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【書評】「皮絡調整術と無意識領域の運動 触れるだけでカラダの奥が動き出す! サムライメソッドやわらぎ」(格闘技を始めるかもしれない息子に伝えたいこと33)

漫画『グラップラー刃牙』主人公、範馬刃牙のモデル、リアル刃牙の平直行氏新刊「皮絡調整術と無意識領域の運動 触れるだけでカラダの奥が動き出す!サムライメソッドやわらぎ」が2019年6月10日に発刊された。
買って読んで、実践してみたので書評を書く。

東洋の身体論

著者の平直行氏は、22歳のときシュートボクシングでプロデビュー、
その後、体を壊して38歳で引退試合を行うまでの17年間、プロ格闘家として経験を積まれた。
引退後は、操体法、太氣拳、柳生心眼流を学ばれて、その中でプロ格闘家時代に身体を壊した原因が何か発見された。
それは

『人が体を動かす司令は2つ。1つは意識で動かす、もう1つは無意識に動く。この2つの運動司令によって人の動きは完成する。』P.2より

という東洋の身体論を無視して体を酷使したからだった。
その東洋の身体論の内容の説明と、0秒で体を変える具体的なトレーニングの説明が本書の主な内容だ。
同著者の無意識的運動術シリーズ、1冊目『骨絡調整術』、2冊目『筋絡調整術』は理論よりも手法の紹介がメインで、3冊目となる本書で根幹となる理論が説明されている。
ちなみに僕は、前の2冊についても購入、実践している。

効果が有るか無いか?

新しいトレーニング理論を説明する本で大切なのは「効果が有るか無いか?」の1点だ。
結論から言うと「効果は有る」実際に本書に書かれたトレーニングを試すと0秒で体が変わる。

例えば、人工芝の上に裸足で乗ると、

『足指からの刺激が体を勝手に奥から動かすので、それだけで体が変化する。』P.82より

ため、乗らないときよりも深く前屈できると書いてあるが、実際に試してみると本当に深く前屈できた。
自分だけだと思い込みの力のせいかもしれないと妻にも試してもらったが、効果が有った。
他のトレーニングについても同様に0秒で体が変化するのを体感できた。

 体がどのように変化するのか?

僕が実感した変化は「体幹の柔軟性」「肩の可動域の向上」「体の繋がりの向上」だ。
おかげでパンチのリーチが伸び、フックの威力が上がった。
また、「格闘技を練習する前の準備運動」「疲労が溜まって固くなったところを動かして回復を促す運動」としても効果が高いと感じた。
また、「人工芝の上に乗っているときだけ柔軟性が上がっても、実際の試合はマットや畳の上でするので意味がないのでは?」と思うが、トレーニングを繰り返し続けると体が「奥から動かす感覚」を覚えていくため、普段の動きの質も向上していくみたいだ。

 著者の平直行氏は54歳で現役で36歳の菊野克紀選手と1ラウンド3分のエキシビジョンマッチをしている

2018年17日、舞浜アンフィシアターにて開催された『巌流島 全日本武術選手権 2018 in MAIHAMA』で、著者の平直行氏は54歳で36歳現役バリバリのの菊野克紀選手と1ラウンド3分のエキシビジョンマッチをしている。
エキシビジョンマッチのため、勝敗は無かったが善戦された。
サザエさんの磯野波平(54歳)現役バリバリの元UFCファイター(36歳)に対峙してエキシビジョンマッチとはいえ、1ラウンド3分を戦い抜いたといえば凄さが少し伝わるだろう。
この事実が平直行氏が実践されているトレーニングの効果の程を現している。

 本書を買ったら、先ずトレーニングを試してほしい

本書で紹介されているトレーニングは、1人でもできる簡単な方法が多く、
また、畳み三畳分くらいの狭いスペースでできるため、自宅でもすぐに試せる。

人工芝、スポンジ、ビー玉などが必要だが、ダイソーなどの100円ショップですぐに手に入る。
それに、トレーニングの具体的な方法について、著者自身が演じている写真を多く使って説明されているため、分かりやすい。
本書を買われる予定の方は、買ったその足で100円ショップに寄って人工芝、スポンジ、ビー玉を買い、家に着いたら、理論の説明を読む前に実際にトレーニングを試してほしい。
理屈は分からなくても、自分の体が0秒で変わるのが体感できる。
そして、体感後に理論の説明を読めば、理解するスピードが速くなるはずだ。

あとがき

僕は、グラップラー刃牙が好きで、その流れでモデルとなった平直行氏のファンになった。
その後、下でお勧めの本として紹介している「平直行の格闘技のおもちゃ箱」がとても面白く、物書きとしての平直行氏のファンにもなった。そんな、平直行氏が無意識的運動術シリーズ、1冊目『骨絡調整術』を出版されたとき、正直うそ臭いと思った。
でも、「プロ格闘家として長年活躍した平直行氏がこれだけはまるんだから何かあるんだろう」、「実際に自分の身体で確かめてみたい」、「純粋に平さんに会ってみたい」という思いが積もり、大阪で開催された『骨絡調整術』に関するセミナーに思い切って参加してみた。
そこで実際に一瞬で体が変わるのを体感した。
それから、「サムライメソッドやわらぎ」を自分なりに格闘技の練習に取り入れている。
しかし、当時のトレーニングは、個人個人の感覚に頼る部分が多く、僕は効果を体感したが、人によっては体感できなかったのでは?と思う。
本書『皮絡調整術と無意識領域の運動 触れるだけでカラダの奥が動き出す!サムライメソッドやわらぎ』で説明されているトレーニングでは、その部分が改善され、再現性がとても高くなっている。
今後もどんどん進化していき分かりやすく試しやすくなっていくと思う。

ちなみにセミナーで実際に会った平さんは明るく気さくで面白かった。
「分からないこと」を質問されると正直に「分からない」と回答され、
「分かること」「できること」と「分からないこと」「できないこと」を明確に分けて説明されていたのが印象的だった。

同著者のお勧めの本

平直行氏の本では、いちプロ格闘家の経験を書いた「平直行の格闘技のおもちゃ箱」が読み物としてとても面白い。
ぜひとも読んで欲しい。

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