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無から有へ〜作るきっかけ

無いものは造りなさい。
欲しいものは作りなさい。

父はカメラマンで白黒写真技師、母は洋裁師でした。2つ下の弟はとにかく器用で想像力に溢れていました。

そんな環境で逆に「何も作らない」ほうがおかしいわけで、気づくとお絵かきや工作が当たり前になっていました。

切り絵の作画。これは物語の挿絵として依頼された。

いまの坊さんをしています。「無を説く」のが仕事といっても過言ではありません。でもわたしのやっていることは「無いから作り出す=有」のほうです。

人は口や文章で説明しきれないと「絵図」に頼ります。それでも伝わらなければ「立体」に走ります。きっと1,200年前の日本に密教を紹介した空海さまだって同じことをお考えだったと思います。じゃないと、あんな立体曼荼羅を造るパワーは漲らなかったはずです。

最近わたしは「無いものを造る」から「自分のフィルターを通す」ということにシフトチェンジしているようです。もちろん無から生み出し続けてはいます。でも「あなたならどう作るか?」を問われることが増えてきました。

それはそれでとても楽しい……のです。

同じ人間の手でも工程を重ねると思わぬ仕上がりになる。

この度『坊さん玩具工房ファンクラブ』なるものを立ち上げました。名称はファンクラブでも友の会でも良いのですが、ここで多くの「あなたなら……」を伺いたいのです。天野こうゆうで遊んでもらえたらなぁと。正に『高遊會(こうゆうかい)』です。遊ぶって余裕がないとできません。密教では悟りきった境地でゆったりと歩くことを「遊歩(ゆぶ)」といいます。なんの心配もなく生み出すことだけを愉しむ。

ここがそんな空間になれば幸いです。


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