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統一教会問題と奨学金問題を関連させて議論する「日本の教育」の反時代性

 

 ※-1 まえがき-なにを論じる本日の記述か-

 a) 第2次安倍政権は2020年9月16日退場した,その間そしてその後,この「裸の子どもの王様」が「世襲3代目の政治屋」として運営したきた日本であったがために,この国はいまや「後戻り」できないほどひどく腐敗・劣化したの「後進国的な国家体制」になりはてた。

 菅 義偉から岸田文雄に受け継がれた自民党と公明党の自堕落・野合政権は,一貫したかたちで「経世済民とは縁遠い為政」に終始してきた。とりわけ岸田文雄は,安倍晋三の幼児性や菅 義偉の驕慢性を幸いに欠いていた(?)ものの,ウソの政治一点張りであったシンゾウや,強権手法以外には政治屋としての行動をとれないヨシヒデよりもさらに始末の悪い,政治屋としての正体すらないカゲロウみたいない「世襲3代目の政治屋」である。

 この岸田文雄はこの国の未来をどうしたいのか,どうしたら少しでもよりよい政治・経済・社会の実現に向けて舵取りできるかについて,自分の理念なり方法なりを,国民たちに明示したことがない。というよりは,明示するための自身の政治信条や理想目標をもたない。これが「岸田文雄というそれも宏池会に属する国会議員」の唯一めだつ特徴であった。
 
 その程度でしかない政治意識の水準だとなれば,この岸田文雄というアベ・スガ以下の政治屋になにかを期待することは,初めから雲をつかむような話にしかならず,まったくできない。「坂の上の雲」どころか「橋の下のドブ川」にしか,案内してくれない政治屋であった。

 b) なお「宏池会(こうちかい)」とは,自由民主党の派閥のひとつであり, 現在の通称は岸田派と呼ばれ,自民党内のリベラル派の位置を占めている。昔,池田勇人が佐藤栄作と袂を分かって旗揚げしたのが始まりであり,現在まで自民党で最古の派閥である。

 しかし,いまの岸田文雄は,宏池会に属する自民党の国会議員としての「雰囲気」は皆無である。岸田は,安倍晋三の悪政・失政が残した轍にはまって身動きできておらず,宏池会らしい采配はまったく反映されていない。

 岸田文雄は,広島県第1区から衆議院に送られている国会議員であるが,この選挙区は広島市の一部「中区・東区・南区」と安芸郡の「府中町・海田町・坂町」からなる。

 その岸田文雄は2021年10月4日に首相になってから1年も経たない,翌年の8月に「原発の新増設」を決めていた。第2次大戦最後の段階で,世界で初めて原爆を投下されたヒロシマを地元にする首相が,その双生児である「原発」の推進をわざわざ積極的に展開するという「従来からの経済産業省」の原発路線を鵜呑みにして,それこそオウム返しの要領で発声していた。

 c) 世界のエネルギー事情は,原発のごとき「化け物:悪魔からの贈り物」である原子力を燃料に焚く「電力生産装置・機械」であるかぎり,スリーマイル島原発事故(1979年3月28日),チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日),東電福島原発事故(2011年3月11日)といった大事故を絶対に起こさないという保証はない。

 この地球環境の上で再び原発事故など起こしたときは,この宇宙船地球号はさらに大々的に破壊される。原発という装置・機械は,ほかのあらゆる電力生産装置・機械とは質的に断絶した有害性を「公害としてもたらす尋常ならざる危険性」,いってみば「悪魔的な大災害の発生」となる覚悟なしには,使用などできない恐怖を常駐させている。

 東電福島第1原発は事後後,12年以上が経った現在でもなど,溶融事故を起こした原子炉の内部状況を具体的に,つまり原子力工学的にまだ把握できていない。原発事故を起こした原子炉が,いったいいつになったらキレイに始末できたといえる日が来るのか,誰にも予測できない難題である。

 いまのところそのようにしか語れない原発の事故現場は,実に情けない状態になるなどと形容する以前に,人類・人間が原発の利用でいかに「大失敗」を犯したかについては,そのおおもとから十二分に自覚しておく必要があった。

 岸田文雄は敗戦の年,8月6日にヒロシマに原爆が投下された事実に対して,2011年3月11日に発生した東電福島第1原発の大事故を,自身の想像力をもって対応し,熟考することをしない。

 d) 1954年3月1日,アメリカ軍がビキニ環礁で水爆実験をおこなったさい,警告されていた危険水域の外で操業していたはずの日本の漁船「第5福竜丸」は,乗組員たちが目も口も開けられないほどの降灰に見舞われ,危険を察知し,海域からの脱出を図った。

 けれども,同船の23名の乗組員たちは,延縄の収容に時間がかかってしまい約4~5時間,放射性降下物の降灰を全身に被りつづけながら作業をしたため,全員が被爆した。船体や捕獲した魚類も同様に被爆していた。

 第5福竜丸のその事件が発生する3ヶ月ほどまえ1953 年12 月8 日,アメリカ第34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワーは,ニューヨークの国連本部において開催された国連総会で「原子力の平和利用」に関する演説をおこなっていた。

 事後,日本にも原子力を燃料にした原発が導入される歴史がはじまっていた。水爆は原爆とは原理が異なるものの同じ核兵器として製造され,もちろん戦争のための兵器として準備される。さらに,原発はそのうちの原爆を基本原理として同じにしながら,電力生産に応用するという核発電技術として開発された。

 原発が事故を起こせば,それも大事故を起こした段には,とりかえしのつかない地球環境の破壊を結果する。チェルノブイリ原発事故はその実例を端的に記録しているし,東電福島第1原発も同じである。

 e) 最近,政府は福島県の原発災害被災地のなかでも「避難困難地域」をなるべく狭める方針を実施しているが,これは原発災害の重大さ・深刻さを隠蔽するための方策というよりは工作と名づけたらよい対処を意味する。

 以上,自民党でもリベラル派だという評価があった宏池会に身を置く岸田文雄は,広島県・広島市の選挙区から選出されている国会議員であるにもかかわらず,「原発の新増設」をそれこそ「軽い乗り」でもちだした様子は,この人が核問題(核兵器と核発電の問題)に関して,なんら問題意識をもたない点を物語っている。

 以上の記述,だいぶ長めとなった「まえがき」であったが,以下につづく本論の段落にとって前提となる「最近日本の政治事情」の,それも問題点に言及してみた。

 ※-2 少子高齢社会対策は不調というか中途半端,女性が生きやすくないこの国の経済・社会事情,その抜本の対策がまともに企図されないのでは,これからも人口減少は進む

 #少子高齢社会  #女性差別  #女性貧困  #社会政策  

  ◆ 本日記述の話題 ◆

 その1 日本は2020年9月に安倍晋三政権から菅 義偉政権に代わり,2021年10月からはいまの岸田文雄政権に移った。2022年7月8日,安倍晋三元首相が「統一教会2世の困窮者:山上徹也」の手製銃によって射殺されるという重大な事件が発生した。

