見出し画像

「職業としての小説家」を読んで

この本はタイトル通り、村上春樹さんの小説家という職業について書かれている本で、目次を見ると次のようになっておます。

第一回 小説家は寛容な人種なのか
第二回 小説家になった頃
第三回 文学賞について
第四回 オリジナリティについて
第五回 さて、何を書けばいいのか
第六回 時間を味方につけるー長編小説を書くこと
第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み
第八回 学校について
第九回 どんな人物を登場させようか?
第十回 誰のために書くのか?
第十一回 海外に出て行く。新しいフロンティア
第十二回 物語のあるところー河合隼雄先生の思い出

この本はとても有益、ためになる本です。小説家だけでなく、様々な仕事にも共通することが書かれています。そして良くいう「才能」という言葉。この才能にも、小説家、画家、建築家、芸術家、そしてスポーツ選手とその分野が求める才能がありますが、その「才能を育てる才能」の重要性がひしひしと伝わりました。

本文中に、村上春樹さんは、次のように書いてます。
「職業的小説家の中にだって才人と呼ばれる人はいます。小説的にも頭の切れる人もいます。・・・しかし、僕の見たところ、そのような頭の切れだけでやっていける年月は、わかりやすく「小説家としての賞味期限」と言っていいかもしれませんが、せいぜい十年くらいのものではないでしょうか。それを過ぎれば、頭の切れに代わる、より大ぶりで、永続的な資質が必要とされています。言い換えるなら、ある時点で、「剃刀の切れ味」を「ナタの切れ味」に転換することが求められるのです。そして更には「斧の切れ味」へと転換していくことが求められます。その転換ポイントをうまく乗り越えた人は、時代を越えて生き残っていきます。

村上春樹さんの素直で実直な言葉で書かれているこの本、「職業としての小説家」は、ここ最近(二、三年)で読んだ本のなかでベスト5に入る本でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?