【入試分析】普連土学園 2024年 1日午前 算数

 普連土学園の2024年1日午前の入試問題を講師陣で解き、感想をまとめてみました。

※難易度は、五段階で評価します。
    解なくてもよい=☆☆☆☆☆
    解なくてもよい=☆☆☆☆
     合格を左右する=☆☆☆
       合格に必須=☆☆
  解けることが受験資格=☆


大問1

(1)(2)(3)☆

小数と分数の混ざった計算問題です。
工夫は必要ですが、難しいとまでは言えません。
日々の計算トレーニングを怠らないでください。

大問2

(1)☆☆☆☆

公倍数の問題です。
「11」と「23」という少し大きめ数の公倍数であることと「4桁」かつ「偶数」という条件が、手数を多くしています。
基本問題ではありますが、「数が大きい」「3桁と奇数を削る」という作業で、ミスをする子は出てくるでしょう。
大問2の(1)に置くには、面倒くさい印象です。
ミスと時間ロスの可能性、全体の難易度、大問2(1)という置き所から考えると、捨て置いて良い問題な気がしたので「☆☆☆☆」にしました。
逆に、この問題で面喰ったり、焦ったりすると後半でミスを連発するかもしれません。
こういう問題が出たとき、「他に解きやすい問題があるし」と捨て置く余裕が大切になります。

(2)☆☆☆

シンプルな「出会い算」です。
ただ、「3回目」と「答えが分数になる」という点で、「☆☆☆」にしました。
小学生は、こういう問題で「分数になっちゃったけど、大丈夫かな」と不安になるものです。
「とりあえず、他の問題を解いてから考えよう」と、見直しを後回しにする心の準備が必要です。

(3)☆☆

展開図の2面を繋げた長方形に対角線を引き、全ての点に対応するアルファベットを書き込む作業をしてから、対応する面に直線を引く問題です。
作業を文章化して伝えるのが難しいですが、作業を理解すれば解けるようになります。

大問3

(1)☆

「全体」と「残り」という表現に注目する問題です。
小学生はその違いを見落としがちですが、中学受験生は見落としてはなりません。Aさんが取った後の残りが全体の3/4になるので、残りの1/3のBさんも全体の1/4になります。

(2)☆

同じ作業の繰り返しです。AさんとBさんが取った後の残りが、全体の1/2になるので、Cさんが取った残りの1/3は、全体の1/6となります。

(3)☆☆

Cさんが取った後の残りがDさんになるので、4人を比較するだけです。
逆に、この問題で「理由を答えなさい」と求められるのはプレッシャーです。
「どこまで丁寧に?」と疑問を抱くくらい手数が少ないので、真面目な子は「手を抜きすぎると減点されるのか?」と疑心暗鬼になる気がします。
そのプレッシャーの分だけ、「☆☆」にしました。

大問4

(1)☆☆

どの点を中心にして回転しているかを把握し、どの長さが半径になっているかを間違えずに90度のおうぎ形の弧の長さを合計する問題です。
基本問題なので、慣れていれば問題ありません。

(2)☆☆☆☆

(1)と同じ考え方で解く問題です。
おうぎ形の中心角が変化することと答えを四捨五入するという点で、ミスする小学生は増えそうです。
中心角の角度が変わるとき、上手くイメージできない小学生は多いです。
ただ、問題の構成、全体の難易度から考えて、この問題を取れなくても合格すると思うので「☆☆☆☆」にしました。
普連土を第一志望にする子は、この問題を解けなくても悲観することはありません。

大問5

(1)☆☆

N段目の一番右端の数字が、Nの平方数になっていることに気付くだけです。
20段目の右端は「400」となり、20段目の左端は「362」となるので、あとは自由に考えてかまいません。

(2)☆☆☆

考え方は(1)と同じです。
20段目の左端が「362」となり、21段目の右端が「441」になります。
あとは、「362」から「441」までの連続する整数の和を計算するだけです。
問題が難しいわけではありませんが、数が大きくなるのでミスは増えると思います。
その点で「☆☆☆」にしました。

大問6

①~⑨ ☆☆

「つるかめ算」を言語的に理解する問題です。
問題自体は難しくないので、出題形式に慣れているかどうかだけだと考えています。
「つるかめ算」を一行問題的形式で処理できるけど、論理的には理解できていないという子を弾くためなのでしょう。
それほど難しくない気がしますが、苦手な子はいるかもしれません。
テキストには、あまり収録されていない問題形式なので、早い段階で同様の形式の問題の対応力を確認しておく必要があるかもしれません。
普連土を第一志望にする子で、12月くらいになって「実は苦手にしていました」というようなことが発覚すると、対応力を身につける前に受験日が訪れてしまうかもしれません。
意識しておいた方がいい問題形式です。

【総括】

[ポイント]

問題は難しくはないのですが、数字が大きかったり、細かかったりと、小学生がミスしやすい作りになっています。
前半にそういう問題があることから、「見直しは、後回しにする」というような計画性、心の準備が必要です。
戦略次第ではミスが増え、合否を分ける可能性があります。
切れ味鋭く算数が出来る子よりも、基本問題を堅実にこなせる子が合っていると思います。
問題文を注意深く読み、日頃から勘違いしないように心がけましょう。
試験時間は60分間あるので、焦らずに一つ一つ丁寧に解く姿勢が大切です。
問題を上手く選んで、ミスをしないように心がけていれば、算数が苦手な子でも合格にたどり着きやすい問題ではないでしょうか。

[テキスト]

SAPIXである必要はありません。
中身を全部は知らないので正しいかは不明ですが、直感で言えば日能研のテキストが合う気がしています。
SAPIXの合格実績が多いのは、1日午後の算数単科の合格者が多いからとして、日能研は71名で早稲アカが56名のところから考えても、『予習シリーズ』である必要もなく、どちらかと言えば日能研のテキストの方が相性が良いのでしょう。
『新演習』でも問題ありません。

[模試]

サピックスオープンは不必要です。
選ぶなら日能研の合格力判定テストだと思います。
『予習シリーズ』系の学習塾でなければ、四谷大塚の合不合判定テストも不必要です。
合判模試に対応できていれば、十分戦えると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?