 その2 日本における少子高齢社会の問題,とくに女性や子供の貧困化が進むこの国のだらしない現状では,人口が増えなくなっているのは,当然かつ必然の社会現象である。

 以上の2つの話題は「その2」を論じるために急遽,「その1」の事件もとりあげたという構成のもとで,次段から記述されている。

 さて「その2」の問題をあらためて論じるとなれば,昨年(2022年7月8日)に発生した「安倍晋三が銃殺された事件」も関連させたうえで,全体の論旨をまとめてみるのも,より適当たりうると考えた。

 以下から,双方の話題をからめた議論をするに当たって,「その1」について,第3の真犯人が介在しているという可能性もある点にも,さきに一言触れてから全体の記述に入っていきたい。  

 ところで,狙撃された安倍晋三が搬送された奈良県立医科大学において緊急手術に当たった福島英賢教授(ほかに20名近くの専門医がその手術を補助したという)が「術後に記者会見の場で発言した説明」と,事後になってから「奈良県警当局が発表した点」ならびに「法医学的鑑定」とでは,それぞれが発言した中身が,そもそも完全に “ちぐはぐ” であった。

 つまり,どう聞いても基本的に噛みあわない点が残っていた。さらにいえば,全体的に整合性が皆無であって,対立する見解がバラバラに披露されていた。

 安倍晋三が狙撃され死んだその死因に関しては,最初から発生していた「その種の相違点⇒残余」の介在からして,素人のわれわれであっても実に奇妙な印象を抱かざるをえなかった。関連した疑問を発する意見や批判はネット上にいくらでも表明されている。
 補注)参議院国会議員で自民党の青山繁晴は,自身のホームページやとくにユーチューブ動画サイトにみずから出演し,安倍晋三が射殺された事件について発言していた。基本的には本ブログ筆者と同じ観方である。

 それにしても,とくに大手紙がこの重要な問題に対して深掘りしようとしていない現状は,ある意味,摩訶不思議だというほかない。

 2022年7月8日に起きた安倍晋三狙撃事件の真相は,まともに解明されているとはいえない。とくに,山上徹也容疑者が長期間にわたる「鑑定留置」に措置されていた事実は,この事件に対する世間の関心をそらそうとする当局側の意図を示唆するものであった。

 しかも,奈良医科大学の福島英賢教授が発表した事件直後における安倍晋三の容体(受傷の様子)と,奈良県警側による解剖所見の内容とは,全然噛みあっていないどころか,第3者の側にあっては,不審感をいだかせるほかない「双方間の齟齬の発生」になっていた。
 

 ※-3「その1:安倍晋三殺人事件」に関する議論から始めたい

 a) 岸田文雄が8月10日に手を着けた第2次改造内閣の話題は,いわば「尋常ならざるエセ宗教団体」である「統一教会・世界平和統一家庭連合」の害毒に,以前からたっぷり汚染されてきた「自民党内部の骨肉的な問題」(民主政とは真逆である特性をもつそれ)を,いまさらのように撹拌しなおしてみたかのようにして,あらためて世間に広くしらしめる機会になっていた。これは,皮肉といえば皮肉な出来事であった。

 この記述は,「統一教会・世界平和統一家庭連合」の名とは裏腹に「日本の家・家族」のあり方に対して,旧態依然の明治民法的な感性を丸出しにした,つまり封建遺制そのものである「〈家庭連合〉の反動的な女性観」を念頭に置いたうえで,以下の記述をするつもりである。

亡国の壺たち 
山上徹也を囲み登場する人たち

 「統一教会・世界平和統一家庭連合」という「キリスト教派を気どった偽物の宗教団体」は,まさしくエセそのもののキリスト教組織でありながら,その実,「世界」に「平和」をもたらしえない「家庭」をたくさん提供(創造)しつづけ,しかも「連合」という名のもとに逆に「不幸・不運・失敗」を一挙に,大量に生産し,配給してもきた。

 b) なお,カルトとして宗教団体の定義は,つぎのように説明されている。
 過激で異端的な新興宗教集団をさす。英語圏では正統的キリスト教を「教会」church,その分派を「セクト」sectとよぶのに対し,異端的または異教的小集団を「カルト」とよぶ。ただしヨーロッパでは,カルトの同義語はセクトである。

 カルトに分類される宗教集団は,現代では世界中に多数存在し,アメリカでは2000以上ある。カルトが世界的に社会問題となっているのは,強制的な勧誘によって入信させたり,多額の寄付金を強要したりして人権を侵害し,さまざまな反社会的行動をする教団が少なくないからである。反社会的宗教集団としてのカルトには,いくつか共通の特徴がある。

 その特徴とは以下のとおりであるが,旧統一協会,現在の「統一教会・世界平和統一家庭連合」がおこなっている宗教的な活動は,これらの条件に当てはまる。

 第1に導師やグルとよばれたり,みずから救世主を名のるカリスマ的教祖をもつこと。

 第2にマインドコントロールといわれる心理操作のさまざまなテクニックを用いて入信させること。それは洗脳の一種で,信徒は自覚のないまま,主義,考え方,世界観を根本的に変えてしまう。

 第3に外部世界から隔離された場所で共同生活を営み,閉鎖的集団を形成し,そこからしばしば反社会的行動に走る。

 第4に神秘的,魔術的な儀礼を実践し,教義は異端的,シンクレティズム(宗教的折衷主義)的である。 

  注記)『日本大百科全書 (ニッポニカ) 』から「カルト」の解説, https://kotobank.jp/word/カルト-178058

 例の合同結婚式が統一教会内にあっては,たいそうめだつ一大儀式となっていた。昔,歌手の桜田淳子もその儀式のなかに花嫁の1人となって登場していた事実は,ある程度年配の人びとであれば,みなよく記憶する「昔:数十年前の出来事」であった。

 しかしながら,統一教会方式の,そうした「結婚相手を指定され,強制される」といった,しかも宗教的な雰囲気をまとった配偶者の組み合わせ方は,個々人の自由意志とは無縁でありながらも,当人たちの信仰心のなかでは完全に洗脳されていた問題であるがゆえに,ただちには深刻な問題になっていなかった。
 補注)もちろん,その後においていろいろと困難が生まれていた話題もあったはずだが,ここでは触れない。

 c) ところが,「統一教会・世界平和統一家庭連合」が実施してきたそうした儀式に代表・象徴される「宗教的な文化」の触手が,自民党議員たちを中心に日本の政界のなかには,以前から幅広く浸潤していた。そして,この国の政治そのものがひどく糜爛させられるかたちで,政治のあり方・方向性にまで広範に重大な影響を受けていた。

