内なるココロとの対話
“天国願望”と聞いて、何を思い浮かべるだろう。
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先日、ゴスペルクワイアのメンバーたちと、あるイベントで何曲か歌わせていただいた。そのうちの1曲がコチラ。
『Soon and Very Soon』。2009年のMichael Jacksonの葬儀で、Michaelの棺が登場するときに歌われたゴスペル。始めの部分を聴けば、“あー、あれね”と思い出す人もいるかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=VxarZBxK0iQ
コンテンポラリーゴスペルのレジェンド、Andrae Crouch(アンドレ・クラウチ 2015年逝去)の代表作の1つ。ゴスペルのスタンダードナンバーとして親しまれている曲だ。
ワクワクするような曲調、リズミカルなメロディ、はつらつとしたビート。『Soon and Very Soon』は、死んだら神様に会える、神様の待つ場所にすぐにでも行きたい、という“天国願望”を歌っている曲。
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アフリカ系アメリカ人は、奴隷制度という、近代史上最も苛酷な生を強いられていた。彼らにとって現実は、絶望と苦悩の連続。残酷で壮絶なこの世から早く解放されたい、神様の待つあの天国に行って早く自由になりたい、と祈り願う。彼らの魂の叫びが、この“天国願望”だ。
歌詞の和訳抜粋はコチラ。
まもなく、まもなく、われらは王なる主に会える
まもなく、まもなく、われらは王なる主に会える
ハレルヤ、ハレルヤ、われらは王なる主に会える
そこではもう泣くことはない、われらは王なる主に会えるのだから……
そこではもう死ぬこともない、われらは王なる主に会えるのだから……
天国に行くという考えは、キリスト教の教えに基づいている。『Soon and Very Soon』に出逢ったとき、仏教徒のワタシには、天国に行くとはどういうことなのかよく分からなかった。
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先日、学生時代の友人がお父様を亡くした。彼女は、クリスチャンのアメリカ人と結婚し、在米生活が15年を超える仏教徒。
日本で悲しみに満ちた別れの儀式を終え、アメリカに帰った彼女。すると、周囲の多くのアメリカ人が、Your dadはHappy Placeで今は神様と一緒にいるから何も心配はいらない、と明るく励ましてくれたそうだ。
大切な人との死別や、死後に対して抱く考え方が、キリスト教と仏教ではこんなにも違うのかと驚いた、と彼女は言っていた。
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天国に行くとはどういうことなのか、ワタシには未だによく分からない。でも、“天国願望”に満ち満ちた『Soon and Very Soon』という曲が教えてくれたことがある。
自分の、内なるココロと対話をすることだ。
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今まで、この曲を何度聴き、何度歌っただろう。この曲に触れるたび、意識が自然と内側に向く。そして、普段はその存在をひそめている、ココロの奥底にいる自分に問いかけてくる。
どんな気持ちで“最期”を迎えたいのか。ただ1つの例外もなく、100%の確率でやってくるその時までに、何をしていきたいのか。
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仏教徒のココロにも染み入るような、そんな訴えかけるチカラを、ゴスペルは持っている。ゴスペルに魅せられている日本人の多くが仏教徒である、そのことが何よりの証拠だ。
ゴスペルが、内なるココロとの対話、というギフトを届けてくれる。
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