#88 職人音の夢
ドミノとシイナ、そして2人を守る護衛の明は次の夢へと入りました。
「な、何も聞こえないね」
古い通りにたたずむ一同は耳を澄ませましたが、聞こえるのは自分達の呼吸音だけでした。
「シロイト、案内をお願いします」
シロイトはクルリと体を回転させ、返事をするとスルスル通りを進みました。
シュッ…シュッ…シュッ…
音のない夢に、何かを削る音がきこえて来ました。
「あそこの様です」
くたびれた暖簾をくぐり、シロイトは夢のカケラを手に戻ってきました。
「これはまた、不思議なカケラですね」
風に揺れた暖簾の奥に人影が見えました。
懸命に、そして寡黙に彫刻刀を動かす老人の姿が見えました。
足元にたまった木くずを見つめ、この夢主は夢の中でも仕事をする職人なのだと分かりました。
BOX SPACE:夢現
風の子と契約を結んでいるコントラの「ドミノ」と「シイナ」。
ドミノ達は、夢の向こう側(現実)から迷い込んだ迷人(まよいびと)の夢に入り、「夢のカケラ」を集める役目がある。
かつて世界を守っていた8人の王達の墓には、眠人(ねむりびと)が『墓の鍵』を眠りながら守っている。眠人(ねむりびと)の眠りを安定させる為に夢のカケラは必要なのである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?