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J Dilla「Don't Cry」

今日の曲は、J Dilla「Don't Cry」。

Sample元は、The Escortsの「I Can't Stand(To See You Cry)」。

J Dillaは、2000年代に入るとスラム・ヴィレッジで『Fantastic Vol.2』によってメジャーデビューすると共に、新しいプロダクションチームThe SoulquariansをThe Rootsのドラマーuestlove、ディアンジェロ、James Poyserらと共に結成した。また、エリカ・バドゥ、Talib Kweli、コモンらを含む数多くのアーティストに向けて、The SoulqueriansとしてもJay Deeとしてもプロダクションを手がけてヒットを飛ばした。

彼のソロ・アーティストとしてのデビューは、2001年のシングル「Fuck The Police」であった。ファーストアルバム『Welcome 2 Detroit』は、イギリスのインディーレーベルBBEから〈Beat Generationシリーズ〉として発表された。同年、彼は自身の芸名をJay DeeからJ Dillaへと改名した。これは同業者Jermaine DupriがJ.D.へと改名したため混同を避ける為だと思われる。そしてソロキャリアを追うためにスラム・ヴィレッジから脱退した。

2002年メジャーレーベルMCAでソロとして契約すると、Frank-N-Dankのアルバム『48HRS』全体を手がけるがリリースされず、MCAから商業的な曲を作るように要求され、再度録り直しをするも結局、お蔵入りしてしまった。このことに彼は落胆を表明していた。ちなみに同作は、10年後の2013年にDelicious Vinulレーベルから『48 Hours』のタイトルで発売されている。

彼はラッパーとしてよりはプロデューサーとして知られていたが、MCAからリリースするはずであったアルバムにおいてラップに徹して、プロダクションについては彼が認めるアーティストであったマッドリブ、ピート・ロック、Hi-Tek、Supa Dave West、カニエ・ウエスト、NottzやWaajeedらに依頼した。しかし、このアルバムの音源自体は完成していたものの、2003年にMCAがゲフィン・レコードに吸収されたことを受けて、リリースされずにお蔵入りとなってしまった。ちなみに同作は、2016年に『ザ・ダイアリー』としてリリースされた 。

今回の曲「Don't Cry」は、2006年2月7日にストーンズ・スロー・レコードによってリリースされたJ・ディラによる2枚目のスタジオアルバム「Donuts」に収録されている。彼の死の3日前の32歳の誕生日の日にリリースされた。

このアルバムは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とループスによる合併症を患っていたことにより、主にJディラのシーダーズ・シナイ医療センターでの長期滞在中に2005年に録音された。アルバムの31曲のうち29曲は、45rpmのレコードプレーヤーとボスSP-303サンプラーを使用して、Jディラの病室で録音された。

Jディラの大傑作インストゥルメンタルヒップホップの古典として、そして史上最も影響力のあるヒップホップアルバムの1つとして、多くのジャンルのアーティストにインスピレーションを与えた。

ドーナツには31曲が含まれているが、これはレコーディング時のJディラの年齢。ほとんどの曲はかなり短く、それぞれ1〜2.5分の長さで実行され、スタイルとトーンが異なる。トラックの順序も珍しい。アルバムはアウトロで始まり、イントロで終わる。最終トラックの終末は、最初のトラックの開始に流れ込み、無限のループを形成し、ドーナツの円形の形をほのめかしている。

Sample元の曲もメロウでソウルフルなめちゃくちゃいい曲だが、ここまでスタイリッシュでクールな曲に仕上げてしまうその感性はまさに神に愛された才を感じざるを得ない。

今日の写真は、ドメスティックブランドの「Girls Don't Cry」のロゴ。

ガールズドントクライとはグラフィックデザイナーのヴェルディ(VERDY)氏が手掛けるプロジェクト。 プロジェクト名の由来は“泣かないで”を意味する「Girls Don’t Cry」。 VERDY氏の妻へ向けた“いつも笑顔でいてほしい”という思いが込められたもの。

今回の曲とは特に関係はないが、両者とも「泣かないで」という名前はとても素敵だと思う。

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