デザインノート「願いを叶える為に鐘は鳴る(仮)」

【注意】このデザインノートはゲームを作る前に書くことで、ゲームでやりたいことを明確化する目的で書いています。実際できあがったゲームとは違うルールを想定している可能性が多々あると思いますし、そもそもできあがる保証もないです。あと、この文章はゲームができあがったあとに書いている体で書いています。

自分だけのオリジナル異能力を欲しい!それが原点でした。昔から「甲賀忍法帖」とか「ジョジョの奇妙な冒険」とか「DTB黒の契約者」とか「うえきの法則」とか「SPEC」とか好きなので、そう願うのは自然なことでした。
ただ各プレイヤーが自由奔放に異能力を考えてもゲームとしてまとまらないので、うまい具合の制約が必要でしたが、それがなんなのかずっとわからず月日は過ぎていきました。

そんなある日、アマゾンプライムビデオで平成仮面ライダーシリーズを観ようとふと思い立ちました。とりあえず最初から順番にと思い、仮面ライダークウガから観ていきました。今まで仮面ライダーシリーズを観たことなかったので、知識もぜんぜんなく結末を知らずに先の展開にワクワクしながら観ることができました。クウガを観終わり、龍騎を観始めました(当時のアマゾンプライムビデオにはアギトがラインナップになかったのです)。そこでハッとなりました。龍騎は仮面ライダー同士が自らの願いを叶えるために戦い続ける話です。そうですバトルロイヤルです。繋がりました。異能力者同士のバトルロイヤルものにすればよいのです。だいたいの異能力者はだいたい戦うのに(偏見)、なぜそこに思い至らなかったのか、いま思い出すと逆に不思議であります。

ただ問題は残ります。バトルロイヤルにすることで、たとえば「とてつもなくおいしいスパゲティを作る」異能力は除外できますが(ほんとうのほんとうは非暴力の異能力もとても好きなので除外したくはないですが)、「念じるだけで殺す」みたいな強すぎる異能力の扱いが難しいままです。そこで出てきたのが「順位」です。作成したキャラクターである各異能力者は最後の一人になること(つまりは1位)を目指しますが、それを操る各プレイヤーは異能力を考えたあとランダムに決めた順位になることを目指します。このルールにより、暴力として強すぎたり弱すぎる異能力を設定しづらくすることが狙いです。たとえば「念じるだけで殺す」能力者の「順位」が5人中5位だったら負けるのが難しくなりますし、「とてつもなくおいしいスパゲティを作る」能力者の「順位」が1位だったら相手を殺して生き残るのが難しいからです。これでちょうどよい強さ(暴力)の異能力を考えるゲームになったのではないでしょうか。

「順位ルール」の副作用として、戦闘時の判定(ここではサイコロなどを使ってプレイヤーのやりたいことができるかランダムに決定するという意味)を省略することもできました(実はこのゲームに限らずなるたけ判定を省略したいという個人的テーマがあったりします)。各キャラクターの「順位」は互いに秘密なので、誰が1位になるのか誰が最初に死ぬべきかお互いにわからないままです。なのでプレイヤーは自分の順位を秘密にしつつ他のプレイヤーに自分の順位を伝える工夫が必要になります。具体的にいうと「一番最初に死ぬべきなので死亡フラグをキャラクターにばんばん言わせる」とか「最後まで生き残らなければならないのでキャラクターに主人公ムーヴをさせよう」とかです(主人公だからといって必ずしも最後まで生き残るわけでないところも悩ましい)。お互いのそういった情報から推測して戦闘描写を行うので、判定は必要ないのです。また、キャラクターとしては飽くまでも1位になることを目指すのにプレイヤーとしては必ずしもそうではないというギャップが、メタ的な可笑しさを誘発する場面描写に繋がればよいと思っています。

