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【PODCAST書き起し】山内ケンジさん(劇作家・演出家)と城島和加乃さん(プロデューサー)に演劇と「城山羊の会」について聞いてみた(全5回)5,城山羊の会の公演と劇場とこれから

【PODCAST書き起し】山内ケンジさん(劇作家・演出家)と城島和加乃さん(プロデューサー)に演劇と「城山羊の会」について聞いてみた(全5回)
5,城山羊の会の公演と劇場とこれから

【山下】またこのあと、この城山羊の会とさっきのミステリーツアーを並行してやってらっしゃる、あと俳優のマネジメント?

 

【城島】そうです。俳優のマネジメントは、業務提携している会社さんがあるので、一緒にやってもらっていて。会社作って10周年のときに『イーピン光線』っていう作品が……

 

【山下】見た、見た。

 

【城島】これ皆さん、大絶賛してくださって。山内さんが書いた群像劇、すごい人数が、人数忘れちゃいましたけど。

 

【山下】下北沢演劇祭参加作品だった。

 

【城島】はい。これが本当に面白くて。

ただ記録で撮っただけの映像を、何とかつなげないかなとずっと思ってるんですけど。果たして1本見れるものになるのかどうかっていうぐらいの撮り方しかしてないんで。でも記録としてはつないで残したいなと思ってるぐらい、いい作品っていうか。

だからもっとこういう群像劇みたいな、たくさん出るのも書いたらいいのになと思うときもありますけど。ご本人が6、7人が書きやすいって。

 

【山下】そうなんですね。

 

【山内】それはね、劇団と同じで企画ものじゃない。全員出すっていうさ。

 

【城島】ちょっとでもいいみたいなね。

 

【山内】そうそう。そういうのがあると、書きやすいんだけど、逆に。

もう最後の1シーンしか……

 

【城島】出ない子とか。

 

【山内】出ないとか。そういうの面白いと思って。なかなか今みたいにプロデュース公演で、こちらからオファーして、となるとなかなか難しい。

 

【山下】なるほどねえ。

 

【城島】あと山内さんには、2013年にAXNミステリーというCSチャンネルでテレビドラマ化されたミステリーの、視聴者参加型推理ミステリーみたいなのの監督をしてくださって。今度こんなのやるんですよって言ったら、山内さん覚えてないんだけど。私が「今度こんな話があるんですよ」って言ったら、「へえー、僕、監督するよ」って山内さんが言ってくださって。それでうそでしょみたいな、本当いいんですかみたいなことが1回あって。

そのときに山内さんが撮ってくださっただけじゃなくて、すごい勉強になったんですよ、作り手として。

 

【山下】何が勉強に。

 

【城島】1つの事象を説明しようとすると、どんどんこてこて説明大きくなりがちなんだけど、そこをあえて削っていくみたいな。言葉で言うと簡単なんですけど。そのことを言ってくれたことが……。

 

【山下】削り落としていくということなんですか。

 

【城島】削り落とし方って、もちろん物語とか推理とかトリックに連動してるので一概には言えないんですけど。そのときに言われたときに、山内さんの中には静かな演劇的な精神というか、それに気付いたというか、知ったというか、すごい勉強になって。

今の、うちのかたちがちゃんと演劇として成立してるから人気があるみたいなのは、昔、岩松了さんが書いてたとか、途中でミステリー作家の綾辻行人さんと知り合って、すごく良くしていただいたりとか、山内さんに助言いただいたりとかして。ただのイベントじゃなくて、ちゃんと見るに堪える演劇にしようって。見るに堪える演劇っていうと他の人たちに失礼ですけど。やっぱり演劇をちゃんとしなければ、どんなにゲームが楽しくてもっていうのを

 

【山下】基本をちゃんとっていうことですよね

 

【城島】本当にそのときに、2013年に監督していただいたときに。本も若手が書いていたのを本当に1ページ、1ページすごく丁寧に脚色するのを手伝ってくれて。「今日、本の会をやろう」みたいなのをして、週に1回、何回か集まっては、こうだよね、こうだよねってやってくれて。

そういうのを通してすごい私も勉強になりましたし、今のうちが作っているミステリー演劇のスタイルになったのは、そのときの影響がすごい。

 

