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差別化と価格について【確率思考の戦略論③】

確率思考の戦略論の3回目です。今日は、第3章の「戦略はどうつくるのか?」の中で特に気になった部分を取り上げます。

差別化について

「差別化できているのか?」、「他者との差別化ポイントは何だ?」といった言葉はよく耳にする言葉です。差別化について、森岡氏は以下のように述べています。

どのような場合でも、重要なのは、差別化は市場全体から自社への「M」を増やすためにやっているという目的意識です。(中略)ポジショニングや差別化は、「M」を増やすためなのです。消費者のターゲティングもそうですが、差別化も狭めるためにやっている訳ではないのです。(P84~P85)  ※M=自社ブランドを全ての消費者が選択した延べ回数を、消費者の頭数で割ったもの

しかし現実には、自社ブランドへの投票数を減らしてしまう差別化が行われてしまっていることもあると思います。

前回のnoteで、プレファレンスを伸ばすための方法として、「水平拡大」の方が成功しやすいということに触れました。差別化は、プレファレンスを伸ばすための一つの手法であって、目的ではない。目的は、あくまでプレファレンスを伸ばすことであることは肝に銘じておきたいです。

価格について

一人の消費者として、「価格が安いこと」はとても魅力的です。しかし、マーケターの立場としてはどうでしょうか。森岡氏は、中長期的なブランディングを考えた場合、プレミアム・プライシング(競合より高い値をつけること)は、多くの場合正しいと述べています。

製品パフォーマンスの継続的な向上、ブランド・エクイティーの継続的な強化には、「投資」が必要です。また、そのカテゴリーに従事する人々の雇用や所得も必要です。ブランドの価値を高めていくには、お金が必要であり、安易な値下げ戦略は、中長期的に見れば、そのカテゴリ自体の衰退も招いてしまいます。

この指摘は納得できます。僕が身を置くweb広告業界でも、例えば1clickあたりの単価(CPC)を下げて販売するといった値下げ戦略はよくとられていると思います。しかし、そのようなことを続けていっても業界はどんどん疲弊していくだけだと思います。その結果、販売する側(メディア)だけではなく、発注する側(広告主)も困った状況になります。何故なら、メディアが継続的に利益を出すのが困難になり、撤退せざる得ない状況になってしまうからです。そうなると、広告主側も生活者と接点をもつ場が、減っていき、自社ブランドを生活者に伝えるのが難しくなります。

企業の存続、市場の発展、消費者の満足度の向上のためにも、「適正な価格」は、とても重要なのです。

今回は、「差別化」と「価格」について書きました。どちらも、マーケティングに関わる人にとって、重要な部分だと思います。本の中では、事例つきで述べられているので、是非チェックしてみて下さい。

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