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第131話 運動会

 今日は、次男のかーくんの運動会だった。
 保育園最後の運動会である。
 かーくんは、僕と台風の目をやるのが楽しみだったらしい。終始大きな目をかっぴろげながら、明後日の方向に走り、結果としておそらく我々のせいでチームを敗北に導いてしまったわけだが、本人は楽しかったらしい。
 かけっこも、1番になれそう? と聞くと、多分2番か3番だと思う、と特に悔しそうな感じもない。
 かーくんは、キョロキョロしながら走っている。確かに3番だった。
 これは、長男のひーくんもそうだった。
 かけっこの速い子を見ると、目線は一点集中して走っている子が多いように思う。
 将来的には一点集中の方が一つの分野に強いのかもしれないし、キョロキョロしてるのなら越境しやすいのかもしれない。かけっこでどうなるかなんてわからないが、別に僕も1番にこだわりはなかった。
 他には親だけの綱引き大会、手のひらと足の裏の皮膚が剥がれそうなくらい頑張ったが、我々はビリだった。
 関わり薄い人たちとなぜかハイタッチして、掛け声かけて、共通の目的で行動するというのも悪くない。結果よりプロセスが大事だ。
 最後はサプライズで、かーくんが締めの言葉を担当していた。
 急いで、ビデオを用意して撮っていたが、後から園長先生に言われたのは、練習では一言も喋ってくれなかったのに、本番ではちゃんと喋ってくれたので本番に強いんだなって嬉しくなりました、と言っていた。
 知らないところでそんな賭けをしていたなんて、締めの言葉が一向に始まらなかったらどうしたんだろうと、パラレルワールドの心配をしてしまった。
 競争心は強い方ではないし、1番へのこだわりはない、でもやる時はやる、自分の役割を理解できているのかなと、親心としては子供の成長を感じた日だった。
 かーくんの最初の運動会では、かーくんはずっと寝ていて、我々が抱っこしながら競技をしていたものだ。

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