【山下】じゃあ、2013年がきっかけになった、転機という。

 

【城島】そうですね、今、初めて感謝と告白をしますけど(笑)。

 

【山下】それはパッケージか何かになってるんですか。

 

【城島】まだなってないんですよね。ちょっと早いというか、今ブームになっているので、今こそ再放送とか、サブスクリクプション出したら、たぶんすごくいい企画だと思うんですけどね。

【山下】いいですよね、配信とかでね。

 

【城島】そんなことがあって。何でしょうね、お兄ちゃんとまでいかないですけど、従兄弟のお兄ちゃん。

 

【山下】従兄弟のお兄さん。

 

【城島】(笑いながら)親戚の、たまに会う従兄弟のお兄ちゃんぐらいな。

 

【山下】僕も親戚のお兄さん的な感じがするんですよね。なんでか分かんないけどね。割と家族の人たちが見えるからかもしれない、なんとなく頭の中に。

 

【城島】みんなご存じですし。

 

【山下】そうなんですよ、それもあるのからかもしれないんですけど。

じゃあ、城島さんの会社というか仕事は、これからこのままずっとこの感じで進めていくっていうような。

 

【城島】いや、私、山内さんにね、城山羊の会の何周年かのときに、何周年かだからパンフレットにコメントを城島さんも書きなよって。今はちょっと書くことが結構増えてきたんですけど。たまにそういうきっかけのとき書いていたんですけど、そのときに書いたんですけど。山内さんがやっぱり最初の1、2回はお試しじゃなくて、続けていくんだってなったときに、さっきも言いましたけど、イベントのプロではあるけれども、劇場とかのいわゆる制作はプロではないので、専門家の人に任せたほうが、もっと山内の演劇が大きくなるんじゃないのかと思ってその話をしたら、「えー、いいよ、城島さんで」って言われました。

(山下の笑い声)

「城島さんがいい」じゃなくて、「城島さんでいい」って言われたので。なので承りましたって言って、ずっとご一緒させていただいているんですけど。

 

【山下】そんなことがあったんですね。

 

【城島】そうなんです。ご本人も覚えているかどうかあれですけど。パンフレットには書きましたよ。

 

【山内】そのころはまだ、確か動員も伸びるかもしれないみたいな。

 

【城島】そうです。だからもっとちゃんと演劇のプロモーション知っている制作さんに頼んだら、もっと山内さんの演劇の世界が広がるんじゃないかなって思ってお話したんですけど、城島さんでいい! って言われたんです。

 

【山内】確かにそういうプロデューサーがいて、もっと有名な芸能界キャストみたいなの呼んで、本多劇場とかでっていうコースも、うーん……。そうですね。

 

【城島】あったかもしれないですね。

 

【山内】あったかもしれないですけどね。ただまあ、それがどんなんですかねえ,分かんないですねえ。続けられたかどうか。

 

【山下】そうですね、続けるほうはなんかすごい……

 

【山内】さっきも言ったように、知らない人は書けないから、結局。

うーん、なかなか……、難しいんじゃないかな。

さっきも言ったように、最近になってやっと分かったんですけど、1,500人か2,000人とか、そのぐらいなんですよね、見てくれるのが、城山羊の会は。

中には、はなからこれダメな人もずいぶんいるから。

 

【山下】ダメな人というのは、あんまり好きじゃないって人?

 

【城島】城山羊の作品をですか?

 

【山内】そうそう。

 

【山下】でもみんな作品ってね、好き嫌いが絶対あるものだし。逆に熱烈に好きな人もいると思います。

 

【山内】もう一部。だからそれがね、もう本当に一部にいる。

 

【城島】そんなこともないですけど。

 

【山下】一部じゃないです。

 

【山内】本当に一部なんです、いいんですけどね、それで。

それが分かってきたので。

 

【山下】なるほど。

 

【山内】なかなか……。やっぱり大きくしていくっていうか、こう……、というのが何かあるんだよね、大衆を取り込んでいく力が。

 

【山下】そういうことですか。

 

【山内】好き嫌いは別としても、何かあるんですよ。

 

【山下】あるんですかねえ。

 

【山内】あると思うな。

 

【山下】逆に、そのデメリットもあるのかもしれない。

 

