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陽はまた昇る

部屋の掃除をしていたら大学生の頃、使用したUSBが出てきた。
恐る恐る中のデータを開いてみると過去のレポート課題のWordファイルがあった。

12年以上前のレポートだが誤字脱字を修正して転記する。

人文社会科学の基礎 課題レポート
経済学部経済学科1年 竹内康司

【論文タイトル】

湯浅 誠,2006,「格差ではなく貧困の議論を(上)」『賃金と社会保障』(1428):4‐21

注)この論文は(上)(下)合わせて四章からなる。私が読んだ(上)は1.不可視の貧困/貧困の不可視化、2.貧困(「および貧困ビジネス」)の実像、の二章が掲載されている。

タイトルは、竹中平蔵前総務大臣が2006年6月に朝日新聞社の取材で発言した言葉であることが「はじめに」で紹介されている。「貧困」と「格差」を対立的に捉えた点に触発され、著者は論文を執筆することになったという。

【要約】
第一章では日本における不可視の貧困が解説されている。著者によれば、日本には貧困者数を確定するための公的な貧困線が存在しない。生活保護基準が事実上の公的貧困線として機能している一方で、政府は生活保護の捕捉率(生活保護基準以下で暮らす人たちのうち、生活保護を受けている人たちの割合)を調査していないそうだ。

すなわち「日本にどれだけ貧困があるのか」という問題を政府は無視し続けているのだという。さらに政府は「貧困」問題を「格差」問題にすり替え、深刻度合いを隠ぺいしているのだと著者は指摘する。経済成長には、(競争の結果として)ある程度の格差は是認せざるをえないと政治家は主張する。格差を無理に否定するならば「悪平等」しかないという論法で彼らは武装するのだ。例えば、全員が失業する(悪平等)よりも、劣悪かつ不安定でも働き口がある方がマシであろう、という主張が展開されることになる。

規制緩和を進め、非正規雇用者を莫大に増やしてきた(悪平等より格差を容認する)政策の結果として、働いても暮らしが成り立たない「働く貧困層」が生まれてきた。日給は最低賃金をクリアしていても月給は最低生活費に達しないことがある。ところが、ほとんどの人は最低生活費の算出方式を知らないため、所得がいくらを下回れば貧困になるのか判別できないでいるのだ。これも「貧困」がグレーゾーン化されている一例であろう。つまり、「貧困」であるという人は、認識がないだけであって、実際数多く存在しているかもしれないのだ。

第二章では現場から見えてくる貧困の実情を検討している。著者は「貧困」を五重の排除による総体的な「溜め(capacity)」のない状態であると定義する。五重の排除とは、①教育課程からの排除、②企業福祉からの排除、③家族福祉からの排除、④公的福祉からの排除、⑤自分自身からの排除のことをいう。

私たちは、「貧困」問題を所得や労働条件といった一側面からではなく、「五重の排除」の総体という多角的な捉え方が求められる。

またある人が、「とても困った状態にあるが、何をどうしたらいいのかわからない」という時、「もうちょっとしっかりしなさい」、「がんばれば何とかなる」などというのは、気休め以外の何物でもない。必要なことは、問題解決と生活再建のための情報であり、具体的にそれを活用するためのノウハウであると、著者は説く。

第一章でも触れられていたが、私たちはまず「生活保護基準額表」を福祉事務所等で入手し、生活の苦しそうな私たちの周りの人々が「貧困」状態にあるのかを判断することから始める必要があるのだろう。


官僚的というか、なんて杓子定規なレポートだろう。

目の前に苦しんでいる人がいれば、損得を考えず手を差し伸べること。
まずは、そこから始めたい。

陽はまた昇るから

悲しくなれる
それはイイことなんだよ
悲しむ人の気持ちを
守れる人になるから

寂しくなれる
それもイイことなんだよ
誰かが居た温もりに
生きられるから

思い出を思い出すとき
同じ気持ちになれるのかな
転んで開いた両手には
泥んこだらけの宝石だ
その輝きを忘れないように

時計がチクタク
24回刻んでいるあいだに
一瞬の冒険を
その胸に刻んでいけ

晴れのち雨のち晴れのち七色
びしょ濡れでも笑えるさ
焼き付けるんだ
受け止めるんだ
乗り越えるんだ
陽はまた昇るから
緑黄色社会「陽はまた昇るから」

夢を削りながら 年老いてゆくことに
気が付いた時 はじめて気付く 空の青さに
あの人に教えられた 無言のやさしさに

今さらながら涙こぼれて 酔いつぶれたそんな夜

陽はまた昇る どんな人の心にも
あー生きてるとは 燃えながら暮らすこと
冬晴れの空 流れる煙 風は北風
(中略)
陽はまた昇る どんな人の心にも
あー生きてるとは 燃えながら暮らすこと
春はまだ遠く 哀しむ人よ 貴方を愛す
谷村新司「陽はまた昇る」

今日も皆様にとって、良い一日でありますように。
目を覆いたくなるようなニュースが続きますが、一日でも早く当たり前の日常が戻りますよう新潟からお祈り申しあげます。

2024/1/2

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