私は50代でこれまで色んな香水を使ってきた。
仕事で東南アジアを行ったり来たりしていたので、免税店で流行りの香水を買ったり、去年は若いお友達から、フエギアやディプティック、noseshopを教えてもらって、高級で複雑な香りも楽しんできた。

でも夏になると、「資生堂シャワーコロン」の香りがどうしても欲しくなる。シャワーコロンは70年代～80年代にものすごく流行ったオーデコロンだ。
中学生の頃、お姉さんのいる友達のいるお家に行くと大体あって、少量着けさせてもらったものだ。丸っこい大きめの瓶に入ったオーデコロンはそれはそれは良い香りで、母の鏡台にある「レールデュタン（ニナリッチ）」や「JOY（ジャンパトゥ）」のおしろい臭さとは全く違うものだった。
資生堂シャワーコロンは150ml入っておそらく2000円ちょっとで買える、香水としては安いものだったと思う。それでも、私にとっては1万円以上する高級な香水よりもずっとずっと良い香りだった。そして、1時間もすると残り香も無くなっているのがまたよかった。

シャワーコロンを少しつけると、そこの空間だけ湿度が低くなり、清潔な空気が流れる、、その香りの威力に私はたいそう感動した。
私の両親は娘が色気づくのをすごく嫌がる親だったので、シャワーコロンを買うことはできなかった。大学進学して下宿するようになると、シャワーコロンはもう廃版になっていた気がする。あるいは私は大人になって、アルバイトし、仕事するようになって、まあまあ高級な香水を買えるようになって、シャワーコロンの存在を忘れたのかもしれない。

1989年、大学の夏休みにアメリカを東海岸から西海岸まで一人旅した。ボストンのデパートをぶらぶらしていた時、インド系のオネエ言葉の男性がキャンペーンブースのようなところで香水をすすめていた。貧乏な旅なので、汗臭くなってもすぐに洗濯ができる環境ではなかったので、一つ試してみようと、Perfumer's WorkshopのTEA ROSEのムエットをもらった。その時、シャワーコロンに出会ったのと同じような気持ちになった。湿度が低くなって、空気が清浄する、あの感じだ。値段もそんなに高くない。。一本買って、旅のお供になった。

アメリカで買ったこの香水のことは随分長い間忘れていた。
ところが昨年、Youtubeを見ていると香水youtuberのElizabeth NoirさんがTEA ROSEを紹介しているではないか！

この動画を見て、この香水とあの旅の記憶が鮮明に思い出された。
amazonを検索するとある！日本でもTEA ROSEが買える。値段もそんなに高くない。。早速一本ポチしました。香水としては少し安い香りだけど、本当のバラの香りが随分再現されていて、甘さも無く、湿度の高い時期に庭仕事やウォーキングに出かける前に使うと、気持ちがシャキッとする。

そしてもう一本、夏にいい気持ちになるオードトアレ。これは実家に置きっぱなしにしているもので、オードトアレなのに、香りはすぐに消える。そこがいい。グレープフルーツの香りがパッと広がってすぐに消えるのがとっても夏向きでいいなと思う。ドラッグストアでも扱いがあるのではないかと思う。

カルバンクラインのエタニティ、ランコムのトレゾア、シャネルのアリュール、フエギアのムスカラフェロジョイ、ロサ デ ラ パタゴニアなど、、素晴らしい香水を使ってきたけれども、夏になると私は資生堂シャワーコロンの香りを求めている。