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あの日の朝

朝8時にインターフォンが鳴った。
宅急便にしては早いなと思ったし、マンションの入り口のドアではなく、部屋の前のインターフォンが鳴った。

出てみると3人の男がいた。「ご主人は、いますか」と言われたので大吾を起こした。

大吾が玄関先に行くと、3人のうちの1人が文書を読み上げた。最後の文面を読み上げて事態がわかった。
「〜逮捕する。」と言われて、そのまま連行されてしまった。

ドラマの世界を目の当たりにすると、かえって冷静になる。

とりあえず、こういう時は姉に連絡する。姉は、冷静だ。「取り敢えず後で警察行って詳しく聞いておいで」と言われた。

身支度を整えて、娘を抱っこして警察に行った。担当デカ(笑)が、経緯を教えてくれた。
お店の商品を中学生が万引きして捕まった。その中に海賊版のDVDがあった。お店と、自宅を家宅捜索したら、それらしき物が売られていたので逮捕となった。

家宅捜索?と思ったが、そういえば2週間くらい前に1週間東京の姉の家に娘と行っていた。
その時に、そんな事があっていたとは知る由もなく、何食わぬ顔で生活していたことに腹が立った。

でも、切り替えが早いのが取り柄なので、とりあえずこれは弁護士案件だと思い、すぐに対応してくれる弁護士を探した。何件か話を聞き若手だけど親身になってくれそうな弁護士を見つけた。

詳しくは覚えていないが、着替えなどを差し入れした後大吾と面会になった。所謂、ドラマのアクリル版越しの面会、娘を抱っこして、大吾と向き合う。

落ち込んでいる人に文句を言っても始まらない。限られた時間で話さないといけないので、お店の経営をどうするか、オークション等の取引の引き継ぎ等仕事中心の話をした。

全く職種は違うが、頭の回転はいい方なので、次から次へと仕事の引き継ぎを行い、1日目の面会は終わった。

2日目、やつれた表情だった。お店は閉めていいと言ったので、とりあえずオークションのやり取りの報告をした。いつも、モラハラ上から目線の大吾が弱気だと、こちらがしっかりする、

母親からは、もう離婚したらと言われた。簡単に言うな母親なのにと思った。確かに悪い事はしたけれど、この犯罪なら改善の余地がある。そう思ったから許すことにした。

顔と経済力で選んだ、タイプでもない、モラハラ男でもちゃんと夫婦としての絆は出来ていた事をこの事件で気付かされた。

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