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【30分4000字チャレンジ】仕事でのコミュニケーションのやり方

コピペなし。考えてある文章を横目で見るのもなし。
とにかく30分で4000字が書けるか挑戦する。

◆線から線の間の文字数(改行と空白は除きます)
 結果:4186文字!(線から線の間です)

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テーマ:コミュニケーションスキルの上達方法

一口にコミュニケーションスキルといっても、日常語であるなら当然含んでいる多義性が問題になる。単に「雑談がうまい」「人を楽しませる会話が出来る」といったことから、「業務上のホウレンソウがうまい」「効率的に重要な情報をかいつまんで伝えられる」といったやや「仕事」的な側面が強いものもある。

大学生以下の年代層では、比較的、飲み会とかサークルとかの事情によって前者が重視されがちではあるが、会社などに所属した後で問題になるのは、どちらかというと後者のほうである。それくらい、会社における情報伝達能力(コミュニケーション能力)の巧拙の差は著しい差になる。

例えば、私はクソ民間企業に所属しているが、「基本的にコミュニケーション能力はない」と前提したほうがいい。これは私がコミュニケーション能力がある」と認める条件がきついこともあるが、それにしても出来ていないのも事実である。

実際こうした場面によく遭遇するのではないだろうか(ここではgoogleとか超すごいところにいる人は想定していない。ごく一般的な中小企業、偏差値45~55の人がいて、たまに60の人もいるけど70とかはいないような企業の世界である)

こういう層を持つ企業の中で、ちゃんとしたコミュニケーションが取れる人は極めて乏しい。まず話が長い。長い上に意味がわからない。「要点に絞って述べる」ということがとにかく出来ない。たとえばこんな調子である。

「さっきお昼ごはんを食べている時に、製造課のAさんとお喋りすることになったんですよ。それで、向こうが人員不足で大変だって話があって、そりゃそうだろうなあと最近辞めている人も多いしと思いながら聞いてたんですけど、どうもそれだけじゃないらしくて、どうやら最近ラインの製造工程で大きなトラブルがあって、出荷できないような製品を大量に作っちゃったらしいんですよ。それで、品質管理課のボルボラさんにぜひ来てもらえないかって打診がありました。ボルボラさん、今日の夕方の17時からって時間、空いてます?」

これはまだしも「時系列では並んでいる」という時点でマシな情報伝達の在り方である。しかしながら、前半6割くらいの情報がまったく不要であることは、賢明なる視聴者・読者ならすぐに気づいて頂けるだろう。そして、こうした情報伝達の形式は、えてして、仕事で忙しい人間をたいへん「キレさせる」ものであることも、ここで強調しておきたい。

というのも、この話の冒頭は、あくまでも「雑談」というタグ(動画とかによくついてるあの「タグ」だ)がつけられざるを得ないような内容である。ふつう「昼飯の席で話題になった」と言われたら、つまらない家庭の事情が披露されるか、単なる愚痴か、とにかく「業務上の対応の必要はないもの」というカテゴライズをする構えになるのが普通である。

しかし、後半部を聞いていくと、どうもそうでもない。「製造工程にトラブル」という、なんだか嫌な情報が突如としてもたらされる。「もしかして、俺(品質管理課)も対応しないといけないのか?」という気持ちがここでようやく発生する。「雑談だろうと思って脳のリソースを2割くらいしか割いていなかったが、もしかして8割以上使って聞いてないとまずいんじゃないか?」という危機意識が生じる。

そしてその危機意識が的中する。私(の所属する部署)の判断がどうやら「本日17時」というめちゃくちゃ直近の期限までついて求められているようなのだ。ここで言いたいのは、まずこれである。


それを最初に言え!!!!!!!!


雑談ベースだと思って流していたら、ふと重要でクソ緊急なことがもたらされる。あるいは、逆のパターンもある。いかにも重要で緊急そうな冒頭部から始まって、中身をよくよく聞いてみると、最終的には「新しく配属になった転職組の上司の顔が気持ち悪い」「席替えをしてほしい」という至極どうでもよいものになったりするのだ。ちなみにこのときは「新しく設立する予定の工場の是非について」といういかにも重要そうな冒頭から始まった。しかし帰着点は「上長の顔がキモイ」だったのである。


それを最初に言え!!!!!!!!


