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ウォシュレットへの好奇心が、子供の緊張をときほぐした

そんなこんなで、かれこれ10年以上前。ホストファミリーとして、ルクセンブルクの男子留学生を受け入れる日。

“そんなこんな”は、こちらから ↓↓↓ どうぞ。

“Hello~♪”と、ゆったりとした穏やかな表情で手を差し出すLucas。

おしゃぶりをしながらワタシに抱っこされた末っ子は、見慣れない青い瞳の男子を、ただただジーーィッと見つめている。

真ん中の子は、好奇心と恥ずかしさが入り混じった面持ちで、ワタシの背中からピョコっと顔を出している。

一番上の子は緊張のためか、Lucasに近づこうとしない。リビングから、チラリチラリとこちらの様子を見ている。

ダンナさんが”XXXXXXX” と何かを言いながら、Lucasに手を差し出した。聞き取れなかったワタシがダンナさんに聞いてみると、”Moien. Et freet mech.(こんにちは。はじめまして)”と、ルクセンブルク語であいさつをしたらしい。

どうやらダンナさんは、Lucasと初めて交わすあいさつはルクセンブルク語で!と決めていた模様。ひそかに調べメモをしていたらしく、ダンナさんの手から、そのメモがちらりと見えた。最初は、ホストファミリーボランティアにそれほど乗り気ではなかったダンナさんが、そんなことを思ってくれていたとは・・・ふふふ。よしよし。イイ感じや。

大きなスーツケースを部屋に置いてもらい、まずは家の中の説明をする。我が家のルール、部屋の間取り、洗濯の決めごと、電気のスイッチ、シャワーや水道の使い方、トイレの使い方などをひととおり。

Lucasは、初めて見たウォシュレットをいたく喜び、いろんなアングルからトイレの写真を撮り始めた。日本のトイレを使ってみたかったんだ!と言いながら。

*Lucasだけでなく、我が家にステイした留学生たちはみんなウォシュレットの写真を撮るので、学生のステイ中は、トイレ掃除に気合が入る。ドイツ人留学生が、ウォシュレットの作動している様子を動画に収めて、トイレの床を水浸しにするという珍事件も。

トイレの写真を何枚も撮っているLucasを不思議に思ったのか、一番上の子がピューッと寄ってきた。そして、日本語では伝わらないと分かっていながらも、「なんでそんなにトイレの写真ばっかり撮るん??」と、果敢にLucasに質問。コミュニケーションをとろうと近づいてきたその勇気・・・ふふふ。よしよし。イイ感じや。

ひととおり説明が終わると、さっきまで恥ずかしそうにしていた真ん中の子が、Lucasの手をひいて「こっちやで」と、リビングへ案内・・・ふふふ。よしよし。イイ感じや。

長時間フライトで疲れたであろうLucasを早く休ませてあげようと、簡単な軽食を用意。ワタシが用意をしながらソファを見ると、みんなでLucasを囲んで何やら賑やかだ。よちよち歩きの末っ子は、何とかソファをよじ登り、Lucasの膝の上にちょこん・・・ふふふ。よしよし。イイ感じや。

子供は順応性が高い。あっぱれ。

たとえ言葉が通じなくても、言葉以外のものを使って、笑顔でコミュニケーションをとろうとしている。そんな子供たちに応えようと、Lucasもニコニコしながら一緒に遊んでくれている。

外見や言葉や育った環境が全く違っても、同じ人間やなぁ。当たり前のことだけど、こういう光景を目にすると、その当たり前のことが、実体験としてストンと心に入ってくる。

Lucasのウォシュレットへの好奇心が、子供の緊張をときほぐした。緊張しなくていいんやなぁと思った子供の顔からは、笑顔がこぼれた。この笑顔こそが、“違い”という壁を取り払うはじめの一歩。

10日間という短い間だけど、こうして巡り合えた縁に感謝して。家族みんなでLucasと一緒に楽しまなくっちゃ。

大切な時間を使って最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたの心に、ほんの少しでもなにかを残せたのであればいいな。 スキ、コメント、サポート、どれもとても励みになります。