見出し画像

タイブレークは高校野球を熱くさせる!

2017年9月に日本高校野球連盟は、2018年の春のセンバツ高校野球にてタイブレーク方式の導入を発表。
翌年の2018年1月には、2018年の夏の全国高校野球選手権大会でもタイブレーク方式を導入することを発表しました。

そして、2018年8月6日の第四試合で甲子園初のタイブレーク方式を適用した試合が行われ、100回大会の歴史の1ページに刻み込みました。

甲子園で初タイブレーク!100回目の夏に佐久長聖が歴史的1勝
https://www.sanspo.com/baseball/news/20180807/hig18080705050014-n1.html

・タイブレークとは!?

「同数均衡 (tie) を破る (break)」という意味の言葉で、均衡した試合を崩すためのルールです。
野球におけるタイブレークは、延長戦などにより長引く試合の短縮のため、最初からランナーがいる状態で延長戦を始めるルールです。
日本のプロ野球では導入されていないので馴染みがない人が多くいると思いますが、国際試合であるWBCや社会人野球ではすでに導入されているルールでした。
主なルールとしては、“無死・一塁二塁”や“1死・満塁”の状態で延長を始めるというルールが大半です。
延長も12回から始めるルールもあれば、延長になった10回からすぐにタイブレークの状態から始めるルールなどあります。
高校野球では、開始イニングは延長13回から、“無死・一塁二塁”の状態でスタートするというタイブレークのルールになりました。

・なぜ高校野球でタイブレーク?

今回、高校野球で導入した理由は高校生の怪我の予防です。
元々高校野球は延長回数の制限がありませんでしたが、ゆで卵で有名な板東英二投手が四国大会にて
延長16回を投げぬいた翌日に延長25回を投げぬき、二日間で41イニングを一人で投げきりました。
一人の高校生にこんな負担を与えてはいけないということで
「延長18回を終えて同点の場合は、その時点で試合を終了し後日再試合をする」というルールを決めました。

そこから40年ほど延長18回ルールが適用されるのですが、よく甲子園の名試合としてあげられる。
横浜高校vsPL学園の延長17回、松坂投手が250球を投げぬいた試合。
松坂投手の熱投ぶりが感動を呼びましたが、同時に議論を呼び
2年後に延長15回再試合制度に制定されます。

こうして高校球児の負担軽減のため、“無制限試合→18回制度→15回制度”と短くなっていったのですが…

記憶にもまだ新しい
斎藤佑樹vs田中将大の甲子園決勝、延長15回引き分け再試合を投げ合うという死闘を演じます。
(再試合の田中将大は1回途中からリリーフ登板)
この二人の熱投も感動を呼び起こしましたが、こちらも同じく議論を呼んでしまいます。

それ以降も、延長15回引き分けの試合は何度か発生しました。
そして極めつけは、2017年の春のセンバツ高校野球で、二試合連続引き分け再試合という事態が発生します。
この事態を受けて、日本高校野球連盟は以前から検討していた“タイブレーク制”を導入することを決めました。

色々言われている高校野球ですが、きちんと生徒の身体のことを考えて定期的にルールを改変していたのです。

・タイブレークは本当に負担は減るのか?

ランナーがいるので、確かに点が入りやすくなり、試合が均衡して延長15回以上まで続くことは減ると思うので
間違いなく投手の投球数は少なくなり、負担はかなり軽減されると思います。

しかし“タイブレーク”実は意外な落とし穴があります。
タイブレーク制になると試合の終わりが、15回・18回という制度がなくなり無制限になってしまうのです。
下手したら、延長50回!などの試合が出てくる可能性もなくはないです。
ほぼ無いとは思うのですが、もし起きてしまった場合、また新たな議論を呼ぶことになると思います。

・投手の負担軽減にはタイブレークしかない?

投手の負担を減らすのであれば、WBCのルールで採用されている球数制限ルールがあります。
簡単に説明すると、先発投手が100球超えたら次の試合に登板出来ない。ただし99球以内で降板すれば、次の試合も登板できるといったルールです。
この場合、連投でとんでもない投球数を投げる投手が、間違いなくなくなります。
ただその分、投手の数が必要となるので部員数が少ない学校は不利になり、結局強豪高ばかり強くなる可能性が出て来ます。
しかし、普段日の目を浴びなかった5番手投手や6番手投手も活躍できる場が増えるので、意外な1年生投手が出てくる可能性もあります。
とはいえ、強豪高有利には変らないので、やはりタイブレーク方式の方がどの高校にも均等なルールと言えます。
春夏の甲子園ではなく国体の高校野球などで球数制限のルールを実験的に採用していただきたいです。

・タイブレークで負けた高校がかわいそう?

タイブレーク方式の話をするときに、“サッカーで言うところのPK戦みたいなこと”と説明する場合がありますが、これは大きな間違いです。
PK戦は、もうサッカーではなくほぼ運のような駆引きゲームになります。
しかし野球のタイブレークは、運要素ではなく、ミスなどが許されないシビアな実力を試されるゲームになります。
タイブレークのルールですが、上記に記載した以外に“少年野球”にも適用されています。
(球場に照明設備がなかったり、1日3試合したりするため1試合の時間が短かったりするため。)
筆者も少年野球をやっていたため、このタイブレーク制のルールで何度も戦ったことがありますが、均衡した延長戦を戦うよりも、タイブレークの方が刺激的で楽しい!面白い!と話すことが多かったことを記憶しています。

タイブレークが適用された試合で負けた時に「タイブレークなんて無ければ…」なんて思ったことは一度ありませんでした。
むしろ、このルールのおかげで戦略性が高まるので延長戦の戦いがかなり熱くなります!

・タイブレークのデメリットは?
最後になりましたが、タイブレークのデメリットは上記に記載した
“試合の終わりがなくなり、回が無制限になってしまう。”
ということがあるのと、これは経験からの観測になってしまうのですが
“後攻の方が若干有利”
だと私は思います。
なぜなら、“無死一塁二塁”のルールの場合、定石としては送りバントをして
1死二塁三塁にして攻撃をするという手順になるのですが
もし表に5点という大量点を取られた場合、後攻は送りバントをせず強行で攻撃をするという手段を選ぶことが出来ます。
これは先行の点次第で、攻撃手段を変えることが出来るので後攻が若干だけど有利になるのでは?と思っています。

しかし、高校野球において後攻が有利という状態は…ドラマを呼ぶ可能性があるので…熱い展開が期待できるかもしれません。

ちなみに高校野球の決勝戦ではタイブレーク方式は採用されず、延長15回再試合方式のルールですのであしからず。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?