【山内】デメリット、うーん……

 

【山下】この歳になってくると、細く長く続けるほうが、幸せなんじゃないかなとちょっと思ってきていて。忙しかったときの自分を振り返ると、何か俺、人間的じゃなかったんじゃないかなっていうふうに思うときが。もうこの歳だから言いますけどね。こうやって好きなことをやらせてもらって、これを細く長く続けられるといいなあと感じているんですけどねえ。

 

【城島】私、城山羊の会に関しては、じわじわしてるのがいいんじゃないかと。あっ、って人気が出て、衰退するかどうかはやってみないと分からなかったですけど。私のやっているミステリーのイベントとかも、あんまり流行らせないようにやってきたんですね。

 

【山下】でも今、時代がそうなっちゃった。

 

【城島】時代がそうなっちゃったんです。さて困ったなとなっちゃうんですけど。わあーと流行ると、少し古い感が出ちゃうじゃないですか。

 

【山下】1回ピークを迎えるとね。

 

【城島】そうなんですよ。それが嫌だなと思って。常にあるもの。演劇とかミステリーって、脈々と受け継がれてきたジャンルなんで、常にあるものっていう温度にしておきたかったんですけど、今流行っちゃって。

なので、もしかしたら城山羊の会も、わあーって流行ったら、もしかしたら早めにピーク迎えて、今どうなってるか分からないですけど。じわじわしてる感じが。

あと、この城山羊の会を知っている優越感。観客の方が「城山羊の会、知らないの?」とか、そういう優越感みたいなのがあって。

 

【谷】僕、山下さんから教わって入りました。

 

【山下】城山羊の会にね、そうですよね。

 

【城島】じわじわしてる感じがいいんじゃないかなと思って。でも、じわじわと2,000から2,500人の人が来るようになったんでね。ここから3,000ぐらいをうろうろするっていうので、山内さん良ければ、この感じでいくのが、好きな人にとっては、至極の幸せみたいな気がするような。

 

【山下】そうですね。

 

【山内】なんかね、これからだんだん下がっていく気がするんですよ。

 

【城島】そうなんですか。

 

【山内】今回そう思いましたね。この辺が限界かなあみたいな。

 

【城島】でもそれはさっき山内さんもおっしゃいましたけど、キャスト? 

今回のキャストが無名だとかそういう意味じゃなくて、好きな人とやりたいことをやるっていうので。

 

【山内】岡部たかしさんは何か有名になっているからね、逆に。

 

【城島】ま、だからといって岩谷君と岡部君をテレビで見て、あの人の演劇を見ようと思わないかもしれない(笑)。

 

【山内】中にはいたかもしれない。

 

【城島】中には、いるかもしれないですね、まあ確かに。

 

【山下】ドラマ『共演NG』で毎週見てましたけどね、あの2人。

 

【山内】あれなんか、大根(仁)さんが芝居を観に来て。

 

【山下】あっ、それでか。

 

【山内】そうです。

 

【山下】大根さん演出だったから、それで。

なるほど。やっぱり、そういうのがあるんですね。

 

【山内】業界の人が多いんですよ、城山羊の会は。

 

【山下】あっ、そうか。業界の人が多いのか。

 

【山内】業界の人がすごく多いですよ。

 

【城島】山内さんの演劇に出ると、案外そのあと……

 

【山内】業界というか、CM、テレビ、映像業。

 

【城島】松本まりかちゃんとかもね。

 

【山下】そうですね、松本さんはメジャーになられましたね。

 

【山内】あんな人はね、もうダメ。もうこれ以上、無理!

 

【山下】それは割とエキセントリックな表現だから? でもないのかな。

 

【山内】僕がどんどんね、嫌な方向にしていきたいんですよ。

 

【山下】でもそれをやりたいんでしょ、山内さん。

 

【山内】あのね、昔はそんな……、だって『葡萄と密会』なんか全然そんなことないでしょ。初期の頃は全然そんなことないんです。

 

【山下】そうですね、確かに。

 

【山内】小劇場が好きでやってたというとこありますね。深浦さんをいかに生かすかみたいな。どんどん変わっていってますよ、変わってはいるんですよ、小劇場。

 

【山下】そりゃそうですよね、作家の作風も変わってくるんで。

 

