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看板にあまり偽りなし

※この記事は以下記事の行き帰りの行程となります。興味のある方はよろしければ以下記事も併せてお読みください。

またもゼンマイを巻く

週半ばの大宮駅に降り立つ、朝8時はラッシュ真っ只中でさっきまで乗ってきた野田線もかなりの混雑。特に大宮駅(とその手前の北大宮・大宮公園駅)は構造上最前部にしか改札がなく先頭車両に乗客が集中するので乗り換えに便利だからと利用するとその野田線らしからぬ混雑ぶりに辟易することになる…などと言いつつ歩く距離が減るからと思わず乗ってしまうのが沿線民のリアルでもあるのだが。

大宮駅の東西を横断してすっかり慣れた(気になっている)新幹線ホームに上がる。今日もまた東北新幹線で北を目指す、まぁ目的地は名古屋なのだが…ホームは賑やかで自分が乗る列車も他の列車も乗ろうとする客が乗車口にずらりと並んでいる。今日の乗車もはやぶさ号、ただし仙台までノンストップでそこからは各駅停車という列車である。

仙台までノンストップ

流石に盛岡以北まで直通運転を行うはやぶさ号よりは空いているとはいえこちらもかなりの実入り、よくこの列車のトクだ値取れたな自分…それでもE席を取ることはできずA席となってしまった。もっとも多くの乗客は仙台で降りるだろうからそこまで重大な問題でもないといえばそうなのだが、実際自分の場合もその後仙台でB,C席の人は降りてしまい自分の列には誰も居ない状況となった。こうなると通路からの距離がE席よりあるA席のプライベート感が際立つ。と言っても大宮時点では結局3列全員乗車、先客が片方だけだったのが不幸中の幸いレベルの大賑わい。

外もよく見えない

途中の仙台付近は凄まじい雨が降っていた。福島あたりまで全然だったのにここだけ局地的に外の見通しが悪くなるほどの降りっぷり、一応悪天候の可能性が報じられていた中のため折り畳み傘の準備はあったもののこれはあまり続いてほしくないと思っていたが利府以北では全く降っていなかった。そんな中の仙台駅、6分停車を活かしてホームからコンコースに降り買い物をこなす。朝食も食べずに飛び出してきたのでここらで食べておいた方がいい。

牛タン弁当

ということで仙台名物牛タン弁当、加熱式だがすっかり空いた車内であれば特に問題になるようなものでもない(そもそも本当に許容できないなら車内喫食前提の駅弁としては売るまいが)。熱々のタンと麦飯に舌鼓を打ち、しばらくの間くつろいでいる内に宮城県をみるみる北上して岩手県に入り気がついたら下車駅の北上駅に。

四季島用のゲート

改札方面を見ていると何やらゲートらしきものが、近づいてみると見たことがあるようなロゴマークがある。これは四季島用のゲートのようだ。確かに四季島は上野発着のツアー形式なので当然出入場のたびに改札を行う必要はない。であれば異なる動線で移動できる方がもちろん良いだろう。このような設備を少なくとも意識しては見たことがないため興味深い発見となった。

(なおこの期間の四季島は北上駅で乗下車があるコースはなく、冬期2泊3日コースで立ち寄る模様、また当日の四季島は3泊4日コースの3日目で北海道内を走行していた由)

花巻空港駅到着

そこからは何度目かの701系の軽快な走りにいざなわれて花巻空港駅に、今日はここで列車を降りる。
花巻空港駅といえば駅名に空港が冠されているにも関わらず空港ターミナルから4km弱(旧名の二枚橋駅からの改称時点で2km;2009年にターミナル移転)離れていて空港アクセスバスも経由しなかったため「看板に偽りあり」とされることが多い駅だった。

Hanamaki-"Kuko"なのはAirportから遠いため?

しかし現在では盛岡駅からのバスが空港発着どちらとも当駅を経由(盛岡駅↔花巻空港駅の利用は不可)しており花巻付近や鉄道で言えば釜石線沿線*からの空港アクセスに利用可能である。ちなみに盛岡駅↔花巻空港のバス料金は大人1,430円なのに対して花巻空港駅まで鉄道利用だと大人鉄道506円+バス300円=合計806円とかなり割安になり、盛岡側でもJRを利用する場合更に安くなる…のだがそこそこ本数がある区間とはいえ列車ダイヤはこのバスとの接続を考慮しておらずバスの時間によっては1時間弱待つこともある。
例えば11:30花巻空港着のバス(12:15小牧行きFDAと12:30伊丹行きJ-AIRに接続)の場合バスが10:45盛岡駅発で11:23花巻空港駅、11:30空港着となるが盛岡駅から花巻空港駅まで鉄道利用とすると10:20盛岡発10:52着の北上行き(→花巻空港駅で31分待ち)となる。待ち時間は不均等なので利用しようとする場合よく確認したほうが良いだろう。

