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寒波の北紀行

突然の衝撃

搭乗予定の便が欠航になった、実はこれ初めてのことだ。欠航などのトラブルになるべく遭いたくないために保守的な行き先・経路選択をしていたことが大きく、例としてこれまで北海道に行くのは春分から秋分に極力収めていた。ところが今回のお目当ては帰りのトキエア、流石に年度内には乗っておきたいと思ったら寒波を食らってまさかの行きの飛行機が欠航となってしまった。
しかし欠航率の低さに定評がある旭川空港行きで欠航を食らうというのもなかなか貴重な体験になるだろうか、そんな経験いらなかったが。ともあれカウンターで次の新千歳行きに振り替えてもらい変更は最低限で済みそう、道内の列車の予定ですって?

ご存知ですか? 立ててない予定って絶対に崩れないんですよ。

そんなわけでエアドゥのボーイング767に乗って一路北に。2-3-2列の席配置のセンターを飾ることなんてめったにない体験だろう、しかし7列だから窮屈さはさほどないのだが昔一部の会社であったという同機の8列配置はどんなものだったのだろうか…

エアドゥ ボーイング767-381ER JA605A

🛫DEP:HND/RJTT
RWY34R
🛬ARR:CTS/RJCC
RWY19L
ADO HD023
(NH4723)
Planned:1250-1425
Actual:1259-1407
AIR DO
🛩Boeing767-381ER B763
JA605A 32974 /882

このような天候で中列となると撮影とかはまず無理、しかしドリンクの昆布スープは大変美味しく頂けた。エアドゥは季節ごとに北海道の名産品を使ったドリンクがあるようなので別の季節にも乗ってみたいところ。

ANA ボーイング777-381 JA752A
JAL エアバスA350-941 JA16XJ

新千歳空港からは快速エアポートで札幌…でも良いのだが今回は北広島駅で下車して普通列車で札幌方面に向かう。ここ数年で本数が1.5倍になる快速エアポート群に比べて概して空いており、急がない行程で特に鉄道ファンには魅力的な選択肢だ。行けたら良いな程度の感覚で石狩沼田までの乗車券を持ってはいるが、これは別に今回でなくても構わない。どうせ時間通りに行けたとて日没後になってしまうのだから夏場に改めて行くのも一興。そう思いつつ雪の中の白石駅に降り立ち、岩見沢方面に向かう…前にセイコーマートでおにぎりを買う。

白石駅にて、721系

何本か電車を見送る余地があったのもあり、6両編成が来るまで待ってみる。特急や快速の本数が多くただ列車を見ているだけでも飽きが来ない。デッドラインの1本前でいよいよお目当ての721系3000番台による江別行き普通列車がやってきた、狙いは勿論uシート車だ。

uシート車内

快速エアポートの着席保証サービスとしてすっかり定着したこのuシートだが普通列車として運用される際には自由席として特段の追加料金などもなく利用できる。とはいえ特にそこだけが混むようなこともなく勝手知った乗客が思い思いに過ごしている。

江別駅にて
自由席車内
雪のちらつく中で

uシート車両に乗れるなら乗っておこうという判断はどうやら大正解、ここからの岩見沢行きは3+3の6両編成でuシート車両のない一般的な編成だった。ただし車両は一癖あったものでアルミ製の735系が前側に居る。その後の733系大躍進ですっかり影に隠れてしまった印象は否めないにしても実はデビューはこちらの方が少し前、新幹線車両のテストヘッドとも言われていたが現在は通勤電車として平穏に生活している。

帯のない側面がポイント

ここからは3両編成の721系がほとんどの区間となり、伝統的な汽車旅のムードを残している…のだがそれももうすぐ終わる。予想されていた通り737系がこの区間にも投入されることが決まりこの半月後からは大部分がこの新型電車に変わるとのこと。昨年5月以来だが最後に来ることができてよかった。

木彫りの馬と
721系F-4編成

JR世代の車両が続々と置換え対象になっているのも時代を感じるが、ワンマン運転がトピックになるのも印象深い。もっともその新車、走りがかなりアツいという話を聞いたこともありそういう意味では早いうちにお目にかかりたいものだ…

今はまだ汽車旅を

乗客数は1両に数人程度といったところ、もちろん雪の日に積極的に出かけようという人などそうそういないだろうが…しかしとにかく静かな列車だ。空調の音しかほとんどしないのだがセクション等でだろうか、空調が止まると普通列車用の電車とは思えないような静寂の中を走り抜けている。途中で特急列車の遅れの煽りを食らって少し遅れたが、概ね快調…と思っていた時にアナウンスが入る。
「深川駅でポイントが転換しなくなったため、除雪作業中です」
やはり来てしまったか、まずは留萌本線は次の機会に延期する。運転再開すれば乗れるかもしれないがこの後別の場所でこのようなトラブルが起きないとも限らない。今日の宿泊地は札幌であり、帰りにまた100km近く移動することを考えると確実に宿泊先に移動することを優先とする。