【山内】今の状況っていうのが、演劇界の流れっていうのが、比較的真面目ですよね、とても。

 

【山下】そうねえ、社会的なやつを描いたりとか増えてるねえ。

 

【山内】結構真面目なのと、何て言うんだろう。こういう時代だから、最後は希望みたいなとか、安心したいみたいな、救われたいみたいなのが、当然あると思うんですけど。それから何かすごく勉強になるとか、ためになる、今日は良かったなあ。そういうのとは違うので。何でこんなもの見させられたんだろうみたいな。何で岩谷の全裸を見なくちゃいけない、そういうふうになっちゃうわけですよ。

 

(山下の笑い声)

 

【山内】そういうふうになっちゃうわけ。そうすると、どんどんお客さんは引いていきますよね。

 

【山下】でも逆に言うと、僕、メジャーになっていって売れていくと、チケット取りにくくなっちゃうじゃないですか。そうすると無理して取ろうと思わなくなっちゃうんですよ。それはもう僕には縁がないから、普通に行けるやつだけ行こうっていう。チケット代もどんどん高くなっているから、コクーンに毎週なんか行けないじゃないですか。月に出しても3万円ぐらい?そしたら3千円ぐらいのやつを10本見るか、1万円のやつ3本だったら、たくさん見たいほうなんで。それはファンとしてすごくあるんですよね。

だからいつも新国立劇場はB席しか取らないし、とかね。そんなのをやっていて。たくさん見れると自分の気持ちはすごく安らぐ。演劇にはその効用があるので。その規模で続けていってもらうのも僕はいいなと思います、本当。

 

山内さんはどうですか。何かこれからこれをこうしていこうかなとか。

来年、また公演をやるんでしたっけ?

 

【城島】一応、年に1本。今のところ、2023年までは決まってます。

 

【山下】おお! 素晴らしいですね。2年先までですね。

山内さんは来年、再来年どうしようとかっていうのは、そんなにずっと考えてるわけじゃないと思いますけど、公演が近づいてきたらどうしようかなみたいな感じなんですか。それまではずっと俳優を見てる感じ?

 

【山内】そうですね、キャストをですね、とにかく。

 

【山下】キャスティングの人なんですね。

 

【山内】ええ、キャスティングの人なんですよ。だからキャストは絶えず毎日……

 

【山下】チェック?

 

【山内】うん、チェック。今週もずっとキャストのチェック。毎日芝居見に行ったり。

 

【谷】そうですか。

 

【山下】いいねえ。

 

【山内】だってキャストのチェックっていうのは、どうしても小さい劇場になるんですよ。

 

【山下】ですよね。

 

【山内】だって大きな劇場、コクーンに行ったって、もう出てる

人はみんな有名な人たちで。ちょい役でちょっと無名な人。

 

【山下】そうですね、ちょっとしか出てなくて、いい俳優なのにね。

 

【山内】ちょこっとしか出てなくて、分かんないよ、全然。

だからどうしても小さな劇場を見に行きますね。

 

【谷】1度、山内さんが劇場でお隣になったことあるんですよ。

 

【山内】そうですか。

 

【谷】アトリエ春風舎で。あっ、今年のね、3月ぐらいだったかな。

 

【山下】小竹向原。

 

【山内】だから青年団が行っちゃったでしょ。

 

【谷】豊岡にね。(※兵庫県 豊岡市)

 

【山内】うーん、痛いですよね、アゴラと春風舎が。青年団がやらなくなったらね。案外小さい劇場が……、そうですねえ。本多グループが本当に多いですよね。トップスも本多グループ。

 

【山下】トップス、本多グループになりましたよね。

 

【城島】トップスが復活したの、何かすごくうれしいですね、本当に。

 

【山下】本当うれしいですよね。トップスで今度、城山羊の会をやるっていうのはあるんですか。

 

【城島】いやあ……。

 

【山下】「いやあ」なんだ、何で?

 

【城島】いやあ、どうでしょうねえ、何か……

 

【山下】こっから近いから行きやすい。

 

【谷】やっぱりお値段も高いですか?