*:釜石線似内(にたない)駅が直線距離上の花巻空港「最寄駅」なのだが空港ターミナルから3km弱離れておりバス接続などもない、そもそも釜石自動車道にそのものズバリの花巻空港ICがあるのでほとんどは車でアクセスしそうだが…

停留所 空港発は下車専用のためか時刻掲示などはなし

やってきたバスに乗り込んで空港に向かう。交通系ICカード支払いが使えるのは実にありがたいもので、鉄道でもSuica利用可能であることもあいまって地方交通についてもキャッシュレス化がどんどん進んでいることを実感する。バスは滑走路を回り込んであっという間に空港ターミナルに到着、歩けば40分程度掛かるような距離でも流石にあっという間だ。

ターミナルビル-乗ってきたバスを添えて-

5月ぶりのFDA搭乗だが今回はJALサイトから予約したため搭乗手続きが有人カウンターのものとなる、といっても普段の自動チェックイン機より少し時間がかかりJMBカードを使用して確認を行った程度のこと。特段の不便を感じるようなこともなく展望デッキに搭乗機が到着するのを余裕を持って迎えに行くことができた。搭乗機はバイオレットのJA16FJ"ユピテル 羽衣6号"、ユピテル社は映像技術に強みを持つ企業だがそれを活用して3Dアニメーションも手掛けており、そこから生まれたキャラクターだそうな。

到着したJA16FJ

とはいえ乗ってしまえばあとはいつものFDAクオリティを楽しめる。搭乗口や枕カバーにキャラクターが描かれているのもFDAらしいところ、梨恵夢と静岡茶を頂けばほうと一息つく間に飛行機はどんどん高度を下げている。今回は着席位置の関係で犬山城をお目にかかれなかったのが残念だが、ともかく小牧空港に着陸した。かつては国内外問わず多彩な旅客機がひっきりなしに離着陸していたが現在定期旅客便があるのはFDAだけで、そのFDA向けにプッシュバックが必要なく自走でスポットアウトできる設備が整っている。趣としてはLCCターミナルとよく言われるようなものに近いが、こうした設備を整えることでコストを抑えて国際線含めた多様な便を扱うセントレアとの使い分けができるというのは選択肢を増やすという点でも魅力的だ。

搭乗/降機用の通路(2022年7月撮影)

早めではあるが昼食を摂って、ホテルに向かう前に隣接のあいち航空ミュージアムを見学することとした。なお隣接するエアポートウォーク名古屋は元々小牧空港の国際線ターミナルだった建物で、通路の一部がボーディングブリッジを転用したものになっている。ミュージアムの建物はかつて駐機場だったような場所に建てられていることになる。

あいち航空ミュージアム入口
YS-11とMU-2
警視庁EH101(JA01MP)
MH2000

多様な保存機の中に三菱スペースジェットの客室モックアップもある。この客室モックアップの説明で言及されていた「富士山をイメージした照明」というのがいまいちこれまではよく分からなかったのだがここで実際に立ち入ってみて合点がいった。モックアップは2クラスを想定したもので1-2アブレストの前部上級クラスと2-2アブレストの後部通常クラス、ギャレーが再現されている。

上級クラス(クラスJ並み?)
通常クラス
着座位置で見ると富士山らしい

時間もちょうどいい頃合いになったのでバスで栄に行き、東山線で伏見駅に行く。ちょうどゴロのいいゾロ目のN1111号車だ、これで本日の宿泊先であるドーミーインPREMIUM名古屋栄に到着する。傘をさすほどではないがあいにくの雨模様。

そういえば初めてしっかりと見るテレビ塔
ゴロのいい番号

ここからライブ会場に向かうわけだが、この近くの長者町繊維街の繊維問屋などが作っている「名古屋長者町協同組合」が解散するという知らせがこのタイミングで流れてきた。それに伴い看板も撤去とのことでこれは見るしか無いと足を伸ばし、看板を撮影する。偶然ながら貴重な出会いとなった。ホテルに着く直前は雨が降っていたのだがシャワーを浴びているうちに止んだようで程よい涼しさがなんとも心地よい。

繊維街看板

ライブ後は大勢と真逆の方向に歩いて近鉄米野駅に、そこから1駅だけ電車に乗って名古屋駅から歩いてホテルに戻る…我ながらライブ後に何やっているんだろう。

初号機をたずねて

5000系 車内だけではわからない真髄

流石に朝食を食べすぎた、ドーミーインの朝食というと名物がふんだんに組み込まれたメニューが魅力だ。そんなわけでたっぷり時間を取って朝から名古屋めしを満喫してきたわけだがここで朝食を食べるとたいてい昼食はパスで良いやとなる。以前福岡で2連泊した際は宿泊初日のラーメンから3日目(チェックアウト日)の夕方までここでしか食事しなかったこともある。