確実な対応が求められる状況

まず今抑止となっている場所は深川駅の2つ手前の江部乙駅、四の五の言わずにすぐ帰るなら上りの普通列車で滝川に戻って次の特急だがそこまでの状況ではなさそうだし、そもそもその普通や特急が走れるかも分からない。
そうなるとこの列車で深川まで向かい、最初に来た上りの特急で帰るのがもっとも簡単かつ確実だろうと判断し運転再開を待つ。

吹雪に佇む
雪がついたドア
駅構内
車内外の対比

雪が降る中で約20分、外の空気を吸いに出るだけでも外の光景は幻想的なものだ。あれこれと歩き回れるようなコンディションでは到底ないにしても少しスナップ撮影程度であればと誘い出されてしまった。そうこうしているうちに上り普通列車が走ってくる、その勇壮な姿。

雪の中を駆けてきた

途中で車掌さんが来て乗継の確認をされるものの、札幌に引返すと説明。なあにまた来る機会が来たと思えば特に気にするものでもない。
上り普通列車が来た時点で予感はしていたが深川駅の除雪が終わったとのこと、おそらく最後であろう721系旭川口の力走を胸に刻みつけて深川駅に降り立つ。

留萌本線キハ54と

接続待ち故かもう居なくなっていると思い込んでいた留萌本線のキハ54がまだ残っていた。JR初期を思わせる並びが嬉しく撮影、次の特急までに特急券を買ってと…

「ゴールデンカムイ」ラッピング

旭川行きの特急カムイはゴールデンカムイのラッピングがなされた編成、まさにゴールデンの前頭部に担当者のユーモアを感じる。ほどなくこちらが乗るカムイも到着、いつもの789系だ。

カムイ到着

適当にと乗り込んだので特に意識はしていなかったのだが3号車にはパンタグラフと主変圧器が搭載されている。その音と思しきものをずっと聴いての移動となった…といっても別に嫌なタイプの音でもなんでもない。むしろ力行を感じて面白いくらいだ。

普通列車…?
普通車自由席
そしてまたuシート

順調に函館本線を札幌に向かっていく。ところが岩見沢で普通列車を小樽行きを発見、uシート付きの721系ではないか。どうせそこまでは到着時間も変わるまい…乗りたい、よし降りよう! そうして荷物をまとめて慌てて降り立ち特急券は前途放棄ということで普通列車に滑り込む。

室蘭本線キハ150

途中で3両編成uシート付きの珍しい編成なども見て無事に札幌駅到着、既に新規の来店受付を終了していた根室花まるで店員さんに確認を取りつつ数皿分をテイクアウト。セイコーマートもチェックしカツ丼は時間が時間だけになくなっていたものの何品か仕入れて今日の宿泊先、JRイン札幌にチェックイン。

外観
室内

シンプルなホテルで飾り気はないが必要なものは整っており快適に過ごせる、何より札幌駅徒歩数分というロケーションは魅力的なものだ。しかも今晩の部屋は真正面に函館本線が見えるトレインビュー、721系、73x系といった普通列車に加えてカムイやキハ261系といった特急列車も翌朝までたっぷり愉しませてもらった。

新しい翼に身を任せ

ホテルのラウンジで簡単な朝食を済ませる、数種類のパンにゆで卵、ヨーグルト、スープ、ドリンクといったコンパクトなラインナップだがこれもこれで良い。
まずは東豊線で栄町まで向かってそこからバスで丘珠空港に向かう。丘珠は半年と少しぶりにお世話になるが、札幌から乗るのはこれが初だ。バスの運賃箱にスマホをタッチさせればコンタクトレスで決済がなされる。

空港行きバス

冬季閉鎖の新千歳空港とは違いこちらの展望デッキは特にどうということもなく立ち入ることができる。見てみると北海道エアシステムのATR42が2機ほど居るではないか。レジ番を見ると前回来たときにはまだ「雪ミク」ラッピングだったJA12HCとワンワールド塗装でここから利尻まで往復したJA13HCだった(以下画像はいずれもスポットアウト時)。

北海道エアシステム ATR42-600 JA12HC
北海道エアシステム ATR42-600 JA13HC

この後乗るトキエアは少し遅れて来るようだ、そうなると途中でターミナル2階のレストランで軽食をつまむ余裕が出来そうだなと算段を立てていく。展望デッキは盛況で子供連れや他にも様々な人が飛行機を見に来ている。

飛行機を見ながら

ソフトクリームと「丘珠ポッケ」のドリンク付きを注文、丘珠ポッケとはピタパンサンドのオリジナル版で野菜とカレー(これも名物「丘珠カレー」を使用)の掛かった唐揚げを挟んだものだ。しっかり食べる人向けの定食もあるがこうした軽食もレパートリーに入っている。そして食後はFlightrader24でトキエアの接近をチェックしながらスポッティングを継続、使用機材の到着遅れで遅延するという案内もなされて到着を撮影したら保安検査に向かえば良さそうと確認。

