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戦略とは?【確率思考の戦略論②】

確率思考の戦略論の2回目です。

売上を伸ばすための戦略として、以下の3つしかないと定義します。

売上を伸ばすためには、1)自社ブランドのプレファレンスを高める、2)認知を高める、3)配荷を高めるの3つしかないということです。(p40)

この3つのビジネスドライバーに絞って探すことで、確率の高い戦略に行く着くことができます。それぞれ見ていきますが、「プレファレンス」の部分が最も重要なポイントです。

「認知」について

認知には、

・エイディッド・アウェアネス(ブランド名で誘導されて計測された認知)

・アンエイディッド・アウェアネス(ブランド名で誘導されないで計測された認知)

2種類あって、マーケターが重視すべきは、後者の認知、つまりエポークドセット(消費者の頭の中の買ってもよいと考えているブランドに入っている)かどうかです。そして、このエポークドセットの中で第1想起を得ることが重要です。

そして、この認知を高めることによって、成功したのがUSJのハリーポッターです。当時、ハリーポッターで集客しないといけないのが200万人で、これは認知率90%以上を獲得しないと、達成できない数字だったそうです。そのような状況下で著者がどのような策を実行したかは、是非本を読んで確認してみて下さい。

「配荷」について

次に、「配荷」です。配荷において重要なのが、「配荷率」です。配荷率とは、市場にいる何%の消費者がその商品を買おうと思えば物理的に買える状態にあるかということです。

そして、配荷率を高める方法として重要なのが、小売店の棚の中で自社のブランドが確固たる役割を果たすことができるかです。小売店を訪れる客層のプリファレンスに合った商品であることによって、配下の面積を伸ばすことができます。

もう一つ重要な視点として、「配荷の質」を伸ばすことがあります。店頭で自社のブランドがどのように扱われるかがとても大事です。こちらについては、米国でのパンテーンの事例が書かれているので、チェックしてみて下さい。

「プレファレンス」について

そして、最も重要である、「プレファレンス」はどうでしょう。NBDモデルという図式を使って、本の中では説明されていますが、以下がプレファレンスの定義です。

「自社ブランドを全ての消費者が選択した延べ回数を、消費者の頭数で割ったもの=M」と「消費者の購入確率の分布=K」で、マーケターがコントロールできるのは、Mのみです。

そしてマーケターは、選ばれる確率を上げるために、「プレファレンス」をコントロールするしかないと述べています。つまり、自社のブランドへの1人あたりの投票回数をどう増やすかに頭を悩ます必要があるのです。

そして、プレファレンスを伸ばすための戦略として

・水平拡大(投票してもらえる人の数を増やす)

・垂直拡大(既存の顧客にもっと多くの投票をしてもらう)

の2つがあります。そして、どちらの戦略が成功しやすいかでいくと、「水平拡大」の方だと述べています。

市場全体のプレファレンスを水平方向により多く獲得していくことが、自社のブランドの基本戦略となります。そして、マーケターが陥りがちなターゲティングの罠についても触れられています。

消費者を区切ってターゲティングすることは、Mを増やすためであって、決して自社のブランドのMを狭めることではないのです。(中略)あくまでも、自社ブランドの市場全体における魅力度(プレファレンス)を拡大するのが目的であって、ターゲティングはその手段の1つに過ぎないのです。(p65)

ここの記述は、とてもこの本の中でも重要なポイントの1つだと思います。本の中でも触れられていますが、ついつい特定の消費者のターゲットの中で、どうプレファレンスを伸ばそうかと必死になってしまいます。それではダメで、市場全体の中で自社のブランドへのプレファレンスを上げることが重要です。

本の中では、USJの事例として挙げられています。かつてのUSJは、「映画だけのテーマパーク」であり、市場全体のプレファレンスを獲得できているわけではありませんでした。これを、「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」に変えることで、市場全体のプレファレンスを水平方向に拡大し、見事USJ生き返りました。具体的な内容は、是非本をチェックしてみて下さい。

個人的には、プレファレンスを伸ばすための戦略として、「水平方向に伸ばすこと」がよい。更に、マーケターが陥りがちなターゲティングの罠についての部分が印象的です。ターゲティングの話は、web広告に関わっている人はハッとさせられると思います。

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