名鉄名古屋から中部国際空港に向かうのだが直通の特急があると知りつつ東岡崎行きの普通→神宮前で河和行き急行に乗換え→太田川で中部国際空港行き特急と3列車を乗り継ぐことを選択した。普段そうそう乗らない路線なので色々乗ってみたい助平心が為せる技か、あるいは遅い列車のほうが基本的に空いているので気楽に乗れるというのもあるか。ということで先の画像の車両でパノラマスーパーの面影を辿りつつ急行の前面展望、そして特急の混雑に辟易してユナイテッド航空のボーイング737と共に中部国際空港に滑り込む。

ソラシドエア JA803X「ナッシージェット」

ここでまず最初の注目機はソラシドエアのJA803X「ナッシージェット」である。筆者も勘違いしていたのだがこれは「そらとぶピカチュウプロジェクト」とはどうやら別枠らしく、プロジェクトの機体一覧にも記載がない。

幼い頃にはANAのボーイング747でポケモンジェットが定番だったと思うと時代は大きく変わったと感慨深いものだが、他にも短時間ながら面白い機体が様々見られた。

スカイマーク JA73ND
ANA JA79AN
JAL JA837J
チャイナエアライン B-18102と吉祥航空A321neo

個人的には成田では高雄便メインのチャイナエアラインA321neoを近くで見られたのが新鮮で嬉しいところ。またJALのボーイング787-8 JA837Jもこの後見るものとの関係が深い機体となるのが面白い。とりあえず周りの機体を一通り撮ったところで本日のメインテーマに向かう。

FLIGHT OF DREAMS外観
大迫力の外観

今日のお目当てはここ、FLIGHT OF DREAMSに展示されたボーイング787初号機"ZA001"だ。全世界で1,000機以上が製造・使用されまだまだ新規発注も増え続けている現代のベストセラー旅客機だが、まだ本格的な退役に至るほど古くないのもあり博物館等で展示されているのはアメリカに2機とこのZA001だけ。世界的分業体制が構築され、機体全体の35%を三菱重工やSUBARUなどの日本メーカーが手掛けた上この機体を革命的な存在に育て上げたキモとなる炭素繊維強化プラスチック構造については東レが使用される複合材全量を供給する*という日本の航空業界・ひいては製造業全体にとっても大きな存在であることからその関連工場が周辺に立地し、部品をアメリカの組立工場に送り出すセントレア近傍に展示される運びとなった。
*:ちなみに現在のワイドボディ旅客機としてボーイング787最大のライバルと名高いエアバスA350XWBについても使用する炭素繊維複合材を帝人が全量供給している。

前脚
主脚
コクピット
エンジン この機体のエンジンはロールス・ロイス

機体そのものはセントレアでも見ることが出来るし、筆者にとっては成田や羽田でスポッティングしててもおなじみの機材、ロンドンまで深夜便で乗ったことすらあるにしても触れるほどの距離から見るのはやはり圧倒される。

ところでこの施設、このZA001を取り囲むようにシアトルの店やボーイング公式ショップがあるというのもウリになっている。流石に先の理由から食事を摂る余裕は無いにしても1時間程度歩き回り撮影を続けていたのでちょっと一息つきたいところ、そこで今回はスターバックスに入りチャイを頼むとした。手軽な店だというのもあるが、決め手は何と言っても以下の眺めが得られる特等席だからだ。

スタバの席から見たZA001号機

正直ここの飲食店の中で一番リーズナブルなのにこんな景色見ちゃって良いんだろうかと罪悪感すらあるほどのこの美しい景色。しかも席が細長く設置されているので空いている時であれば好きなアングルを選んで目の前で旅客機を愛でつつ飲食が楽しめるような場所となると世界を見渡してすらそうそう無いのではないかという気にもなる。空港ゲート前などに飲食店があるのは珍しくないが、それだと時間によって目の前から去ってしまう。もちろん様々な機体を眺められるという意味ではやはり素敵な場所だが、同じ機体をじっくり眺めるとなると珍しいスポットだろう。

正面からも迫力の顔を拝める
コクピットの見学口も

名残惜しいがこの後の行程もあり、空港に戻る。少し展望デッキで撮影してこの後の飛行機の搭乗に向かおう。

JEJU Air HL8051
セブパシフィック RP-C4121
スカイマーク JA737X
ANA JA52AN
JTA JA08RKおよびANA JA71AN