 

【城島】新生トップスになってからチェックしてないので分からないですけど。

 

【谷】でもこの間、綿貫さんがおっしゃってたけど、スズナリと駅前劇場だと、駅前劇場のほうが高いんですってね。

 

【城島】ああ、そうなんですか。

 

【谷】駅から近いからなんですって。

 

【山内】あんまり変わらない……、そう、同じくらいか……。

 

【山下】キャパはスズナリのほうが大きい?

 

【谷】うん、ちょっと大きいかもしれない。

 

【山内】そんなに変わんないんですよ、キャパも。

 

【山下】お金の話はあんまり分かんないから、うちら。チケット代以外は、全然分かんないし。

 

【城島】スズナリもいい小屋で見やすいし。

 

【山下】スズナリむちゃくちゃいいですよ。

 

【谷】昨日も行きましたけど。

 

【城島】城山羊の会っていうテイストと、スズナリってテイスト、何となく合わない感じしません? 私が勝手にそう思ってるだけで、やったらやったで、はまるんですけど。

 

【山下】過去に1回だけされてますか?

 

【山内】何回かありますよ。

 

【山下】いや、違う。『埋める女』もそうだ。

 

【城島】そうですね。3回ぐらい、『トロワグロ』もそうですね。3回はやってると思います。

 

【山下】スズナリの『トロワグロ』むちゃくちゃ印象に残ってる。

 

【城島】美術が素晴らしかったですね。

 

【山下】いやあ、美術も話も面白かったし。

 

【山内】だけどスズナリは満席にしたら、何人だっけなあ。200近くになるの?

 

【城島】200超えますね。

 

【山下】200超えますか。

 

【城島】一応消防法とかあるんで、いろいろ。

 

【山内】難しいですねえ。そこまで……、200きついなあ、やっぱり。

 

【城島】見やすいですけどねえ、傾斜がちゃんとしてるし。

 

【山内】そう、傾斜がすごいからねえ。

 

【山下】傾斜があって見やすいね。

 

【山内】そうですねえ。でもやっぱりちょっと大変だなあ。

スズナリで十何ステージ……。

 

【山下】そういうことか、あっちのほうか。

 

【山内】そうそう。

 

【城島】そうですね。定員はたぶん150とか100後半だったと思うんですけど。

 

【山下】山内さんのお芝居って、声が静かじゃないですか。声量もそんなに大きく張らないから。ある規模までの小屋じゃないと厳しいですよね。

 

【山内】6列までだと思ってるんです。

 

【山下】(笑いながら)本当ですか。たぶんもっと聞こえてると思いますけど。

 

【山内】いや、6列までが限界だと思いますね。

 

【山下】三鷹で僕、後ろから2番目で聞いたけど、普通に聞こえましたよ。

 

【城島】三鷹はすごく努力されて、音の反響を抑えたり、後ろの壁全部黒幕にしたり。

 

【山内】昔は、全然ひどかったです。

 

【山下】そうなんだ。この前むっちゃ小さい声、全然聞こえたから。

 

【城島】森元さんの努力ですよね。

 

【城島】あれ全部1回フラットにして、全部ステージも仮設なんで。見やすいし、聞きやすいし、楽屋は広いし、素晴らしい小屋です。

 

【山下】楽屋広いんですか。そうなんだ、やっぱり公共の劇場らしいんですねえ。

 

【山内】風姿花伝もこの間行った、あれも6列でしたよ。

 

【谷】そんなもんでしたっけ、風姿花伝はもう……

 

【山下】でも風姿花伝の『ダウト~疑いについての寓話』は割と声も大きかったから……。

 

【谷】那須さんの声、後ろでも全然大丈夫でした。

 

【山下】面白かったですね、『ダウト』。

 

【山内】演技の演出というのはどうかはあれなんだけど、それが1番大きいですよね。別に城山羊の会だけじゃないと思うんですけど。基本的には映像と同じ芝居をしてもらうから、ガンマイクがここにあって演技をしてるように……。

 

【山下】すぐ近くに、ここにピンマイクが刺さっているとかですよね。

 

【山内】そう、やるようにって言っているので。

 

【山下】ぼそぼそとしゃべっても聞こえますからね。

 

【山内】そう。だから違いますよね。その辺が大きく違うと思いますよね。

ただ、本当に一部で才能のある役者さんは、大きな劇場でも、まるで映像でお芝居をしているかのようにできるんですよ。

 