 ひとまずさきに,ここでいきなり日本の少子化問題に関連させて話しをするとしたら,そうした統一教会風の「男女の縁結び」が,それでは日本の人口問題になんらかの「プラスの要因」,つまり少子化傾向を押しとどめる社会的な要因になっていたかといえば,基本的においてなんら特定の因果はみいだせない。

 前世紀からの話題であったが,日本の社会には「統一教会(世界平和統一家庭連合)」の好ましからざる影響が多数,しかも深刻に発生していた。だが,これに対して自民党(政府)はとくに安倍晋三の為政のもとで,わざわざ統一教会を助成,増長させる関係を維持してきた。

統一教会(世界平和統一家庭連合)に挨拶する安倍晋三

 したがって,日本においてはカルト(セクト)的な宗教団体して統一教会が厳格に取り締まれることがなかった。この事実はオウム真理教に対する当局の徹底的な弾圧の取り締まりとはきわだった対照となっていた。統一教会についてはいまでも「信教の自由」がウンヌンされるが,オウムに対しては破防法が適用されている。

 そうこうしているうち,ああだこうだいっているうちに,冒頭で言及したように,安倍自身が「統一教会2世」の手によって殺されるという事件が発生していた。

 いずれにせよ,協会員たちの「男女の縁結び」までをそれなりに活発におこなってきた「統一教会・世界平和統一家庭連合」であったが,日本の少子化問題とはひとまず完全に「別個の世界における宗教問題」として受けとめられるべき対象であった。

 21世紀になる前から日本はすでに少子化の時期を迎え,人口そのものが減少しはじめる点は,しごく当たりまえに分かっていた現象であった。ところが,すでに21世紀の初め「00年代」から人口が減少しだす事態を迎えていながら,いままでまともな政策の立案・実行がなされる様子はうかがえなかった。

 d) 以上の議論に関しては,山上徹也による安倍晋三射殺事件が発生してから指摘となったが,たとえば「統一教会・世界平和統一家庭連合」についてはたとえば,いきなり「日本国民ダマし韓国へ数百億円の上納金。統一教会「政界工作」の悪質手口」『MAG2NEWS』2022.07.22,https://www.mag2.com/p/news/546204  といった記事が登場していた。

 一方で,統一教会からも元安倍晋三政権からも同時に欺されつづけてきた「日本側のあまりにうかつであった問題理解」については,『しんぶん赤旗』2022年7月29日の「〈主張〉統一教会と自民党 闇の解明からの逃げ許されぬ」https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-07-29/2022072901_05_0.html   が,統一教会の問題に対して総括的な批判をくわえていた。

 e) 『しんぶん赤旗』のつぎに引用する〈主張〉は,問題の要点をよくまとめているので,以下にその全文を引用しておく。

 安倍晋三元首相銃撃事件を機に,自民党と旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の癒着の解明が焦点に浮上しています。岸田文雄政権の複数の閣僚は,選挙支援を受けたことや,関連団体のイベントであいさつしたことを認めました。

 多くの自民党議員が同団体関係メディアで紹介されていることも明らかになっています。旧統一協会は,霊感商法などで消費者被害を拡大している反社会的カルト集団です。政権党との闇の関係を徹底究明することは,政治の責任です。「党としてはいっさい関係ない」(茂木敏充自民党幹事長)と,調査をしないことは許されません。

 ◇ 関係認めても反省示さず ◇
 旧統一協会との関係を認めた閣僚は3人です。末松信介文部科学相は,関連団体にパーティー券を購入してもらったと〔7月〕22日明らかにしました。二之湯智国家公安委員長は26日,2018年に京都府内で行われた同団体関係のイベントで実行委員長を務め,あいさつしたと語りました。

 安倍元首相の実弟・岸 信夫防衛相も同日,旧統一協会メンバーと付き合いがあり,選挙を手伝ってもらったと述べました。しかし「常識的な範囲内」(末松氏)「政治家にはいろんな方と付き合いがある」(二之湯氏)と無反省です。岸氏は「選挙ですから,支援者を多く集めるということは必要」と開きなおりました。

 補注)なお岸 信夫は数日後,以上の見解をあらためていたので,付言しておく。この『しんぶん赤旗』の〈主張〉がなされてから2週間が経過したことになっても,統一教会との関係がさらに明らかになっていく国会議員は増えていく一方であった。

〔記事に戻る→〕 先の参院選比例代表で同党内13位で当選した井上義行議員(第1次安倍政権での首相政務秘書官)は旧統一協会の「賛同会員」であり,支援を受けていました。

 現衆院議長の細田博之議員も2019年に旧統一協会系行事に招かれ,スピーチしていました。同団体と一体の右翼団体・国際勝共連合系のメディアを見ると2014年以降だけで自民党の国会議員・地方議員80人超が関連団体での講演やインタビューなどで掲載されています(本紙〔7月〕27日付)。

 自民党と旧統一協会が深く広く結びつき,もちつもたたれつの関係を築いてきたことに疑問の余地はありません。

 いま解明が急がれるのは,旧統一協会が「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に名称変更することを文化庁が認めた経過です。文化庁は宗教法人制度の運用を担当しています。

 旧統一協会は1997年ごろから名称変更を求めていましたが,団体の実体は変わっていないと拒否されてきました。ところが安倍政権下の2015年に方針転換され,変更が認められました。

 文化庁を所管するのは文科省で,安倍元首相側近の下村博文氏が文科相でした。同氏は旧統一協会系の団体から献金を受けたり,機関紙に登場したりしています。政治的圧力の疑いが濃厚です。

 下村氏は関与を否定していますが,文化庁は経過を隠しており,疑惑は深まります。名称変更が消費者被害を深刻化させる転機になった可能性があるだけに,曖昧にできません。

 ◇ 臨時国会で徹底質疑を ◇
 旧統一協会が日本で活動を本格化させたのは1967年です。岸 信介元首相らが反共思想で結びついて支援し,選挙などで利用しました。旧統一協会側は議員秘書の派遣もしました。いま両者は改憲推進などで軌を一にしています。旧統一協会との決別は日本の民主主義にとっても焦眉の課題です。8月3日召集の臨時国会で究明が必要な重要テーマの一つです。

『しんぶん赤旗』2022年7月29日「〈主張〉統一教会と自民党 闇の解明からの逃げ許されぬ」

  f) 関連する記事の紹介-当面している日本政治の幼稚な問題ー
 つぎに紹介するのは,いずれもユーチューブ動画サイトの2編である。とも長い動画であるが,実見に値する内容である。

