痛む。かといって横向きにもなれない。夜中何度も目が覚める。
私の肝臓は検査結果よりも状態が良好だったらしく、私の執刀医にも夫の手術チームにも「いやあ立派な肝臓で」と会うたびに言われて、妙に照れてしまう。手術前にレバーをよく食べていたのがよかったのかもしれない。体格が良くて得したことも特になかったが、夫にあげられるだけの肝臓があってよかった。(基本的に体格と肝臓の大きさは比例するらしい)
元々よく食べるほうだったので、肝臓の7割を失ったため急な食欲減退に追いつけず、毎食首をかしげながら満腹になってしまう。白飯150gを完食できないなんて・・・そして、病院の食事は不味くはないが薄味で歯応えがないので二郎系ラーメンが食べたくて仕方がない。入院前に行っておけばよかった。また野菜マシアブラマシニンニクカツオをぺろりと食べられるようになりたい。

夫は今日もあまり具合がよくなさそうだったが、ICUを出てHCUに移動になり、やっとスマホで連絡がとれるようになった。嬉しい。私は火曜日に退院が決まり、またしばらく夫と会えなくなる。
たくさんタンパク質をとって、早く元気になってバイトにも復帰したい。作って店に出したい料理がたくさんあるんだ。

大学の後輩に一緒に行こうと誘われていた冨樫義博展とセーラームーン展、昨日みんなで観に行っていたみたい。なんか、それを教えてもらっただけでだいぶ満たされた気持ちになったな。持って来ていた小さなメモ帳に、病室のテーブルでセーラームーンを描いた。いつだって、愛する人のために戦っていたい。

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