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アナカラーデッドダムド デッキ解説

10/12vault優勝後の構築です。

この時のトップデッキは4cミッツァイルと赤単速攻で、それらに不利だったアナダムドを選び、どのようにアプローチしたのかを解説しています。

話の根幹はデッキの作り方やメタカードの考え方など、廃れる内容ではないので、ゆっくりと読んで頂ければと思います。

レシピのみ先に購入して頂いた方々、ありがとうございます。



目次

①デッキリスト
②概要
③戦略(環境理解)
・環境整理からメタを絞る
④作戦(デッキ構築、確率、色配分)
⑤特定メタカードの選択(メタカードの本質、アドバンテージの分類、アドバンテージの差、ジェ霊ニー)
⑥ロストマインド(本題)
⑦その他カードの選択
⑧採用しなかったカード
⑨戦術(プレイング)
⑩終わりに



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①デッキリスト


メインデッキ(白1青18黒21緑20)
1 x 光牙忍ハヤブサマル
2 x 奇天烈 シャッフ
4 x 超奇天烈 ギャブル
4 x 禁断機関 VV-8
4 x 解罪 ジェ霊ニー
4 x 拷問ロスト・マインド
4 x フェアリー・ライフ
1 x 霞み妖精ジャスミン
4 x 虹速 ザ・ヴェルデ
4 x 悪魔妖精ベラドンナ
4 x 天災 デドダム
4 x SSS級天災 デッドダムド

GR

2 x 離脱 DL-20
2 x 補充 CL-20
2 x オーマ 丙-二式
2 x ソゲキ 丙-一式
2 x パキラキⅡ
2 x ポクタマたま



一般的な「受け無し」と定義されている構築です。

ブーストデドダムvv8という4tキルルートをメインの動きとし、それらの枚数をしっかりと取ることで「安定感」を持たせています。

しかし、このキルルートを行える確率は決して高くありません。先攻だと5割もありません。

そこで中途半端なパワーカードを抜き、環境に適した特定メタカードを多く積むことで、相手の動きを鈍らせ、メインの動きをサポートしていきます。



②概要


「安定感」の定義としては、「ブースト」「3tメタ」「vv8の侵略捲り」を7~8割以上の確率で行える状態を指します。

先攻はブーストデドダムvv8禁断開放の理想ムーブを狙うので、2t目にマナブーストを行い、vv8で3枚目の侵略を捲る必要があります。

これらを確保出来なければ、理想の4キルが出来ない可能性があります。

なので、アナダムドを安定して使う条件は「デドダムを引く以外の要素を安定させる」ことが第一で、その為にブーストカードや侵略カードを多く組み込みました。

「安定感」を求めるのは、アナダムドというデッキの勝利条件に、禁断の早期機動以外のギミックがあまり関係していないことがあげられます。

サブルートの追加など、いくつか試しましたが、どれも特定の場面で輝いただけでした。

結局コマンドを出しつつ禁断機動を目指す必要があるので、それをサポートしていくカードを選択した方が賢明です。



③戦略(環境理解)


・環境整理からメタを絞る


デッキを組む際、まずは「立ち位置」についての理解、つまり環境理解が必要不可欠です。

今の自分に対しての有利不利を知ることで、構築の方向性が決まります。

この時のtier1は赤単速攻と4cミッツァイルですが、赤単は4割(後攻は完敗)、4cミッツァイルも4割(先攻7割後攻1割)と、アナダムドは環境トップ両方に5割ないデッキでした。

更にはtier2のループ系統のデッキにも勝率が悪く、とても大会で使用できるアーキタイプではありません。


話はかわりますが、私は元々はメタ外のアーキタイプ1つをひたすら練り上げるタイプのプレイヤーでした。

競技プレイヤーになってからは、tier1のデッキをチューニングし、大会に持っていくスタイルの私で知られていますが、思考のもととなっているのは、昔も今もそう変わりません。


私がtier1外からアプローチする際、確実にtier1に刺さるデッキを持っていきます。

1強環境でない限り、様々なメタが考えられるので、tier1のデッキは日々母数が入れ替わっています。

もしtier1のどれかに有利が付けば、その日の最大母数に当たるチャンスが貰えます。

この事に気付いていれば、構築の方向性を決めることができ、他の人がメタ外を使う理由も理解できます。

そこで今回は4cミッツァイルに狙いを定め、彼らをメタることに決めました。



④作戦(デッキ構築(確率/色配分)