 1編目 2022/08/10 公開 「統一教会の狂気の記者会見・岸田内閣開き直りの組閣&自民党人事。内閣支持率急落は止まらない。カルト宗教と自民党はこれからも一緒にやって行くのか?   元朝日新聞・記者佐藤章さんと」『一月万冊』

 2編目 2022/08/11 公開 「安倍ブランドの虚飾~統一教会と国葬/北方領土とアベノミクス【山田厚史の闇と死角】」『デモクラシータイムス』

ユーチューブ動画サイトの2編紹介

 g) 関連する記事の紹介
 当面している教育問題,「教育は百年の大計」である展望を否定し,若者の人生・生活設計を否定する貸与奨学金の問題を,『東京新聞』がとりあげ議論していた。

 安倍晋三を射殺した容疑者山上徹也は,同志社大学理工学部に進学していたが,母親が統一教会に1億を献金したりした事情があって,中途退学を余儀なくされていた。

 仮に山上がそれでは奨学金(ここでは日本学生支援機構を想定)を受給されて,進学しつづけ卒業できたとしても,山上にかぎらない問題として,日本の奨学制度には,つぎのような難題:根本問題があった。

 以下,『東京新聞』からの引用となる。

    ★ 貸与奨学金 返済に苦しむ社会人 「無理ゲー」「生きるのがしんどい」…「取り立てが怖い」との声も ★
 =『東京新聞』2022年8月12日 06時00分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/195265

 いま,大学生の半数近くが利用する奨学金。多くは返済が必要な貸与型だが,経済の低迷で収入が不安定化し,日本学生支援機構(JASSO)の取り立てに苦しむ社会人も少なくない。

 岸田文雄首相は「出世払い型」の検討を指示したが,中身はこれから。専門家からは「返済しつづけるのが前提の構造が問題」との声も上がる。少子化対策の面からも,給付型の拡大を含め,早急な見直しが必要なのでは。

 1) 40歳まで支払い「結婚考えられず」
 「以前は具体的に人生設計をしていたが,40歳ごろまで支払いがあるため,結婚して子どもを持ちたいと考えることすらなくなった」。

 若者の貧困問題に取り組むNPO法人 POSSE(東京都)が,7月半ばからオンラインで実施した奨学金に関するアンケート。20~30代を中心とした男女約3000人の回答は,返済に苦しみ,人生プランが崩れたという悲痛な叫びであふれている。

 返済負担は次世代の将来も左右しかねない。「上の子が高校生になり,自分の奨学金の支払いのせいで,いきたい学校にいかせてあげれるか,とても不安」。

 「取り立てが業務的で怖い」という指摘もあった。

 POSSE のメンバーにも,返済に苦しむ若者がいる。たとえば計400万円を機構から借りて私立大に進学し,教員免許をとった女性(25歳)。月々約1万7000円を,20年かけて返済する計画で「やばいですよ。1日も早く返したい」と話す。

 卒業後,就職先の私立高校は職場環境が悪く,体調を崩して1年で退職に追いこまれた。その後は契約社員として企業の受付業務についたが,コロナ禍で在宅勤務が増えたため,6月末で打ち切られた。

 返済額を減らす申請をしたが,9月にならないと減額されない見通しだ。「奨学金もしんどいし,働くのもしんどい。生きるのが全部しんどい時代だと,社会人になってから思った。うちは4人きょうだいで,計1000万円以上借りている。返済のプレッシャーがめちゃめちゃある」と明かす。

 2) 大学進学率上昇,学費高騰… でも親の賃金は上がらず
 「『無理ゲー』(攻略不可能なゲーム)なんです」。POSSE の渡辺寛人事務局長(34歳)は,借り手をめぐる状況をそういい表わす。

 「なんとか返済しているが,若年層の雇用は不安定化しているうえ,家族の介護や入院といった不意の出費もある。子育てや教育費の負担も重く限界です」。アンケート結果を集計し,債務の帳消しや制度改善を機構などに求めていく方針だ。

 機構の「学生生活調査」(2020年度)によると,奨学金受給者率は大学昼間部で49.6%。1990年代半ばまでは20%程度だったが,この30年で倍増した。

 なぜこれほど増えたのか。まず大学進学率が上昇している。昨〔2021〕年度は短大含め約60%で,30年で20ポイント以上アップした。大学設置数も昨年度は803校(うち私立は77%)で,30年で35%増に。

 大学に進む学生は増えたが,学費は高騰している。年間授業料と入学料の合計平均(16年度)は,国立が約82万円,私立は約113万円。30年間で国立は2倍,私立は1.5倍になった。それにもかかわらず親の賃金は上がっていない。奨学金に頼らなければ,大学にはいけない状況が生まれている。

 国内の奨学金事業の大半は機構が担っており,奨学金の総貸与残高は約9兆6000億円に上る。

 昨〔2021〕年度,機構の奨学金の貸与を受けたのは約116万人。2020年度から導入された給付型の利用者は,所得制限があるため32万人で,貸与型が圧倒的に多い。

 3) 不十分な公的支援の見直しを
 機構の貸与型奨学金には無利子と有利子がある。世帯所得などによって線引きされ,約6割が有利子だ。借りるさいには,連帯保証人(親)と保証人(4親等内の親戚)を付けるか,保証料を払って保証機関を利用する必要がある。

 非正規雇用が30年で倍増し,約4割といういま,大卒でも状況はきびしく,返済中の3分の2は年収400万円以下だ。

 「学費が上がっているにもかかわらず,公的支援が不十分なまま,貸与でまかなってきたのが一番の問題だ」と話すのは,奨学金問題対策全国会議で事務局長を務める岩重佳治弁護士。機構の有利子奨学金事業の財源の多くが,国や民間からの借金となっている点に着目する。

 「外から借りている金なので,回収率を上げないといけなくなる」。

 4) 保証人過払い訴訟「悪意」認定
 機構は,奨学金の回収に民間の債権回収会社も活用している。

 機構の「貸与奨学金制度の概要について」によると,延滞1回目で本人に電話で督促し,2回目には親,さらに親にも連絡がつかなければ親戚にも督促する。一定期間を経過後は,裁判所に支払い督促を申し立てる。回収率は高くなるが,「やり過ぎ」とも言える事態が起きてきた。

 札幌高裁は〔2022年〕5月,機構に対し,保証人の過払い分を,利息を付けて返還するよう命じた。

 本来は保証人には,連帯保証人を含む人数分,つまり半分しか返済義務がないという民法上の「分別の利益」が適用されるのだが,機構は保証人が自ら主張しないかぎりは,全額返済させていた。

