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帰ってきた坊主めくり 初段

住む人もこれにおなじ。所もかはらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。あしたに死し、ゆふべに生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、いづかたより來りて、いづかたへか去る。又知らず、かりのやどり、誰が爲に心を惱まし、何によりてか目をよろこばしむる。そのあるじとすみかと、無常をあらそひ去るさま、いはゞ朝顏の露にことならず。或は露おちて花のこれり。のこるといへども朝日に枯れぬ。或は花はしぼみて、露なほ消えず。消えずといへども、ゆふべを待つことなし。 「方丈記」鴨長明

15年振りに、今は亡きホームページのスタイルで更新しようとは思いもよらず、時の流れに思いを馳せる仁鐵でございます。

18年前、高野山から現在の寺へ住職候補として着任するも、新任が来ると俄に先代がやる気を取り戻すというお決まりのパターンが炸裂して、特に仕事を振られることも少なかったので、無聊を慰めるために閲覧していたテキストサイトを真似て、ちょっとホームページでも作ってみるか!となったのが2001年の11月頃でした。そこから「坊主めくり」を3年ほど更新していましたが、途中から大航海時代オンラインやらニコ動に寄り道をしてホームページを放置していたら、OCNのホームページサービスが終了してデータ消失。

その間もブログサービスなどを使ってはみたものの、タグの埋め込みやデザイン変更などが面倒で、もっぱらTwitterでやりとりをすれば良いかと諦めておりました。ところが去年のニコニコ超会議で使った願文や法話など「捨てるくらいなら、どこかにUPしておこう」という雑文があったのでnoteに上げて、こちらも放置していたんですが、新刊の宣伝も兼ねてnoteを触ってみたら、話題別にマガジンを分離したりリンク埋め込みでAmazonの商品画像まで出てきますから「こりゃ久々に、雑文の鍛錬も含めてやってみるかと」

そうやってテキストサイト時代の感覚を取り戻すついでに、当時読んでいたサイトがどれくらい残ってるかと思って、あれこれググってみますと

ろじぱらと一流ホームページが残っていたので、まさに方丈記の

いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。

を地で行く感じでして、色々と感じ入ってしまいました。サイトの更新はだいたいが飽きてしまって終了とか、アクセスが多くなって人気は出たが更新することが義務のように感じて辛くなって終了とか、オフ会やグッズ販売など「金と異性」に手を出して炎上・終了という感じで、モチベーションをどこに持っていくかは当時からサイト管理人の間でも議論百出でしたが

かりのやどり、誰が爲に心を惱まし、何によりてか目をよろこばしむる。

仮の住居は誰の為に苦心し何に基づいて目を楽しませるのか。その主人と家とが常に変転することを争う有様は、たとえて見れば朝顔の花と露の関係のようなもので、あるときは露が残り花が残っている、残っているといっても朝日に当たって枯れてしまう。あるときは花がしぼんで露は残れども夕方までにはきえてしまう。

まさに有為転変とはかくの如しでして、その中で未だに形を残している「ろじぱら」と「一流ホームページ」は凄かったんだなと、ただただ感服することしきりでございます。

密教には「自受法楽(じじゅほうらく)」という言葉がありまして

秘蔵宝鑰(830頃)中「第四〈略〉密教者自性法身大毗盧遮那如来与二自眷属一自受法楽故所レ説法是也」

密教は大日如来が自己の眷属である四種法身と共に、眞言の宮殿に住して、自受法楽のために説いた教えであると説かれており、悟りの境地を自らが味わい、楽しんでいた教えを開示したものであるとされております。

何事も、まずインプットは自らが楽しんで余裕が無ければアウトプットは出来ないものですから、サイトの再開という「更新しなくちゃ」的な気負いは捨てて、ゆるくやっていければと思っております。

また、昨今はツイッタランドで長文を挙げると出だしの部分だけ拡散して、肝心な後半がスルーされたまま面倒な事になったりするのを見ておりますと、こういった気軽に長文を上げられる場所は重宝するだろうなと。

そんなわけで、更新頻度に対する予防線もしっかり張ったので

ゆるゆるとお付き合い頂ければ幸いでございます。

「昇墜は他の意に非ず、衰栄は我が是非なり」
自分の向上も堕落も他人がこれをどうするという訳のものではない、同じように栄えるのも衰えるのも、もとは皆自分にあるのである。       十住心論第二(全一・一八一)

いや、本当にこのスタイルが懐かしすぎて…

以下は本代の足しにでも!という投げ銭への御礼でして有料記事部分となっております。ニコ生でよく聞かれる精進カレーのレシピとなっております。

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