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ちょっくらシルクロード横断してきます〜中東・アジア旅行記ep 71〜

第八章 イエメン編
三十路センチメンタルジャーニー
ep71  暑い、狭い、臭い。そして笑顔に救われる

 今日はボデイダからタイズヘ。バスの出発が午後2時と遅い為、ゆっくりと昼ごはんを食べに行く。ボデイダは海に面しているため魚類が豊富、よってシーフードのランチをいただくことにした。魚の皮についているウロコを除けば味、ボリューム申し分なし。日本人の味覚からすると魚を取った直後の血抜きをしている関係で生臭さを感じることはないのだが、大抵こうした諸外国で魚をいただくとその血抜きが中途半端なのか、または全くしていないのか、生臭いことが多い。しかし、食べる直前のそんな予想とは裏腹に非常に美味な魚たち。ただし、アラビア語オンリーすぎて、今食している魚の種類は分からない。白身であること以外。ここにR氏持参の特選キッコーマンを振り掛けると言う事なし。嗚呼美味い・・・

 その後ホテルをチェックアウトしてバスターミナルに向かうが、歩いているだけで暑い!汗がぼたぼたたれてくる。やはりサナアとは違い、久しぶりのこの湿気が容赦なく体力を奪っていく。紅海から吹く海風が猛烈な湿気を運んでくる。まるで真夏の日本のようだ。

 移動のための格安バスもエアコンなしの超満員で2人がけのイスに3人が座るといった具合。ただでさえ暑いのに、人の熱気がまた僕らの体力を奪っていく。さらに、乾燥した地域では人の匂いが気になることはなかったのだが、やはり湿気をを帯びてくると乾燥地帯とは打って変わって臭いが鼻を突き始める。

 暑い、狭い、臭い、おまけに隣に座った若い青年が半端じゃなくうざい。とにかく四六時中アジア人がそんなに珍しいのか激しいちょっかいをかけてくる。最初は笑顔でやり過ごしていたが、只でさえ暑い、狭い、臭いが揃った3拍子の上、悪意ある激しいちょっかいに大声で怒鳴ってしまった。冷静に考えれば、彼らは腰にアラビアンナイフ、通称ジャンビーヤを持っている訳だから、懸命な判断ではないのかもしれないが、とにかく我慢の限界だった。彼はいかにもムッとしたようで何かを言い始めたが、ここで周りの地元乗客がみんな僕の味方をしてくれ、総出で彼を責め始めた。流石にこれには彼も黙って従うほかなかったようだ。そんな雰囲気で5時間のバス我慢大会。これには体力的にも精神的にも大分削られた。

 やっとの思いでタイズに着くも、辺りはすでに暗くなっていた。バスが停まったところから街中までにはかなり距離があるようで、とにかく安宿がある街中に向かうため移動手段を探していると、そこには一台の白タク。中からはこれでもかというくらいの笑顔を僕らに放ってくるドライバーの青年。 

 長時間バスでヘトヘトになっていた僕らは値段交渉の末、この白タクに乗車することにした・・・が見れば見るほどかなりのオンボロ車だった。座席はスプリングのようなものが飛び出し、とがった金具にズボンを引っ掛け切れる、おまけに走り始めて5分でエンスト。上りの坂道を逆走しながらバックで押しがけ、エンジンは掛かったが今度はガス欠。彼は猛烈な笑顔を僕らに振りまきながら、近くのスタンドまでガソリンを買いに行く。

 ここまでくると流石にイライラより面白さが僕らの中に芽生え始める。そして全く無邪気で悪気のない彼の振る舞いと、日々の糧を必死で稼ぐ姿に微笑ましさを感じはじめた。15分で済むはずだったバス停から街中までの移動は、1時間半という壮大なコントで幕を閉じた。

 その後、最後まで素晴らしい笑顔を振りまく彼のオンボロタクシーと別れを告げ何とかホテルに入る。今後はとにかくどのように情報をゲットするかをR氏と相談する。残念ながらイエメンの情報は少ない。ネットもサナアとは違い普及していない。そして僕らのような旅行者にもまったく会うことがない。そして最後の希望である『歩き方』は、このイエメンにおいてはほとんど役に立たない。このような国の場合は、やはりロンリープラネットとかがいいだろうなと思っても後の祭り。さあ、どうやって情報をゲットするか、特に政情が安定しているとは言えないこの国では過大ではなく情報は命。とそんなことを考えながら僕らは眠りついた。

読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^
HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)

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