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明けまして、何がおめでたいのか?

 大晦日の夜、12時を越えると「明けまして、おめでとうございます」である。そんな夜中に、いったい何がおめでたいのか?

 みなさんは何がめでたいのかを、考えてみたことがおありだろうか? 期間として、新しい一年が始まるから、『めでたい』って思いがちだけど、新学期が始まっても「新学期、おめでとうございます」とは言わない。「新学期を、頑張ろう」とか、「楽しもう」とかである。つまり、正月だって「本年もよろしくお願いします」だけで良いんじゃないかと思う。

 ここで、他に『おめでとうございます』と言うシュチュエーションはないものだろうか? 『おめでとうございます』とは、めでたい時に使われる祝いの言葉である。つまり、良いことがあった時だけに使われる。入試に合格したり、結婚したり、誕生日だったり……。

 そう、大晦日に新しい一年が生まれるから、新年さんの誕生日を祝って『めでたい』と言うのは容易に想像が付く。しかしながら、それなら新年さんに対してだけ、めでたいと言えば良いのであって、すれ違う知り合い全員に『おめでとうございます』なんて言う必要はない。

 いったい、全員に誕生日のような、めでたい出来事が起こったと言うのだろうか? いや、僕たちは忘れているだけで、それは正しく起こったのである。

 現代は満年齢で、産まれた日を起点にして1年経つと一才歳を取ることになる。だから、産まれた日に誕生パーティーをする。しかし、これはつい最近、西洋から導入された習慣である。古来、日本では数え年で年齢を数えていたのです。

 数え年とは、生まれた年を一才として、大晦日が一月一日になった瞬間誕生日を迎えるのである。つまり、正月が『めでたい』のは、新年さんを含め、日本国民全員が誕生日を迎え、一才歳を取るからなのである。

 現代の誕生日みたいに、彼氏が自分の誕生日を忘れていたとかで殴り合いが起こったり、誕生日プレゼントに四苦八苦する必要もない。みんなが誕生日なのだから、誰もが与え、与えられる立場になる。そもそも誕生日プレゼントとか、誕生パーティーとかも要らないのである。だって国中が絶賛誕生パーティー中なのである。

 それは確かに、素晴らしくめでたいことだと思う。今となっては、数え年の誕生日に実感を持つことも難しいとは思うけど、今年ぐらいは、そういう気分で『明けまして、おめでとうございます』と言ってみるのも良いのではないでしょうか。という訳で、少し早いけど、明けましておめでとう。

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