北海道エアシステム ATR42-600 JA11HC
北海道エアシステム ATR42-600 JA14HC

1日で北海道エアシステムの全機材撮影と相成った、特に昨年導入されたばかりのJA14HCをこんな早くに撮れるとは思っておらず嬉しい収穫に。そしておよそ30分程度遅れて新潟からのBV101便が飛んできた。

朱鷺は舞い降りた
トキエア ATR72-600 JA02QQ

やってきたのは2号機のJA02QQ、当日は1号機が台南でメンテナンスを受けていたので全便が必ずこの機体だ。折返しのBV102便は15分遅れの他、新潟空港の気象条件次第では引き返す可能性もあるとのこと。まず無いだろうとは思いつつ新千歳から羽田あるいは成田便に乗る可能性や新幹線で帰るイメージトレーニングだけはしておく。

青空を目指し

搭乗はもうすっかり慣れた徒歩で向かう、ロードヒーティングがあるのかと感心しながら機体に向かって歩きエアステアで乗り込む。トキエアの座席番号表示は照明の箇所にあるのでJAC等のATRに乗り慣れた人は要注意、そこまで見づらいものではないとは思うが慣れていないと少し戸惑うかもしれない。

札幌の街を見下ろし

🛫DEP:OKD/RJCO
RWY14
🛬ARR:KIJ/RJSN
RWY28
TOK BV102
Planned:1150-1335
Actual:1223-1406
Toki Air
🛩ATR72-600 AT76
JA02QQ 1620

セーフティデモなどはもうすっかりこなれた印象、最終の出発確認に気持ち時間が掛かったようだがエンジンが掛かれば後は順調だ。巡航中には新潟の名産品がサービスされたが、乗りやすい運賃をアピールしている会社でありながらしっかりと飲食ともサービスされる。

充実のサービス

内容は揚げ餅と日本国内でのチャノキ産地北限である村上茶ハーブティー、そしてオリジナルデザインの缶に入った「浮き星」と充実のラインナップ。地元企業とコラボしてのサービス提供は近年就航の新興航空会社で言えばFDAに近いスタイルと言えよう。今後も県内各社とコラボして様々な商品がサービスされるとのことで展開が興味深いところだ。

北海道の大地を眼下に

低気圧が接近しているというだけに巡航中はずっと雲の上、そして降下中はかなりの揺れが見込まれるとのことでベルトサインも早めに点灯した。そしてここからがかなりの揺れとなった、ここまで揺さぶられるような経験もそうそうなく流石に酔いを感じる。幸い降下にはそこまで影響はなく永遠のように思えた揺れも落ち着いたと思ったら眼下に新潟の景色が広がったが、地上が見えてここまで安心したフライトは初めてだった…実際折返しの丘珠行きBV103便は欠航となってしまい、綱渡りだった様子がうかがえる。

就航祝いの横断幕

風が強いためとのことで到着口まではバスでの移動、飛行機マニアともなると少し長く歩かされようが飛行機を間近に感じつつ歩くのが結構好きなのだがこの風雨の中では流石にバスの方が妥当というものか。そして飛行機を撮ろうとして展望デッキに上がるが…有料だったのかここ。

トキエアとANAと奥には…

ちょうど目の前でアイベックスエアラインズが降りてきた、大阪からのJA09RJだ。距離的にはそこまで遠くはないものの直行するような新幹線が存在しないこともあり、新潟から大阪は複数の会社が就航している人気路線でトキエアもいずれは参入予定(神戸空港が有力とのこと)だとか。

アイベックス CRJ-702 JA09RJ

ここからは新潟交通のバスで新潟駅に、空港連絡鉄道の提案がされておりその中には新幹線乗入れというドラスティックなものもあるが現在の利用状況としてはもう一歩と言われている。若干の渋滞がありつつもバスは概ね時間通りに到着、新潟駅は高架化をトリガーにした再開発が進んでいる。

新しいバス停

駅構内のぽんしゅ館で遅い昼食をとったら信越本線の普通と新幹線を乗り継いで帰宅としよう。6両編成のE129系は座席の多くが埋まる程度で余裕がある。この電車は終点の長岡からは折返し吉田行きとのことで一瞬どう行くのか困惑したのだが、新潟まで信越本線を走りそこから越後線に入るとのこと。新潟駅スルー運転は奥が深く、見ていて面白い。

E129系

ここからは新幹線で一気に帰る、最新のE7系に統一されていることは上越新幹線の快適性を考える上ではとても魅力的。長岡駅発車時点ではだいぶ余裕があった車内だが予想通りというか、越後湯沢からはウィンタースポーツ帰りの満員御礼となる。暖かい日が増えてきたが、冬はまだ終わっていない。

スキーヤーを迎えるとき号

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