これは「コミュニケーション能力が低い」という様々な意味を持ちうる発言のうちの、あくまでも1種類に過ぎないが、それでも「最多の最悪コミュニケーション」っとは言えると私は考えている。

ちなみにこういう「判断を要する、重要なことから先にいえ」ということの大事さは、私は会社員生活に入る前に何かの書籍で読んだ。書籍のタイトルは忘れたが、たしか医師が書いていたものだったと思う。記憶だけで抽出するが、「私が医師として配属された病院では、まず看護師たちに求めることがある。それは発言する最初に『タグ』をつけてもらうということである。決して時系列で物語として語るなとも言うが、とにかく「タグ」が大事だ。この場合のタグというのは、たとえば「急患です」といったことだ。急患の対象が何時に運ばれてきたとか、年齢は性別は既往歴はということは後で良い。急患であることが分かれば、とにかく最初にやらなければならないことは、その患者の元へと走ることである。こういう具合に、いくつか「タグ」をこちら側で設定し、それを徹底してもらうようにしたら、内部の情報伝達、コミュニケーションはかなり上手くいくようになった」とかそういう報告だったと思う。これがどこまで本当なのか、書籍名すら忘れた今の私には検証することもできないが、少なくとも簡単には捨てられない有用な意義を含んでいるものと思う。

目的性の強い、弱いによって、「コミュニケーション」は分割できる。飲み会での雑談トークは目的性がゆるく、そのため、「どういったコミュニケーションの方法が適切か」も少しブレやすい。一方で、目的性の強い場面、上記で述べたような病院はもとより、通常の民間企業であっても、何に時間を使わなければならないか、それは重要なのか、重要であるとしても「緊急」なのか、といった情報は、まっさきに伝えられないとその後の対応で大きな遅れが生じかねない。「大きな遅れ」がビジネス上で非常に「大きなダメージ(損失)」に化けるのは、何も経済学やらその他色々を勉強していなくても分かることである。

では、「適切な」コミュニケーションはどうあるべきか? 「時系列」=「物語調」が大きな問題を抱えているのは以上で述べた通りである。では適切とは? それは「判断要望事項(目的)→判断の根拠となる事実の紹介(背景紹介)」などが候補になるのではないか。このあたりはまだ私も明晰に言語化できていないが(ほぼ感覚的にやっている部分もある)、最初にやってみてその後改善していく「叩き台」にはなると思う。

これに基づいて最初の文章を組み立て直すなら、

「品質管理課として判断が必要な案件が発生して、本日の17時の会議への参加が必要です。案件というのは、製造工程のライントラブルです。まず、この会議に出席が可能でしょうか? 可能であれば、とりあえず今までに知られているライントラブルに関する事実情報について説明します。……いけます? いけるなら、歩きならいきましょう!」

これでイライラ度はかなりマシになる。ていうかこんな喋り方を弊社の全員がしてくれたら、それだけで企業としての利益が5倍くらいになりそうである。ごめん。5倍はさすがに適当に言ったけれども、有益な働きは期待してもいいのではなかろうか。

みなさんも「時系列、思いついた順番」ではなく、「伝わる順番」を工夫してコミュニケーションをやっていきましょう!

もちろん、重点を見分けてそれを先に伝えるというのは、意外と簡単ではない。「意識したら明日から出来る」というものではない点、先に伝えておきたい。というのも、人間の記憶というものは、やはり時系列に沿ったエピソード」として記憶され整理されているものだからである。大体の人は、「エピソード記憶」として残っているものを、そのまま「エピソード記憶」として語ることがどうにかできるだけで、時系列のエピソードをいったん崩して「伝わる形、重要なことから先に言う形」に直すのは、かなり「不自然」な知的努力を要することである。

たとえば製造工程Aにトラブルが出た。原因としてまずαが提示された。その次に色々話し合いがあって、本日の早朝、工場長からβという原因も考えられると言われた。そして本社からの連絡が夕方にあり、γが可能性として考えれることも言われた。

これをまとめるときは、「製造工程にトラブルが出ました。原因としては今の所α、β、γが各所から提案されています」でいい。「発案者」「発見者」が誰であるかというのはさしあたってはどうでもいい情報である。重要なのは明らかに『製造工程のトラブルを解決すること』だ。これに寄与する情報以外は原則として「冗長である」と判断したほうがいい。

「正しい原因」を発見した人間を表彰したくはあるが、そんなものはトラブルが解決された後で「誰が一番貢献したかなあ」などとのんびりした会議でやればいいことだ。問題はいつも緊急に発生しているため、余計な「ちなみに……」に付き合っているヒマはない。このヒマを無限に持ち合わせているとでも思っているのが、いわゆる私がここで批判したいところの「コミュニケーション能力がない人」である。

習得するまでの道のりには、それなりの困難がつきまとうことは、前述の通り、覚悟されたい。ただ、これは習得してかなり「意義のある」スキルである。まずもって、会社では管理職や役員など、上の立場になっている人間ほど、こうした「無駄なおしゃべりが多い情報伝達」にひどく頭を悩まされた経験を持っていることが多い。

そこであなたがキレイに整列され、「何をしてほしいか」「現状ではどういう情報があるか」「いつまでに誰からの判断が必要か」を明確化したコミュニケーションをやってみせれば、その管理職・役員はあなたのことをかなり「好きになる」と思ってくれて間違いはない。

ただし、好きになられて得をするかどうかは、別途検討が必要である。(「こいつ便利だな」と思われて、余計な仕事が増える一方になることもまた、残念ながらよく聞く話なのだ……)

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以上です!

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