 判決は機構の認識について「法律上の誤解であることにくわえ,保証人は分割された額についてのみ保証債務を負うことは通説で,ほぼ異論をみない」と批判。「悪意の受益者」と認定した

 機構は2010~2020年,1900人余りの保証人に全額返還請求をした。このうち,保証人の主張に応じ,分別の利益を適用したのは7%弱の約130件だった。

 判決を受け,機構は6月,保証人約2000人に約10億円を返還すると発表した。ただし,自動的に返還されるのは,機構にデータが残っている2017年4月以降に返済を終えたか,返済中の人で,それ以前については,保証人が証明資料を用意する必要がある。

 原告側代理人の橋本祐樹弁護士は「機構は金融手法を取り入れ,なにがなんでも回収する戦略で,保証人は人質だった」と批判する。

 5) 回収ありき「家族も巻きこむ」
 東京で同様の裁判を担当する岩重氏は「機構のガバナンス(統治)に問題がある。金融機関の体もなしていない」と指摘。

 「取り立ては家族まで巻きこむ。機構は誰のために仕事をしているのか。回収1本ではなかったか。検証すべきだ」。

 機構は今後,保証人への請求については「返還未済額の2分の1を請求させていただく」という。
 
 返済負担が問題化するなか,岸田首相は3月,一定の年収になってから返済する「出世払い型」の検討を指示した。だが,年収を低く設定したら,効果は少ない。そもそも「先延ばし」ともいえる。

 武蔵大学の大内裕和教授(教育社会学)は,この10年で,機構についても「一定の改善は進んだ」とする。

 無利子奨学金の割合増,猶予期間の10年への延長,延滞金の賦課率の5%から3%への引き下げ,給付型の導入などだ。ただ「給付型についても対象は絞られている」と根本解決に至っていない点を強調する。

 「年収600万円程度の世帯で子どもが1人私立大学に進学すると,可処分所得は生活保護以下というデータもあるのに,支援が届いていない。延滞のみが問題視されがちだが,返済負担による未婚化・少子化も深刻。給付対象を拡大し,負担を軽減する改善を急がないといけない」と話した。

 6) デスクメモ
 「返還金は後輩への学資金になる。義務の履行を」。写真の機構の文書には,そう記されている。正論ではある。だが,多数の人が返済に苦しんでいる以上,公的な組織として杓子定規でない対応が必要だ。単なる資産運用と違う事業なのはいうまでもない。(引用終わり)

   以上長い引用となった。日本学生支援機構はサラ金か? 「保証人の過払い分を,利息を付けて返還するよう〔裁判所に〕命じ〔られ〕た」と来たゆえ,きっとその種の金融会社だと誤解されて当然かも,である。

 貸与型奨学金(日本のそれ)は「消」学金のための「制度」である。本ブログ筆者は学生時代に給与型の奨学金をいくつか支給されていたが,それでも貧乏きわまりない勉学の環境に余裕ができたわけではない。

 ともかく就職口がみつかったのでよかったが,仮に貸与型奨学金でしか奨学金を受けられなかった場合,大学へ進学するにあたりそもそも,自分が進むべきその後をどのように決めるかに関しては,別の選択肢をとるほかなかったか,などといまごろになってもときおり回想することがある。

 日本学生支援機構は,民間の金融機関から資金を調達して貸与型奨学金の枠組を膨張させてきた。だから必然的に金貸しのまねごとをおこない,奨学金の借り手:保証人に「利子分の過払い」までさせるという,エゲツない違法行為まで犯していた。

 金融機関側も「側である」。日本学生支援機構をサラ金業者と同じにしかみていない。話にならない。これではこれからも日本の人口が増える可能性などありえない。というのは,いまの若者のなかには結婚して子供をもうけることはむろん,そもそも,それ以前の恋愛まであきらめている者がじわじわ増えている。

 実際,男女交際の経験すらない若者(39歳までを若者という時代である)が増殖中である。壮年層で未婚の男女たちの比率が確実に上昇してきた。

 そうだから現状としては,人口統計がどんどん減っていくのは理の必然。自民党政権は,安倍晋三の第2次政権以降,奨学金問題を抜本から制度改革をする努力をしてきたか? 岸田文雄が多少手を出してみたが,抜本改革とはほど遠く,お話になっていなかった。

 ※-4 以上の議論を裏づける最近の統計資料や関連する記事の紹介

 1) 日本学生支援機構のアコギ(阿漕)ぶり。まず最初に,つぎの奨学金関連の話題に関する記事,2点の紹介である。

 2) 岸田文雄が首相の地位にいても,なにひとつ,まともに深く考えることができていない事実については,つぎの『日本経済新聞』2023年3月31日朝刊コラム「〈大機小機〉経済学者もあきれる物価対策」を画像資料としてだが,紹介しつつ指摘しておく。

日経・コラム「大機小機」

 3) つぎに『日本経済新聞』2023年3月26日朝刊1面に掲載されていた「〈チャートは語る〉日本の賃金『時給』は増加〔だが……〕」から,統計図表のみ紹介する。観てごらんのとおりの「日本労働経済の沈滞ぶり」である。

『日本経済新聞』2023年3月26日朝刊1面

 それでいて,日本全国における最低賃金水準の低いことといったら,野口悠紀雄が「韓国で1人当たりのGDPや労働生産性でおいぬかれた日本の行く末」『ダイヤモンド online』2020年2月27日https://diamond.jp/articles/-/229993 などと,それも2年前にすでに指摘されていた事実を思いださざるをえない。

 直近における最低賃金の水準は,つぎの『毎日新聞』2023年3月28日朝刊の記事から引用しておく。まだ,こんなに低い金額のままであるが,これでも引き上げ額は増大してきた。

最低賃金 2021年と2022年

 こうした賃金水準しか働く者に対して提供できないこの国が,2040年を予測するに,「労働者不足1100万人超 予測」『毎日新聞』2023年3月30日朝刊7面「経済」になるというのだから,少子高齢社会の状況がさらに極端になるはずの17年先のこの国の社会経済全体は,いったいどうなるのかという心配にとらわれざるをえない。

 それにしても,なにゆえここまで賃金水準が劣悪のまま「失われた10年」を「3周期」も重ねてきたのかという疑念がつきない。

 あえて断わるまでもないが,安倍晋三の第2次政権はその「第3周期目」をみごとに走破してきただけで,この国の政治・経済・社会をよりいっそう沈滞・陰鬱な状況のほうに追いやってきた。

 4) だから「収入があっても産み控え 所得制限で負担重く」『毎日新聞』2023年3月29日朝刊の記事は,読んでいるほうが情けなくなる。

産み控え!

