ライブ、靄

昨日のライブは最高だった。初めてで楽しみにしていたポエジー、やっぱり最強なCRYAMY、少し勉強不足だったものの一気にハマらせてくれたbacho、どのバンドも非の付け所がない最強のライブだった。
そしてもっと最高だったのは、その後にファンの人達と過ごした時間。ライブの感想は勿論、他に好きなバンド、漫画、自分の愛してる全てについて語って、友達が増えて沢山笑ったあの時間が何より大切だと心底思った。

だからこそ一つだけ心残りなのはbachoでのファンのマナー。それまでは静かだった人達が声を上げ、一部ではあるがダイブモッシュが始まった。想定していないダイブ、対応しきれず失敗気味になり、周りの人が心配そうに落ちた人を見つめる。苦い。


あくまで個人的な意見だが、ロックスターである甲本ヒロトがかつて言った

「ルールは破れ、マナーは守れ」

という言葉を今の世の中で履き違えてる人が多すぎるように思っている。
ここ最近ではダイブモッシュが発生するライブの映像をよく見かけるし、耳にするが、今の日本ではそれは絶対に違う。間違いだと思う。
何故ならその衝動を抑えて守ってる人がいるから、そういう人達が居なかったらコロナの初期からライブシーンは無法で、今より目の敵にされてここまで許容される事も無かっただろうから。守ってる人がいるから破る人がいるというのは常であるが、だからこそ納得がいかない。守ってる人の心に靄がかかるのは。

今定められてるルールってのは破る為にあるものは一つもない。甲本ヒロトが言った「ルール」とは意味のない、誰かのエゴで定められたようなルールであり、必要ないものに従う事はない、人に迷惑だけはかけない様にするなら破って見せろ、そういう事だと思っている。今のルールが必要ないと本気でいう人がいるなら俺はその人とは分かり合えないだろう。今の日本でそれは必要な事だし、たとえコロナを重要視しすぎると言われても、今は守らなきゃいずれ壊れてしまう文化ではあるんだ、どうしても。それが日本なんだから仕方ない。

「嫌なら行くな」「何年も待ったから」「海外では普通だから」「何を今更」
そういうことではない。何年も待ってきて、みんなで守ってきたライブを、ようやく少しずつ許容されてきたことを今になって無に返すような真似なんて俺はしたくない。
ここまできたなら最後まで守ってやろう。収まらないかもしれなくてもその道が見出せるまで待つ事が四苦八苦しているアーティストへの最大の礼儀ではないのか。ここにきてなぁなぁで破り始めるので本当にいいのか?少しずつ目を瞑ってる人達もかつては守ってきたんだろう?
どうせならなんの心置き無く「今日からは大丈夫だ!心配するな」というアーティストの声でまたあの文化をはじめて、会場の誰も嫌な気持ちにならないような始め方をしようじゃないか。

何より、心底我慢して守って楽しんでる誰かがもう行きたくないとか、折角我慢してるのに、とか、心に靄がかかってしまうなんてもう嫌なんだ。

俺も大好きな文化だからこそ簡単に始めたくない。柵を全て取っ払ってそっから始めよう。そう思いたい。
「このままいつか終わるのは嫌だ このままいつかやめてしまうのは嫌だ」
bachoを聴きながらそんな事を思っている、誰かを攻撃したいわけではない。俺はただただまたあの空間を、「皆」で楽しみたい、本当にただそれだけ。

8/12 新宿ロフトにて

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