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ちょっくらシルクロード横断してきます〜中東・アジア旅行記ep 72〜

第八章 イエメン編
三十路センチメンタルジャーニー
ep72 犠牲祭初日のドライブは幻想の霧に包まれた

 昨夜はかなり寒く、水シャワーしかないこの宿では流石に厳しくそのまま寝てしまったので昼間の暖かいうちに何とか浴びる。街に出ると昨日の夜の雰囲気とは違い、なんだかのほほんとしていて、とてもいい雰囲気だった。
ここタイズの街はサナアの次にでかい都市のはずなのだが、それはサナアとは全く比較にならないほど地方の田舎という感じが歪めない。

 しかし、タイズの街はそもそも斜面にあるため景色が素晴らしく、小さな街ではあるのだが、心はどこかウキウキしている。散歩がてら街のスークに向かうが、残念ながら商店のほとんどがシャッターを下ろしていた。だがその代わりに露天商が異常に多く、むしろ活気があるように見える。犠牲際前だからなのだろうか。

 露天で売られている物は食べ物から犠牲祭用のヤギ、牛まで様々で特にヤギは何らかのペインティングを施されなんだかとっても宗教チックである。そういえばインドのホーリー祭の時は、ノラ牛が祭り用の色の粉でサイケデリックに染められていたことを思い出す。そして、そんなヤギを見ながらこの後いったい何匹のヤギが神に捧げられるのだろうと、ふと考えてしまった。こうした異文化に触れることが実に興味深く、好奇心をくすぐってくる。

 犠牲祭初日、朝から街は日本の元旦のように静か。パッキングを済まし、乗り合いタクシー乗り場に向かう。歩く最中にある9割の商店は店を閉め、行きかう人々も綺麗な正装をしている。こんな日だから車の台数も激減していて正直イップ行きの乗り合いミニバスも捕まるかどうか不安だったが案外すんなりと拾えた。

 ここから標高1800mのイップに向かう。この街は通称緑のイップと言うらしい。それほどに緑が濃く、森に覆われている街なのだろう。僕らを乗せたミニバスからの景色は、標高が上がるにつれて霧が濃くなってきた・・・というより雲の中に車が突っ込んでいく感じでなんだかどこか幻想的で不思議な感覚に襲われた。

 そんなドライブを楽しみながらミニバスはズンズン濃霧の中を進んでいく。気がつけばイップの街に着き、そのまま本日の宿を探すが、これがなかなか見つからない。理由は簡単で、ここイエメンではサナア以外はほとんどアラブ語オンリーで、まあ英語なんか通じない。こりゃ参ったななんて思いつつ、腹もすいていたので休憩がてら食事をすることにした。

 さあどうしたもんかななんて考えながら大衆食堂イエメン版みたいなところで食事をとっていると周りのローカルがこっちを見て、ブラザー!ブラザー!と単語で僕らを呼んでいる。その声がする方に振り返ると全身黒の茶ドルを着たアジア人と思しき女性が立っていた。

 目があった瞬間に、日本語で「こんにちは」と挨拶をしてきてくれたので、(≧∇≦)同郷きたー!と心で叫び、そしてすぐに助かった〜!と彼女に声をかけた。この女性は、少し前に隣国オマーンから陸路でイエメン入りしたバックパッカーだった。旅のルートは僕らと反対方向からでこの先輩パッカーから、この街の乗り合いバスの乗り方とホテルの場所と行き方、地図まで書いていただき本当に助かった。また、僕らは逆にこれまでのルート上の街情報を交換する。世界中どこに行っても、どんな僻地でも必ず日本人パッカーとドイツ人パッカーは存在するという噂は本物だったんだなと思いなながら、しっかりお礼を言って、僕らは早速教えてもらったホテルに向かう。

 たどり着いたホテルは、清潔感もあり、おまけに価格も良く、さらにスタッフも親切だった。早速僕らはチェックインして、シャワーを浴び、さらにたまっていた洗濯物をいっきにかたずけ、干しに屋上に行くとそこには息をするのも忘れるような絶景が広がっていた。目の前にある山の山頂付近は霧に包まれながらも、山の斜面にはイエメン建築がびっしり埋まっている。濃い霧と森の緑のコントラストがなんとも素晴らしい。そして空気もおいしい。

 僕らはこのまま、この素晴らしい絶景の屋上でうっとりとそして時間を忘れてのんびりとこの景色を満喫しながらすごした。


読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^
HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)


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