【山下】それはすごいことですよね。

 

【山内】そうなんですよ。全然大げさじゃないのに声が通るっていう。それが岸田今日子さんとか橋爪さんもそうですよね。すごい珍しいタイプ。

 

【山下】そうすると、逆に、山内さんが、今俳優探しをっていうか、いろいろ見てらっしゃると思うんですけど、そういう人たちが見つかってくると、少し大きなところでやってみようというのはあるかもしれない。

 

【山内】全然思わない。

 

【山下】思わない(笑)。まあ、そうですよね。

この前、落語の話をしてたんですけど、落語家さんも狭いところでやると、割とみんなに通るけど、デカいところでやると、やっぱりやり方を変えないといけないということをおっしゃってて。

 

【山内】でもデカいところは、マイクあるんでしょ、大抵、落語。

 

【山下】あるけど、何となく全然違うものだとみんなおっしゃっていて。なるほどなと。逆に演劇はマイクないから、ほとんど。でも最近使ってるの結構ありますけどね。

 

【山内】大きいとこは相当使いますよ。

 

【山下】使ってますよね。だから一概には言えないけど。

でも城山羊の会とか、山内さんの舞台は、そういうような大声を出さずとも、効果的なものということなのかな・・・。

 

今日は本当にいろいろありがとうございました。何かこれを言っておきたいとかがなければ、最後に山内さんに私が質問して終わりたいと思いますけど。

 

【山内】うん、どうぞ。

 

【山下】山内さん、これからもずっと演劇を続けていかれると思うんですけど。山内さんも私より年上なんで、還暦を過ぎられましたけど。私も自分で残り少ない人生だと思って、どういうふうに生きていこうかなとか……。

 

【山内】俺はね、結構見えてきたというか。演劇もさっきから再三再四申し上げているように、動員もまあこのぐらいまでかなみたいな、ふうに思っているし。僕が作る映画も大体同じぐらいなんですよ。

 

【山下】同じぐらいってどういうこと?

 

【山内】2,000人ぐらいなの、多くて。

 

【山下】動員で? 映画に?

 

【山内】そうそう。そういうそこら辺のターゲットの人たちに向けて、作り続けていきたいなと。

 

【山下】作り続けてください。

 

【山内】やっぱり俳優さんが、いい俳優さんはいるので、たくさん。

 

【山下】新しい出会いもあるかもしれませんもんね。

 

【山内】そうそう。そういう人たちを発掘して、魅力を引き出すようにして、演劇や映画をやっていきたいなと。そういう感じですね。

 

【山下】いい俳優を、こいつ面白そうだなと見つけるコツは何ですか。それはたくさん行くことでしかないんですかね。

 

【山内】直感で、ちょっと見れば分かりますよね。もう本当にすぐ分かりますね。いいな、この人はみたいな。もちろんビジュアルもそうですけどね。

 

【山下】様子とかもね、しゃべり方とか、声もそうですよね。

 

【山内】もちろんです。だから続けて、続けてというか、それしかないと思いますね。

 

【山下】でも続けていただけるのは、本当にうれしいです。命ある限り、我々も見続けたいと思いますが。

城島さんも支えていって、頑張っていただければと思います。

 

【城島】ありがとうございます。

 

【山下】今日は一期一会だと思ってこの集まりをさせていただいて、本当にありがとうございます。

 

【山内】一期一会です!

(山下、谷の笑い声)

 

【山下】ということで、山内さん、城島さん、ありがとうございました。

 

【山内】どうもありがとうございました。

 

【城島】どうもありがとうございました。

 

【山下】谷さんもありがとうございました。お疲れさまでした。

 

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/

 

担当者:伊藤ゆみ子

この度はご依頼いただきまして、誠にありがとうございました。

文字起こしをするにあたり、小劇場を調べてみましたら、東京都内だけでもとてもたくさんの小劇場があるのに驚きました。劇場というと、何となく通な人々が見に行くイメージがありましたが、それは有名で大きな劇場しか知らないのだと思いました。

今回のお話を聞いて、小劇場の演劇の面白さを知ったら、「城山羊の会、知らないの?」なんて言ってみたくなりました。

またのご依頼を、心よりお待ちしております。

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