【確率】


まず第②項の「安定性」を持たせるために、簡単に確率をみる必要があります。


スクリーンショット (28)


【マナブースト】

先攻ブーストの出来る確率は8枚採用で76%、9枚で81%。

後攻は8枚採用で82%、9枚で86%になります。

この8枚9枚の境が最も効率の良い枚数配分とされているので、早いゲームを意識するなら9枚。後半を意識するなら8枚を基準に構築していきます。


【3tメタ】

同じく3t目にハンデスカードを打ちたい場合の確率を見ていきます。

先攻なら7枚採用で77%、8枚で82%となります。

後攻では7枚で82%、8枚で86%になります。

先攻にも打ちたい場合は8枚、後攻を意識するなら7枚で十分です。


【VV8の禁断機動】

水の侵略コマンドは確率上9枚積んで、理論値74%を達成すべきですが、このデッキのマナ色の強さが緑>黒>青となっていて積めば積むほど不安定になる点(後述)、ギャブルと並ぶほどの役割を持てるカードがない点から、ダムド+ギャブルの8枚で69%としています。


4 x 超奇天烈 ギャブル
4 x 禁断機関 VV-8
8 x 3tメタ
9 x マナブースト
4 x 天災 デドダム
4 x SSS級天災 デッドダムド

以上33枚を理論値として採用しています。


【色配分】


デッキ構築をする際、まず大まかに色配分を決めます。

アナダムドは使いたい色順に、2t緑>3t黒>4t青となります。

ここで私がいつも使っている法則を紹介します。

「17・13・9・5の法則」です。

これはマナブーストを軸とするデッキの感覚的な色配分です。

2t目(2マナ)に使いたい色は17枚、3t目(4マナ)に使いたい色は13枚、4t目(6マナ)に使いたい色は9枚、5t目(8マナ)に使いたい色は5枚を基準に色配分していきます。

勿論各場面で使いたいカードによって色配分を変える必要があるのですが、まずはこれを基準に色配分を決めることをおすすめします。

アナダムドで言えば、緑17黒13(ベラドンナを使うなら17に近づける)青9(シャッフを使う想定なら13)を目指します。

もう一つ決まりごとがあり、多色カードは75%で計算します。

ベラドンナ4枚なら緑3枚黒3枚というように計算します。

多色はマナにおけるタイミングが限られてくるので、完全な色としては数えません。

それでは先ほどの理論値カードを仕分けてみます。

4 x 超奇天烈 ギャブル
4 x 禁断機関 VV-8
8 x 3tメタ(色不明)
4 x フェアリー・ライフ
1 x 霞み妖精ジャスミン
4 x 悪魔妖精ベラドンナ
4 x 天災 デドダム
4 x SSS級天災 デッドダムド

