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『MMT(現代貨幣理論)で解ける財政問題: 目からウロコの解決策』の感想

今月末にランダル・レイのMMT入門書の邦訳が発売予定であるが、マクロ経済学ブロガーのシェイブテイルさんがもっと易しい入門書を出版されたので紹介する。シェイブテイルさんは長らくブロガーとして活躍れており、当初はふつうにリフレ派であられたが、金融政策だけではだめで財政政策も必要と気づいてリフレ派から降りる、そして今はMMT寄りという経歴の持ち主である。私の理解が間違っていなければだが。もっとも元々はリフレ派だったが、今はMMTに傾倒しつつあるという人は、私も含めて多数いるのだ。

本の内容は、自国通貨建てで変動相場制ならば政府債務はデフォルトしないといういつもの話や、機能的財政論、租税貨幣論が中心である。MMTのもうひとつの根幹であるJob Guarantee Programmeにはさらっとしか触れておらず、まずは通常の財政拡張でという立場だ。本場のMMTを米国MMT、日本で政治右派を中心に導入されているものを中野剛志氏にちなんで中野MMTとしている。つまり著者は後者の立場ということだ。

この立場の違いは本格的な財政拡張が始まるなら議論を呼びそうな内容なのだが、本書ではそこには深い入りしていない。読みやすさを重視するなら当然そうなると考える。語り口は平易で分量も多くないので、上述のレイの入門書を読む前に通読することをおすすめしたい。Kindle unlimitedでただで読めるのもいい。

個人的にはまずは本書の内容をしっかりと理解すればそれで十分であるし、興味が出てきたら、冒頭に述べたレイの入門書などに進むのがよいと思う。


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