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世界競馬 白熱の一週間【おそらく聞いたことがない話】

1ヶ月ほど前の記事にて、日、英、仏の各国ダービーに産駒を同時出しすることとなったディープインパクトの快進撃について触れた。

競馬ファン、競馬関係者大注目の各レースが終わったので、今回はその結果を振り返ろうと思う。

【日本ダービー】(5月27日)

本命に推されていたダノンプレミアムは6着に惨敗。しかし、3頭出走していたディープインパクト産駒の1頭、ワグネリアンがゴール前の接戦からしぶとく抜け出して優勝。日本でのディープインパクト勢の層の厚さをあらためて感じさせる勝利だった。

【イギリスダービー】(6月2日)

こちらも本命のディープインパクト産駒、Saxon Warrior(サクソンウォリアー)が4着に敗戦。勝負どころで前の馬が壁になり、進路の確保に手間取ったのが痛かった。勝ったのはMasar(マサー)という馬で、イギリス・アイルランドの首位種牡馬Galileo(ガリレオ)の孫である。やはりイギリスはGalileo系のホームグラウンド。壁は厚かった。Masarの馬主はドバイ首長国のシェイク・モハメド殿下。前走のイギリス2000ギニーでSaxon WarriorとMasarは対戦しており、そのさいはSaxon Warriorが1着、Masarは3着だった。ライバルである。

【フランスダービー】(6月3日)

アイルランド生まれのディープインパクト産駒、Study Of Man(スタディオブマン)が2番人気で出走。レースは大混戦。各馬譲らずのデッドヒートが繰り広げられた。いちど勢いを失ったようにみえたStudy Of Manがゴール直前で再加速。力強い末脚を繰り出して勝利をつかんだ。3着にはGalileoの孫、Louis d'or(ルイドール)が入っている。

というわけで、ディープインパクトの子どもたちは、英ダービーSaxon Warriorこそ4着に終わったものの、日本ダービー、仏ダービーを同一年勝利。十分に存在をアピールした。また、Saxon Warriorの次走はアイルランドダービーとのこと。雪辱できるか。ところで、気の早い話ではあるが、ここまでの戦績だけでもSaxon Warrior、Study Of Manともに引退後は種牡馬となることがほぼ確定したと言ってよいだろう。欧州でディープインパクトの血がどのように継承されてゆくか、10年後が楽しみだ。

【安田記念】(6月3日)

そしてもうひとつ。欧州競馬で大帝国を築いているGalileoの一族について。本コラムでは各国のダービーに注目していたが、仏ダービーと同じ日に、日本で開催された安田記念というG1レースにて、モズアスコットが優勝。じつはこの馬、Galileoの最良の後継者として名高い、生涯成績14戦無敗のFrankel(フランケル)の息子なのである。モズアスコットは、アメリカで生まれ、日本に輸入された、日本所属馬である。

同じように、日本所属馬として活躍しているFrankel産駒には、G1を2勝している牝馬のソウルスターリングがいる。私はこの馬のファンだ。すらっとしていて非常にきれいなサラブレッドだ。

ディープインパクトの欧州での躍進と歩調を合わせるかのように、Galileo系サラブレッドによる日本進出も始まっていて、その強さを日本で堪能することができるのだ。10年ほど前は、日本の競馬血統は欧州、米国のトレンドとは切り離された、鎖国状態に陥っていた。その風潮が変わりつつある。Galileoの子孫たちには、これからもどんどん日本のレースで暴れまわって欲しい。そうすれば日本の競馬もがぜん面白くなってくる


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