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日記2023/11/15 演劇体験文化芸術芸能のカラオケ化

文化祭の演劇に身を投じた。このちょっとした挑戦は、ただの好奇心から生まれたものである。斎藤美奈子が言うような、文化芸術芸能のカラオケ化現象が演劇の世界にも当てはまるかどうか、僕自身の感覚で確かめたかったのだ。

受容から、参加へ鑑賞から実践へと向かうのは、文化芸術芸能のどんな分野にも共通した進化の方向であるだろう。斎藤美奈子は『妊娠小説』で、僕小説の隆盛について文学のカラオケ化だと称している。その真実が演劇の舞台においても同じく適用されるのか、実験をしてみた。

僕の演劇とのかかわりは、ほとんどないに等しかった。遠い記憶の中のお遊戯会で演じたこと、そしてマクベスやリア王などの有名な演目を見たことがある程度で、それ以上の関わりはなかった。完全に、にわかである。だが、斎藤美奈子が言うように、文化芸術芸能の発展には、僕の様なにわかの存在が必要だ。カラオケに関してもたいていの人はさして上手くはない。

演劇の進化は、今もなお受容と鑑賞の段階に留まっている。留まり続ければいずれ衰退していく。演劇が受容から実践へ、鑑賞から参加へと進化するには、例えばVR技術を活用して、誰もがどこでもカラオケのように演じることのできる参加型の環境を作るなど、新たなアプローチが必要だと感じた。素人にわかの僕だが、短時間演劇に身を投げたことによって演劇界を盛り上げるためのつかむべきしっぽの様なものが見えた気がする。ちなみに僕の役は、部下の米国債の不正入札の責任を被る形で失業する。

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