他のプレイヤーが考えた異能力のわからなさっぷりに困惑したいという気持ちを叶えるため、「段階的な異能力描写」のルールを設けました。最初は異能力を発動した結果だけを端的に描写します(異能力がどのように作用したかという描写はしない)。次に異能力を発動したときはもう少し詳しく、、、と言った具合です。
具体的にいうと、
壱段階目「階段を上っていたはずなのに気づいたら逆に一段降りていた」
弐段階目「広範囲に置いてあった物がまったく同時に壊れた」
参段階目「実は時を止めれる異能力だった」
みたいな感じです。
徐々に情報を増やすことで、相手のキャラクターの異能力の正体を推測する楽しみが生まれます。ちゃんと推測することで、勝ったり負けたりするときの戦闘描写がしやすくなるはずです。

異能力バトルロイヤルの舞台となった井府市のイメージの源流になったのは、「夕闇通り探検隊」の陽見市です。陽見市は東京都八王子市と日野市の間にあるとされる架空都市です。架空都市なんですが甲州街道が通っていたり多摩川が流れていたりと実際にある地形を取り込んでいて本当にありそうな架空都市となっています。昔、八王子市に住んでいたこともあって、そんな市は隣にないことは知識としても肌感覚でも知っているはずなのにでもなんかありそうという矛盾を脳が勝手に補完するのか不思議とリアルさは失いませんでした。
派手に建物を壊したり非倫理的行動なんだりする描写は実際にある都市でやると抵抗があるというのと、ゲーム世界の説明を省略するため現代日本にしたいという2つの要望を満たすのが、実際にありそうでない架空都市だったのです。

名前の井府市は「アニメ打ち上げ花火下から見るか横から見るか」の劇中舞台となった「イフ市」(たしかこんな名前だと記憶しているのですが漢字が思い出せません)をもじったものになります(劇中舞台のモデルは千葉県なので名前だけです)。英語のifをもじったものであり、複数の可能性を表現した平行世界の存在を匂わせつつ「畏怖」の同音異義語でもある欲張りなネーミングなので採用しました。漢字は実際にありそう感で選びました。

舞台装置としての井府市のモデルになったのは「Fate/Zero」の冬木市です(なぜFate/ZeroなのかというとFateシリーズはZeroしか知らないからです)。願いを叶えるためのバトルロイヤルという部分も同じですし、異能力の部分をサーヴァントに置き換えると、とても似ていますね。「魔界転生」も読んでみます。

季節として冬を選んだのは、真っ白い雪のなかで真っ赤な血を流して死にたいからです。やはり死ぬときは雪の上がよいですよね。ビジュアル的にも映えますし。あと、世間がクリスマスだぁ年末だぁと浮かれているその裏で異能力者同士が殺し合いをしているのってエモくないですか??あとあと、時間加速能力者を毒入り雪で殺すこともできますよ???

このゲームタイトルにもしている鐘なんですが、不特定多数の人間に届き、かつ厳かなイメージを与えるものということでキーアイテムとして採用しました。鐘の音を合図にバトルロイヤルがはじまる設定にすることで、導入をスムーズにする意味合いもあります。仮面ライダー龍騎劇場版でパイプオルガンのある廃墟となった教会から想起しました。
ゲームの導入でプレイヤー全員が「ゴーンゴーン」と鐘の音を真似て発声しゲーム終わりにプレイヤー全員が「ゴーンゴーン」と発声して終わるというルールは、「ドグラマグラ」の時計の音からのイメージで、このゲームセッションはループ世界における可能性時空の一つであることを意識するための儀式でもあります。

「発動条件」と「対価」をアドバンスドルールにしたのは、異能力を必要以上に複雑にしないためとゲーム時間の削減のためです。
「発動条件」を設定することで強いけど発動しづらい異能力を表現できますが、必須ではないと考えます。お好みでどうぞ。
「対価」は「DTB黒の契約者」からの借用で、「DTB黒の契約者」本編同様に異能力を使用後、代償行為をしないとならないという強迫観念に囚われるというものです。「物を等間隔に並べる」とか「異物を口に入れる」とか「指を折る」とかです。異能力の強さに直接関わらないのですが、単純に代償を払う描写が楽しいで採用しました。ただ楽しい代わりに描写の時間が増えてしまうのでアドバンスドルールとしました。

こんな思いで作ってみました。自分の狙いは上手く機能していますでしょうか?

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