見出し画像

第134話 おねしょ

 最近は、仕事が変わり、週の大半は、自宅でテレワークとなってきた。
 オンラインで話すことも多くなり、イヤホンをつけたりしているので、家の中に一緒にいても、あまり家の状況は分かりにくいものだ。
 そんな折午前中のミーティングも一通り終わり、少し伸びをして、午前中の思考や議論を反芻しているとなにやら遠くから物音が聞こえてくる。
 何かがぶつかるような…… 最初は、上の階で誰かがはしゃいでいるのかとも思ったが違うようだ。
 横の壁の奥から、不定期に、ボスッ、バスッと聞こえてくる。
 なんだろう?
 まるで某人気アニメの女の子キャラのお母さんが、ウサギのぬいぐるみにボディパンを繰り返し食らわせているような…… そんな音と光景を感じる。
 僕はまた何かやらかしたんだろうか?
 この壁の奥は、洗面所…… 何か出しっぱなしなどしていたのだろうか? 冷や汗を感じる。
 恐る恐る、様子を見に行くと、無言で、洗濯機の前にしゃがみながら、洋服をバサバサとしており、ガチで機嫌が悪い時の無表情のママがいた。
 周りには、小さな白い埃のようなものが散乱している。
 これは…… 久しぶりの記憶が蘇ってくる。
 そうか、やっちまったのか、かーくん……

 次男のかーくんは、来年度から小学生、でもおねしょは治らない、トレーニングパンツを履かせても、それを毎日濡らしてきて、ふとんもいつも湿っている。
 洗いやすくするために、しばらくかけるものはバスタオルしか与えられていなかったかーくん、でも最近寒くなってきたので、かわいそうだし、と掛け布団を支給され、それと共に一旦オムツに戻ることになっていた。
 かーくんは、朝、おしっこしなかったーと喜んでいた。
 そう洗濯乾燥機に、かーくんはオムツをそのまま投入していたらしいのだ。
 以前の回でも話したが、オムツを洗濯乾燥機に入れるととんでもないことになる。ポリマー的なものが、ゼリー状に散らばり、一緒に入っていた衣類にくっついてしまう。
 以前は注意していたが、久しぶりのオムツとなると、またこうゆう事態になるまで忘れてしまうのかと、内省する。

「かーくん…… やっちゃったんだね…… おねしょしなかったって言ってたから、捨てずにそのまま出しちゃったのか……」
「は? めちゃくちゃおしっこ臭いんですけど? マジで吐きそう」

 かーくん、濡れてないんじゃなくて、最近のオムツが優秀だっただけで、君はおねしょしてたようだよ。
 パパはフォローしてあげられなさそうだよ。
 パパは無言で一緒にバサバサする他ない。
 なんでも病気にしたくないが、夜尿症という言語は存在する。
 そんなんがちらほら頭をよぎる。
 頑張れ! かーくん!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?