 この記事は,とくに「年収に比例して所得性などの負担が重くなるのに,子育てや教育の支援策に所得制限が設けられ,対象か外れてしまうことには憤りが増すばかりだが」,「まるで “子育て罰” ですよね。産み控えが起きるのは当たりまえ。子どもを産むことには対する負担軽減策が,税制上なにもないのですから」と,問題のありかを指摘している。

 そして,そのような批判に対してようやく,多少の動きがあるようだが,ともかく「子育てに対する政府支出が未来への投資そのもの」であり,「子どもが成長し,労働人口が増え居ることで税収の維持や社会の成長につながる」ことや,

 「子どもへの政府投資は子どもの心身の健康や,社会変化に対象するリスクコントロール能力にも効果があるとされ,将来的な社会保障の抑制にもつながる」ことに対する現政府の理解度は,実質的になお低調である。

 現政権のなかには,長期的な展望をもって政策面から社会保障を策定するという政治的な能力が備わっているようには思えない。少子化対策そのものに対して貧弱な手当しか支給できていない。

 なかでも,前首相の菅 義偉は「公助」「共助」よりも「自助」をまず最優先させるなど公言したくらい,いまどきの一国指導者としては,社会保障政策に対する無理解をみずから暴露していた。

 現在の首相岸田文雄は,どうしても仕方なくなったのか,「児童手当の所得制限撤廃」を少子化対策として考え出した。だが,それでもなお「給付が先行」だといった具合に,あいもかわらず中途半端な対策しか講じようとしない。少子化対策に要請されている「一国全体の事情」から探りだせる核心部分は,いったいなんであるのか,という点を捕捉するための問題意識が希薄である。

 しかも,少子化対策用のその財源を「保険料の値上げ」を検討する方向で検討したいといいだしており,どこまでも姑息に終始するだけの「政策上のまずしい発想」しかもちあわせていない。
 註記)以上の段落は『毎日新聞』2023年4月1日朝刊1面・3面,『日本経済新聞』2023年4月1日朝刊1面など参照。

 5) しかし,問題の根柢は少子化対策にあったのでない。もっと問題を広い視野,そして長期的な観点から捕捉する必要があった。『毎日新聞』2023年3月28日朝刊2面「特集ワイド」で,毎日新聞の小国綾子は「〈あした元気になあれ〉結婚は少子化対策ではない」と釘を刺していた。

 つぎのごときに整理された「少子化対策のたたき台」がさらに載せられている「現状日本の人口構造問題」の総体を,いったいどのように現政権が理解しているのか,この点に対する岸田文雄の首相としての観点や展望が,さっぱり伝わってこない。

少子化対策のたたき台

 だから前段に言及した『毎日新聞』の記事は,「結局,この国の政治家の語る『女性の社会進出』は公平な社会の実現よりも,少子化対策や労働力確保が目的なんだろう」と批判したあと,こういう意見を紹介している。

 「結婚は,愛する人と人生をともにするためにすべきものであって少子化対策ではありません」。換言すると,自民党政権は「多様な生き方をどれだけ日本社会は認めてこなかったか」「男女とも自分らしく生きられる社会を」めざしてきたかという認識が問われているにもかかわらず,

 あいもかわらず「戦時体制期みたいに〈産めよ,殖やせよ〉」の21世紀版みたいな標語しか頭に浮かばない,現政権に特有である時代錯誤の「トンチンカン」さが問題になっていた。

 6) 問題の核心は,弥縫作や対症療法ではなく,社会政策・社会保障の方途をどのようにみすえて国家運営の舵をとっていくのかという,異次元ならぬ高次元の政治理念,いわば大所高所からする発想が,いまの政権政党(自民党と公明党)には不在であった事実にみいだせる。

 ここで断っておくべきは,『統一教会風・文 鮮明仕上げの前世紀の遺物的な家・家族観』が,旧大日本帝国の「負の遺産」=明治維新風・旧民法的な家・家族観と癒着したかたちとなって,この21世紀に「この国の執権を担当する幹部たちの世界観・価値観」を,いまなお全面的に占拠している。

 つぎの記事をみたい。

『日本経済新聞』2023年4月1日朝刊1面上部
同上・下部

 『日本経済新聞』2023年4月1日朝刊1面冒頭にかかげられたこの記事の見出しは,「児童手当の所得制限撤廃」が基本的に「少子化対策」としてしか認識されておらず,その「構造改革」にまでは「踏みこみ不足」のまま対応しようとする姿勢であるゆえ,問題の解決に十分に貢献できる展望は,当面はもてないと観たほうが正解である。

 上にかかげた日経の記事は「働き方改革など若い世代が将来を生きやすい社会への転換が待ったなしだ」と断わっているが,まったくそのとおりであった。

 「少子化対策」そのものに大いに貢献しうるとくに「女性の20代から30代の人びと」に向けるべき積極的な対策,それも抜本的な対応が,それこそいち早く講じられないことには,あと10年の猶予すらないはずの日本の少子化問題である(後段の説明は,あと6~7年の猶予しかないと説明している)。

 7) 「貧困女子」だとか「シングルマザーの窮状」だとかは,すでに既存の社会問題として深刻に訴えられてきた。けれども,自民党的な社会認識にしがえば,それら女性たちの問題は自分たちの視野に入っていない。このままでは,いまから四の五のいいだしたごとき「少子化対策」のあつかいゆえ,人口統計問題としてのこの問題は,今後,いよいよ絶望的な前途しか残されていない。

 とりわけ,「こども家庭庁」といった官庁名にこだわっているようでは,こどもを殖やすことは無理であった。「こども庁」を「こども家庭庁」に名称を変更させた「統一教会味」の料理法と「明治仕上げの旧民法」の時代感覚をもってしては,もはや少子化対策の遂行は無理になっていた。

 それどころか,そのような「旧態依然の発想様式」,岸田文雄式にいえば「異次元の観念世界」に飛びこんで身動きができていない「小手先の政策」では,時代が要求している課題に真正面からは応えられない。

 「こども」や「家庭」の「21世紀的な理想像」として想定されている家・家族「像」は,いったいどのように予定されていたのか? サザエさん家の家族像はいまの時代は規範になりえない。にもかかわらず,このような「3世代家族」を望むかのような発想が「子ども家庭庁」の名称にはまとわりついている。まさに時代錯誤以上に的外れの観念が,自民党政治のなかには「ふん詰まり(べんぴの)」状態となっていた。

 8) 以上の議論に関しては『日本経済新聞』2023年4月1日の「〈社説〉少子社会から脱却へもっと速度と深さを」が,よりまともな論説を書いていた。こう主張していた。