羽田空港だと意外としっかり撮る機会がない日本トランスオーシャン航空機の到着まで撮りたいと粘っていたらそろそろ保安検査場を通った方が良い時間、おっと早く移動したほうが良いか。搭乗口が割合離れていた場所ゆえそこまで駐機場が気になって仕方ないが、ともあれここから初のアイベックスエアラインズで仙台空港に向かう。

初めてのアイベックス

アイベックスエアラインズは仙台空港および伊丹空港を拠点としてボンバルディア(→三菱)CRJ-700を使用して全国各地に運航する航空会社である。元々はフェアリンクという社名で現在でもこれは"FW"という同社のIATAコードに名残が残っているが会計システム等の開発を行っている株式会社日本デジタル研究所の連結子会社という異色の航空会社だ。機体にもANA Connectionと書かれている程にANAとの関係は強く全便ANAとのコードシェアを行いさながらFDAとJALの関係にも近い。今日は楽天イーグルスのラッピング機のようだ。

離陸して高度を稼ぐ
セントレアと知多半島
機窓に見える虹

離陸するとすぐに旋回して高度を稼ぎ、セントレアの北を通過していく。そこから少しすると下に虹を見ることもできた。さて、この機体はどこを飛んでいるのだろう。個人用モニタやあるいはWi-Fiを繋いでFlightrader24を見れば普段は解決なのだがいずれもない以上時間からしておおよそ長野県辺りかというような予想をつけていくしか無い。何か特徴的なランドマークなどでもあれば…と雲が減ってきた眼下の様子をひたすら探す。何か湖と採石場のようなものを見つけて写真に収め、その後に新幹線の線路と駅を見つけた。

富士山はそうと分かる
武甲山と秩父さくら湖

この時は長野県か群馬県辺りだろうと思っていたので北陸新幹線と言う割には周りの平野が広いように思ったのだが後で見れば何のことはない、前者は秩父で後者が本庄早稲田駅付近だったのである。親戚の関係で何度も訪れ見慣れていた武甲山、上空からの眺めは意外なものとなった。

そして飛行機は再び雲の上に移動し高度を下げていく、次に景色が見えた時にはもう白石付近だった。東北新幹線大河原付近の短いトンネルが連続する様子を見渡しながら仙台空港への着陸態勢に入り最後に館腰付近だろうか、701系4連が仙台方向に走っていくところを見下ろして仙台空港にタッチダウン。動き出しているエバー航空機は撮れそうにないが、それはそうと降機と同時に展望デッキに向かう。

J-AIR JA253J(降機中撮影)
アイベックス JA07RJ
スターラックス B-58207

さっきまで乗っていたアイベックス機、J-AIRのエンブラエル、そしてスターラックスのA321neoの姿が見える。そして直後にAIR DO機も到着し、賑やかな駐機場となった。

AIR DO JA15AN
プッシュバック中のJ-AIRを見つつ

この後の予定もあるのでJ-AIR機出発を見送って仙台駅に向かうこととしよう。仙台空港アクセス線は20分に1本あり気楽に使える成田空港のアクセス特急もこれくらい欲しいなあ。イオンモール名取を擁する杜せきのした駅など空港以外の利用も多い路線であり、今後の変化にも期待できる路線である。車両はSAT721系、JRのE721系と共通設計の車両だがボックスシートの枕部分にもモケットが張られているなどの違いがある。

SAT721系 トップナンバーが

仙台駅に到着し、たまたま居たマンガッタンライナーの仙石東北ラインを撮影したら後は新幹線に乗る前に家族から頼まれたシーラカンス最中…は本店まで行き売切れを知る。気を取り直して駅に戻り、駅ナカの居酒屋で朝獲れの刺身セットにご飯セットを足して定食のようにして頂く。これとこれが組み合わせられたら…というニーズにうまくマッチしていてこれは素敵な発想。

刺身定食、これが駅で頂ける贅沢さ

大満足の夕食の後はいよいよ帰り、はやぶさ号で大宮はすぐ隣の駅だ。乗車するはやぶさは盛岡から仙台までは各駅停車でやってきた…すなわち行きと同じ停車パターンの列車だ。仙台で乗客の大部分が入れ替わり盛岡から仙台までの地域輸送と仙台から大宮・上野・東京への利用を1つの列車で行っているといった印象。
ここまでくればあっという間でほんの1時間で大宮駅に到着してしまう。少し歩いて野田線に乗ればもう気分は既に家の玄関に入ったようなもの。

さてMorfonicaのライブツアーも残すはファイナルの羽田だけ、流石にどこかから飛行機で会場入りは無いので別枠で記事を書くのもこれで一区切りとなる…なんてセンチメンタルな気になっていたらRoseliaのライブ"Farbe"2日目に参加したところライブツアー"Rosenchor"開催とのこと。流石に全通するかはともかく、どこか旅に誘われた気がした。

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