緑14黒9青14不明8となります。

これで、緑を後3枚以上、3tメタの不明枠は黒多め、青は十分足りているというのが分かります。

アナダムドは使える多色が多いのでさほど色には困りませんが、4cミッツァイルや多色が4枚ほどしか入らないマナ加速デッキにはこの法則がかなり使えます。

デッキ構築は大まかなメタの方向性を決めて、デッキの骨組みは簡単な確率や色配分で、ある程度ルールを決めた方が組みやすくなります。

初心者のデッキがごちゃごちゃっとなってしまうのも、メタの割合が重すぎて、構築上の自分のルールを決めていないことがあげられます。



⑤メタカードの選択


メタカードの本質については以前書いた記事をご覧ください。


デッキはほぼ全てメタカードで出来ている

https://note.mu/boumokou/n/n47da4f028dc1

・メタと特定メタ

https://note.mu/boumokou/n/n5546788ffc4c

・メタカードとアドバンテージの関係

https://note.mu/boumokou/n/nb32fba1ff64c



・アドバンテージの差を知る


4cミッツァイルがアナダムドと比べて長けているアドバンテージとは何でしょうか。

それは6マナからのカードアドバンテージ・テンポアドバンテージ・ハンドアドバンテージ・ボードアドバンテージです。

GRを出せるカードの選択肢の多さ、ドローソース、6マナからのコスト踏み倒し、展開のバリエーションや除去が追い付かないほどの物量など。

殆ど全部だと思う方が大半だと思います。


アナダムドは4t目からアドバンテージの面で大きく突き放されます。

対策として出来ることは3つ。

①相手が6マナを溜める前に相手のリソースを削る

②相手が6マナを溜める前にこちらの最大値を上げる

③相手の動きを制限し続ける


まず②については前述した通り、デドダムに代わるカードがないため、戦略として採用できるプランはありません。

③は、ラッキーナンバーを使いまわすことで行動を縛り続けるものですが、こちらも枚数故に安定性に欠けます。

そこで①のプランでメタカードを探していくことになります。



・解罪ジェ霊ニー


序盤のリソースを削る為に、まず選んだカードは《解罪ジェ霊ニー》です。

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このカードはGRと組み合わせることで、ハンデスカードにおいて最も汎用性があり強力です。


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私は序盤のアドバンテージを見る時、単純な計算をします。

例えば、ランダム1枚ハンデスを1アドとすると、ジェ霊ニーなどのピーピングハンデスは手札を見て選んでハンデス出来るので、1アド以上だと分かります。

しかしランダム2枚ハンデスほど強力ではないため、私はピーピングハンデスを1.5アドと計算しています。

逆に相手が選んで捨てるセルフハンデスは0.5アドと考えます。

なので、ソゲキを出したジェ霊ニーは、セルフハンデス0.5+ピーピングハンデス1.5で2アドと仮定します。

他にも、ドローはハンデスよりも弱いため0.5アド、マナブーストは1アド、場は展開して有益なら1アドと考えますが、アナダムドはコマンド以外ほぼ有益ではないので、0アドで計算します。


これらの簡単な計算は、歴代の有名カードとの比較が出来る点で有効です。

・4マナパキラキ2.5アド>5マナ多色トリプルマウス2アド

・4マナソゲキ2アド=4マナスケルトンバイス2アド

・4マナ補充2アド>3マナ多色ブレインタッチ1.5アド

どの選択肢も非常に魅力的なことが分かります。

都合のいい考え方ですが、何事も多くのものから一つを選ぶ際は、自分なりの基準を設けることが大切だと考えています。


ここで4枠は決まったのですが、3t目メタ枠の7枚には到達していません。メタ枠3枚をどうするか。

長らく話してきましたが、ここからが本題です。



⑥ロストマインド(本題)


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おそらく今後この構築は流行らないだろうなと思っています。