 --少子化問題に取り組む意気ごみは確かだろう。ただし,切りこんでいくスピードと深さは,まだ十分とはいえない。

 政府は少子化対策の「たたき台」をまとめた。近く岸田文雄首相をトップとする新たな会議を立ち上げ,6月の骨太の方針までに財源を含めさらに検討するという。

 並ぶのは,さまざまな拡充メニューだ。児童手当は所得制限の撤廃と高校生までの支給,多子世帯への加算が盛りこまれた。保育所は,働いていなくても柔軟に利用できるようにする。

 子どものいる社員が短時間勤務できる期間を延ばし,2歳未満では収入減を補う給付も新設する。予算不足から長年,見送られてきた保育所の職員配置の改善も,盛りこまれた。

 ただ,これらには巨額の財源が必要となる。国債でまかなうことになれば,未来の子どもたちへのつけ回しになりかねない。想定される効果を踏まえて政策に優先順位をつけるとともに,国民にどう負担を求めるのか丁寧な説明が欠かせない。

 たたき台は,今後6,7年が「ラストチャンス」と強調した。集中的に取り組む「加速化プラン」は2024年度からの3年計画というが,対策は時間との勝負だ。できるだけ前倒しでスタートさせるべきだ。

 なにより社会の構造的な問題により深く踏みこみたい。少子化の最大の要因は非婚化・晩婚化だ。経済基盤の弱さが若者の結婚や子どもを持つ希望を阻んでいる。
 補注)この段落の記述は「未婚」という範疇を除外しているのか? LGBTQの人びとが子育てと無関係だという認識か? この理解は間違いであった。LGBTQ以外の人びとはそれでは全員が「生産的だ」といえるか?

 LGBTQとは,Lesbian(レズビアン,女性同性愛者),Gay(ゲイ,男性同性愛者),Bisexual(バイセクシュアル,両性愛者),Transgender(トランスジェンダー,性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人),Queer や Questioning(クイアやクエスチョニング)の頭文字などをとった言葉で,性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつとしても使われる。

 以上の人びとは,男女が結婚し,あるいは事実婚で同じ屋根の下で暮らす場合と,いくらかは異なるかたちであっても,子育てと無関係の人びとではない。欧米諸国ではその実例がいくらでも存在してきている。

〔記事に戻る→〕 いったん非正規になるとなかなか抜け出せない硬直的な労働市場や,正規・非正規の大きな格差,旧態依然とした長時間労働などを根本から見直す必要がある。取り組みが目立って遅れているだけに,官民あげて急ぐべき課題だ。
 補注)つまり「少子化対策」は「対策として少子化だけに集中していればいい」社会政策の問題ではないという事実に注目する必要があった。

〔記事に戻る→〕 「育児は女性」という古い考え方も,なお根強く残る。女性の負担感を高め,少子化の大きな要因ともなってきた。たたき台は男性の育休などの「共働き・共育て推進」をうたうが,まわりに古い意識が残っていては難しかろう。

 社会全体の意識改革と,男女の分業を前提にした税・社会保障制度などの見直しをどうはかるか,もっと具体策を示してほしい。

 「今後5年で流れを変える」「集中取組期間」といった強い言葉は,過去の計画でも繰り返しうたわれてきた。実効性のある取り組みで,今度こそ若者の希望がかなう社会に道筋をつけたい。(引用終わり)

 こうはいっても,自民党的な脳細胞の造りがいまもなお根強く,つまり「子ども家庭庁」の設置(この4月から発足した官庁組織)は,その「古い意識が残ってい」るままでの対策であるからには,そのチグハグは並みたいていではなかった。

 9) 『毎日新聞』2023年3月31日朝刊「〈社説〉」いわく,これはつぎの画像資料に借りて,とくに気になっている問題点を枠で囲むかたちで明示しておきたい。かつては「先進国でいるつもり」だけはたっぷり抱いていたけれども,この日本における「子ども関連政策」の貧状は,観るも無惨。

『毎日新聞』2023年3月31日社説
 

 ※-5 戸籍を廃止できない日本の「世界に冠たる明治謹製の伝統」が,実は「少子化現象を促進させてきた」社会基盤であった

 それでは,いまのこの日本国のいったいなにが「先進国風」ではなくなってしまい,いわば,すっかり「後進国風」に取り残され,遅れまでとっているかといえば,それは,世界中で夫婦別姓を認めない国は日本だけだという事実に端的に反映されている。この話題について,つぎの意見を聞きたい。

 以下は,『毎日新聞』専門編集委員の伊藤智永が「エイプリルフールに日」に,つぎのように発言したものである。

           ★ 戸籍,廃止します ★
      =『毎日新聞』2023年4月1日朝刊2面 =

 戸籍を廃止する。6月にまとめる政府の少子化対策で,岸田文雄首相が文字通り異次元の秘策を検討している。少子化が止まらない原因の一つに,日本は欧米と比べ,婚外子が極端に少ない問題がある。

 50%を超えるフランス,スウェーデンに対し,日本はわずか2%余り。戸籍制度にもとづく社会の差別意識が壁になっている。国民に異次元の対策へ踏み出すと理解させるため,いっそ戸籍そのものをなくすサプライズだ。

 というのはエープリルフールです。でも,その程度の腹すらくくれないなら,初めから「異次元」などといわない方がいい。
 補注)岸田文雄首相は自分のいっていること・やっていることが,なにひとつ異次元的な施策などありえないのだが,口先だけは盛んに異次元,異次元的などと叫んでいる。その点でいえばこの首相は,自分自身が異次元の世界に飛翔している事実に意識がいかない。

 すなわち,異次元だといえるほどの采配などなにひとつ展開できていないこの日本の首相であった。けれども,ことばとして・表現として異次元,異次元と唱えつづけている。おまじないではあるまいに,自分を自分でごまかすためであるような念仏に,国民たちは食傷気味……。

〔記事に戻る→〕 政府が対策の「たたき台」を発表した。カネ,カネ,カネの中身を知るほどにげんなりする。ちょっとお金あげるから,結婚しようよ,子ども産んでよ,育ててよ,と政治家と官僚に笑顔で迫られたら,率直に気持ち悪い。

 カネは必要だが,日本はもともと,子ども・家族向け予算が先進国できわだって少ない。平時の行政で怠ってきた無策のツケを束ね,「異次元の新政策だ」と胸を張るのは鉄面皮というものだろう。

 まして6月の国会会期末にも衆院解散をもくろんでいるらしいと聞けば,国会でろくな議論もない43兆円の防衛費増大から目をそらし,財源不明のバラマキで有権者の歓心を買う口実に少子化を利用しているだけではないのか
 補注)この防衛費43兆円(2023年から5年間特別に増やしていくという決定)の問題については,さらに後段で議論する。

