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展覧会感想(2023 10/18)

普段はアイドル(主に日向坂)の事を書いているが、今回からは展覧会の感想も備忘録がてらまとめていこうと思ってる。(寧ろメインの趣味はこっちなので。)



1.「江戸時代の美術 -軽みの誕生」(出光美術館)


「つまらない」というとネガティブな印象があるが江戸時代では物事を理詰めでいいつくしてない、余白や余情があるものとして評価されてたようである。(出光美術館のホームページより)
試しに古語辞典で引いてみると

「詰まり」
①せばまる。つかえふざかる。
②どうにも動きが取れなくなる、進退極まる。
③窮迫する。窮乏する。

岩波古語辞典補訂版より

なるほど絵画表現においては余裕がなかったり、遊びがないのは好まれないのであろう。探幽が「つまりたるがわろし」と言ったのも納得である。今回はそういった表現技法に着目して見ることができて、いつも違ったおもしろさを感じることができた。 

特に芭蕉の発句の自画賛や短冊が印象に残った。
句と流れるように書いた絵が書いてあるだけのシンプルなものだが、それが逆に鑑賞するもの想像力を掻き立て、芭蕉の句も相まってその抒情性を感じることができた。
他には源氏物語を描いた「須摩浦図」や又兵衛の「野々宮図」も良かった。
そもそも源氏物語自体が語りすぎず且つ余情溢れる表現が魅力であるが、「つまらない」ものを尊ぶのはもしかしたら源氏物語が源流なのかもしれない…といつのは飛躍しすぎた話かな。

2.やまと絵展(東京国立博物館)


今回かなり楽しみしていたのが本展。
古典文学(特に王朝文学、一番好きなのは伊勢物語)を愛好している自分にとっては夢のような空間であった。混雑も有名どころ(鳥獣戯画や伴大納言絵巻等々)は中々列が進まなかったが、他は比較的スムーズに見れたので良かった。
今回見た中で印象に残ったのは「隆房卿艶詞」。
白描画で繊細な線で描かれた黒髪が美しく、初めて実物を見たがすっかり見惚れてしまって暫く足を止めてしまった。
もう一つは「佐竹本三十六歌仙絵 小野小町」。
noteのアイコンにしているぐらい大好きないわば”推し作品"であり古今東西の女性像の中で最も美しい作品と個人的に思っている。これを見たくて京都で開かれた三十六歌仙展にも行ったが期間を勘違いしてた為見れず、個人蔵なのもあってもう見れないのかなと半ば諦めていたが、今回見れたのは本当に嬉しかった。
繊細で流れるような髪と十二単が小町の儚さを印象づけ、敢えて顔を描かず後ろ姿なのが、返ってその美しさを掻き立てている。小町への思慕が伝わる素晴らしい作品だと改めて認識した。
他にも「紫式部日記絵巻」・「紫式部石山詣」・「狭衣物語断簡」等々語るに尽くせないものが沢山あったのだが雑多になるので取り敢えずここまでで終わりにする。
展示もかなり変わるので、なるべく全期間制覇したいと思う。(「寝覚物語絵巻」、「頼朝像」、「うたたね草子」、「伊勢物語絵巻」辺りは見たい)ただ全期間見ようとするとまあまあお金が掛かるので、リピート割引みたいなのは正直欲かった。そもそも全部見る人は少ないから仕方がないのかもしれないけれど。

3.キュビズム展(国立西洋美術館)


キュビズムは20世紀の美術の中でも好きなジャンルで、対象を単純化して幾何学的なフォルムで構築し多角的な視点で描く技法が、鑑賞者にも多様な解釈を想起させ、脳内に思惑が渦巻いている感覚がなんとも言えないのである。
個人的にはブラックのキュビズム絵画が純粋にフォルムや視点に対する探究を一番感じることができると思ってるので、今回多く見れて良かった。
あまり晩年の作品を見たことがないので是非ともブラック展みたいなのもやって欲しい。
全体的にキュビズム自体の受容や解釈の変化に触れられて、抽象画や現代アートにつながる萌芽を読み取ることができたのだが、いかんせん自分自身がまだまだ不勉強で表層的な理解に収まってる気がするので、また関連書籍を読んで学習してからまた再訪したいと思っている。(「キュビズム芸術史」とブラックの伝記は読みたい。)

4.終わりに

今回は3箇所回ったが、やまと絵展が一番印象に残ったかな。感想にも書いたけれど古典文学が好きな人は最低でも一回行くべきだと思う。そうでない人もやまと絵の傑作がこれほど一堂に会する機会は中々無いので見ることをオススメします。
次は松濤美術館の「杉本博司 本歌取り 東下り」が気になってるのでそれをメインに見にいこうかなと思っている。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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