ブリコ

ぶりっ子ではない。
ハタハタの卵のブリコである。
ハタハタの保護の為、今は確か売買が禁止されている筈。

俺が話すのは、昭和40年代の話である。
その頃は、ハタハタも今より獲れていたし、ブリコも売買は禁止されてなかったと思う。
俺は漁村の人でも漁師が親戚にも居ないから、はっきりとは言えないけど。

小学校5年生の時、俺は喘息の治療の為、親元を離れて国立の療養所に入った。
喘息の子供は、1病棟だけで、残りの11か12の病棟は、別の病気の大人が入っていた。
結核の病棟もあって、当時はそこで息をすると結核菌を吸い込んでしまうからと、結核病棟前を通る時は、息を止めて歩いた。
建物の外を1周すると1200メートルくらいだった。毎朝、晴れた日は療養所の前を1周走っていて、1200メートルと教えられていたから。
雨の日は体育館で兎跳びとアヒル歩きだったなぁ。
慣れると、走る方が楽でアヒル歩きがキツかった。
で、療養所には購買があった。要は売店である。
そこで、ブリコの塊を売っていた。
小学生の俺たちでも買えたのだから、確か100円とかだったと思う。
病棟では、小遣いは月に600円と決められていたのだ。それでも買って食べたから。
齧るとブツブツと卵が潰れる食感だった。
俺は好きではなかったが、何回かは、買って食べた。

今では食べられない味だけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?