伊藤野枝 『伊藤野枝セレクション』 を読んだ
私は以前、こんな文を投稿した。
虚構でも現実でも、近代に自由を求めた女は殺された、という主旨のことを一部書いた。
フェミニストで社会主義活動家だったローザ・ルクセンブルグを何となくイメージし書いたのだが、日本にもいた。
伊藤野枝がその1人だ。
野枝は、フェミニストでアナキストだった。
強制的に結婚させられた夫がいたが、他の男性と恋愛関係になって駆け落ちもした。
今は姦通罪こそ廃止されたが、自分の貞操を、愛してない夫や世間様に渡すことなく、自分で支配して生きる女の人は、バッシングを受けやすい。
民法では今も違法だよとか、利害関係者でもないのに知識で人を殴る奴、つまんねえ。
野枝は、自分のヴァギナを自分の責任で管理したいと考えていたのである。
野枝は自由に恋してセックスして、たくさん子供も産んだが、「母親」「妻」の、因襲と偏見に満ちた役割、立場主義が自分にも内面化されているのに気づいてハッとしたり。
そんな高い倫理を貫いた女の人が書いた評論の、印象的だったところを取り上げたい。
🔸女性の「経済的独立」は夢想
この「得な女」が私自身のことのようだった。
日本はずっと不景気で労働人口も減ってゆく。共働き家庭は増えた。
でも女性管理職は少ない。
私はそもそも管理職になるのを希望しなかった。
何故なら定時ダッシュしないと育児と家事がまわらないからだよおぉぉ〜〜!
と月に吠えたのはいつだったか。
野枝の書く”奴隷根性”に人間らしさを侵食されたころが、かつて自分にもあった。
現在私は、既存のシステムが機能しなくなった世でフェミニズムは出口戦略だと明るい今を感じている。
そして性に関係なく、家事、育児、介護の現場で働く人々の収入はこれからも上がっていくと信じている。
ダメなら米騒動起こしてやる。
不滅の野枝の言葉に、私がフェミニズムを学び始めたのは失望ではなく喜びからだったのを、思い出した。
おしまい
参考文献
*1 伊藤野枝 『伊藤野枝セレクション』
編者 栗原康 2023年 平凡社
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