何故なら皆さんが「理解できないから」です。

皆さんを煽っている訳ではなく、私自身がこのロストマインドを、「他人が理解しかねるもの」として認識しているのです。

採用理由はなんとなく分かると思います。

後半腐るのが欠点だが、4cミッツァイルの基盤は呪文が多く、序盤のリソースを削ぐ手段として有効であること。ループデッキにも刺さる。

4枚積みなのも、あぁ思い切ったんだなというところでしょうか。

でも皆さんはこのロストマインドを積むことが出来ません。

ちょっとオカルト的な話になってきましたが、興味のある方はお付き合いください。


今まで書いてきた通り、私の構築の多くは理によって成り立っています。

その理で固められた構築というのは万人にとっても理解できるものであり、視覚的にも綺麗な構築になります。

しかし、そこに理外の理を埋め込むと、あるものが作用して人は考える事が出来なくなります。

考えることを放棄するとも言えます。


私はその力を「センス」と呼びます。


センスという力を目にすると、人は少なからず嫌悪感や嫉妬心を抱きます。

そこでストレスを感じた大半の人は去り、そのストレスを乗り切った人が自分の思考に当てはめようと、理を持ち出してきます。

しかしそれは他人の理外の理であるので、自分の理に当てはまらずまた大半の人が投げ出します。

そして残った人は何を思うのか。

「この人のセンスが正しいんだ」

意識のすり替えを行うのです。


私たちが日々みているデッキレシピには「センス」が見て取れます。

私たちはよくそのセンスの良し悪しを評しているのですが、それは全くのお門違いで、センスとは他人には全く理解の出来ないものなのです。

理解していると発言する人も、多くは単なる意識のすり替えで、正当化しているに過ぎません。


では私たちデッキビルダーは他人のセンスとどう向き合っていけばよいのでしょうか。


それは「考えずに感じる」ことです。


他人の頭で構築された意味の分からない理論は、いったん事象として捉え、経験として血肉に変える方法があります。

つまりその方法とは、自分たちで一度検証してみるということです。

自分の経験として得ることが出来れば、それは自分の「センス」になります。

そうして得た「センス」は、自分が本当に信用してきた人達の「センス」の集大成とも言えるでしょう。


「センスを磨け」という言葉は、「センスを見つける心の眼を磨け」ということなのかもしれません。


これが私のロストマインドです。



⑦その他カードの選択


変な話がありましたが、後は誰にでも理解できる理です。


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1 x 光牙忍ハヤブサマル

結構知らずに入れてる人が多いですが、これ1枚で簡単な受けシールドトリガー約3枚分になります。

余り枠で対赤単の自分先攻時の勝率を上げるなら、これが最適解でしょう。

意識しないなら抜いてください。必要ないです。



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2 x 奇天烈 シャッフ

以前はフィニッシュを楽にするカードで、相手の行動を制限する方をメインとしていましたが、今は序盤はあまりささらず、フィニッシュに必要なカードに変わっていきました。

アナダムドはデッキを掘る枚数も多く、記事の前半で話した通り、青の枚数は極力増やしたくないので2枚で十分でしょう。

説明するのが遅れましたが、上記の理由からメタ枠にすら数えていません。


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4 x 虹速 ザ・ヴェルデ

緑必要枠が3枠残っていたので、3枠を確定させ、後は赤単をみる為に4枚目を取りました。

これを抜くなら私はまずハヤブサマルを先に抜きます。


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2 x ポクタマたま

他の10枚は4t目ジェ霊ニーアドバンテージセット。

この2枠はスカップと迷いましたが、ミッツァイルのWAVEを意識してコチラを選びました。

スカップでもアリですが、あくまでもこの枠との相談です。



⑧選ばなかったカード


・ラッキーナンバー

前述。単体はハンド-1カード。

・デジルムカデ&超次元リバイヴホール

ミッツァイル相手には全く必要ない。

・マナクライシス

後攻でのアドバンテージが少ない。5マナ域強カードの不足。

・シールドトリガー類

積むなら複数、別構築。

・ブラックサイコ

カードパワーは高いが、活躍する場面が限られているので、戦略として組み込めない。



⑧戦術(プレイング)


環境が変わっているのであまり参考になりませんが、一応記録として残しておきます。


vs4cミッツァイル

共通:ギャブルはジューサー引きなどの裏目があるので、必要最低限の枚数で回す。6マナ溜まっていてもハンド0ならトップからのジャスキルは考えなくて良い。シャッフを出す時の宣言は基本6でエクストラターンは4。

先攻:相手の妨害札がラッキーナンバーと、バックラスターやパーフェクトウォーターの除去しかないので、それを警戒していればまず負けない。

後攻:後攻はデドダムでは間に合わないので、多色マナが必要であればマナに置く。相手次6マナでハンドを3枚以上持っているなら、ジェ霊ニーよりロストマインドを優先する。ジェ霊ニーとロスマイでハンドを枯らせば即死を免れるので、その後すぐにvv8を立てる。相手が3tパーフェクトウォーター2ドロー時のみ3tデドダムを考える。


vs赤単

先攻:1t目ブレイズクローならヴェルデを、それ以外ならジェ霊ニーを優先。デジルムカデやリバイヴホールが入っていないので、短期決戦を想定する。ギャブルトッコーブーンジャスキルも忘れずに。

後攻:完敗


vsその他

先攻:ブーストデドダムvv8、ロスマイでの大量ハンデス

後攻

ロスマイ優先:3枚以上ハンデスが狙える、ジェ霊ニーを持っているときに2枚以上ハンデスが狙える

ジェ霊ニー優先:相手のハンドが2枚以下

デドダム優先:相手のテンポが崩れた時、相手が事故っている時、禁断機動を狙える時



⑨終わりに


ここまで読んで頂き有難うございました。

急なお知らせですが、この投稿をもちまして、私は再び前線を去ります。

この2か月、皆さんが快く迎えてくれたこと、懐かしい身内とDMが出来たこと、大好きなアナダムドに華をもたせてあげられたこと、全てに感謝しています。

次も何年後になるか分かりませんが、また復帰したいとは思っています。

生存はキューブドラフト、もしくは岡山CSで確認して下さい。

改めまして、この記事を読んで頂きありがとうございました。

少しでもお役に立てましたら幸いです。





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