 「生政治」という考え方がある。昔の君主制は「従わなければ命はないぞ」と死への権利で人びとを支配した。これに対し,近代以降の政治権力は,人口政策や公衆衛生・健康福祉行政を使い,人民の生そのものを管理・統制するかたちに変わった。

 この統治が単純でないのは,軍隊・学校・職場などで規律を施された市民は,「生権力」こそ自分たちを守ってくれる力と頼り,進んで従おうとする点だ。善しあしはおき,この自発的に支配されたがる意思は,個人の自由や権利の意識に支えられる。

 日本の対策がつぎはぎのお仕着せに映るのは,子どもを産み育てるのは,自由な意思と選択なのだという気持ちを作り出せていないからだ。対策に成功している国と比べ,戸籍法にもとづき婚姻届を出した夫婦による出生が98%という堅苦しさが,もはや現実と合っていない。

 ならば戸籍そのものをやめて,非婚カップルや事実婚など子どもを産み育てる多様な意欲を後押しする方がずっといい。

 四月バカとはいえ冗談にも程があるとお怒りのあなた。戸籍を廃止してなにか問題でもありますか。歴史的にも文化的にも戸籍廃止は十分可能です。(専門編集委員)(引用終わり)
 

 ※-6 『日本経済新聞』朝刊「経済教室」で「少子化対策を講じた大学の先生たちの所見は,いずれも防衛費に言及していない摩訶不思議

 『日本経済新聞』は2023年3月27日,28日,29日朝刊「経済教室」に,「少子化対策の視点」と題して,つぎのように,3名の専門研究家が自説・意見を開陳していた。

 ▲-1 鈴木 亘・学習院大学教授「女性の逸失所得の防止が本筋 少子化対策の視点」2023年3月27日

 ポイント
  ○ 現金給付や現物給付の効果は明確でない
  ○ 専業主婦優遇や日本的雇用慣行を見直せ
  ○ 財源確保は子ども保険で全国民が負担を

結婚意欲と子どもの希望数

 ▲-2 吉田千鶴・関東学院大学教授「子育て世代の幸せな姿、重要 少子化対策の視点」2023年3月28日

 ポイント
  ○ 結婚意欲も希望子ども数も低下傾向続く
  ○ 夫の家事育児参加へ男女間賃金格差正せ
  ○ 子どもと触れ合う機会を増やすのも有効

出生数と出生率

 ▲-3 平口良司・明治大学教授「人口減前提の成長モデルを 少子化対策の視点」2023年3月29日
 ポイント
  ○ 日本経済の停滞の一因は資本蓄積の低迷
  ○ 電力確保や省人化のための設備投資必須
  ○ 教育投資充実で少人数でも技術革新実現

労働者1人あたりの物的資本と経済成長率の関係

 これらの御説はそれぞれなりに,もっともな意見を披露していた。だが,「異次元首相:岸田文雄」が安倍晋三の悪政をそのまま継承して,2023年度から5年間分,「防衛費43兆円」のための予算を確保してこれを執行しだした点には,誰も触れていない。

 前記の識者(大学の先生たち)がまさか軍事予算,対GDP比率1%を2%(NATO諸国並みの水準)にまで引き上げるという岸田文雄政権の路線をしらないわけはない。

 いわく,「財源確保は子ども保険で全国民が負担を」とか「夫の家事育児参加へ男女間賃金格差正せ」とか「教育投資充実で少人数でも技術革新実現」などと,ポイントの文句がかかげられていたが,この財源確保や賃金格差や教育投資などの問題は,いままでの軍事費・対GDP比率1%の路線でいけば,お茶の子さいさいの要領で,即座に実現できるはずだが?

 さすが異次元首相なりの指揮が発揚されているとみるべきか? それにしても奇怪かつ不思議な国の「少子化対策」案が提示されつつある。
 

 ※-7 軍事費(防衛費5年で倍増)ばかり異次元に増やすキシダメノミクスの対米追従・服属外交は,国民たちにそのツケをまわすだけで,民生面の政策は少子化を促進させる方途にむかっている

 ここでは,ネット放送局『デモクラシータイムス』が2023年3月29日に配信したつぎの動画記事「〈衰退日本の予算膨張〉【山田厚史の週ナカ生ニュース】」から,画像として切り出した3点を参照しておきたい。

 まず,2023年度予算で「防衛費(軍事費)」を「6.2%,1.4兆円」も一気に増やした岸田文雄政権の,この方面における「異次元的な偏向」ぶりは,その基本線において完全に「自国・無主体的な采配ぶり」となっていた。あきれかえるほかない。

軍事費のみ異次元の増額

 つぎに,社会保障費は総額でわずか1%台の伸びに過ぎないの対して,軍事費のみは「GDP比率1%から2%」への増大に向ける第1年目となった。いたずらに,ただ絞まりもなく軍事費の枠組だけが拡大され出した。

 しかも実質面では,あくまでアメリカ軍の機能・役割を補完・代替するための予算計上であった。実に愚かな対米服属外交の悪影響が,この軍事費倍増計画「第1年目」に表わさている。2023年度国家予算「一般会計」の内訳は,いままでには体験したことのない基本的な変質が現出した。

軍事費ばかり先行させて増大

  このグラフをみれば防衛費(軍事費)だけを特別あつかいし,急速に増大させた顛末は,まるで臨戦態勢に入った国の様相に似ている。しかしながら,この日本という島国が実際にはできもしない戦闘行為:「敵基地攻撃能力」の概念を,既定の軍事手段として位置づけ,定義していた。

防衛費急増

 しかしながら,この国は本当に戦争ができる国か? 国土の海岸線に立地している原発にミサイル1発撃ちこまれただけで,間違いなく「お陀仏になること必定」の,この日本である。

日本の原発-立地場所

 

 ※-8 防衛費の増大はあくまで宗主国「日本総督府」の指示にしたがった措置であった

 つまり岸田文雄が国会のなかで決めたことは,アメリカ合衆国の下請け的な子分の立場から,日本もアメリカの戦争事態に協力するための軍事費増大路線の確定であった

 ところが,そんな国家運営をしているうちにこの国の少子化傾向は「もう,ドウにも止まらない」状態になっている。

 歌手・山本リンダのシングル盤として,1972年6月5日にリリースされた歌『どうにもとまらない』があった。

 日本は,アメリカの芸能事務所に雇われた「 山本リンダ」の立場に似ているのか?

 山本リンダの歌にはまた,「こまっちゃうナ」が1966年9月20日に発売されていたが,現在における日本の少子化問題は「こまっちゃうナ」という文句で済まされるごとき問題ではない。

 というのは,軍事費を増大させたところで,兵隊さんになってくれる新兵(本日のこの論述に即していえば)⇒新生児の誕生数は,これからも少子化の趨勢として減っていくばかりである。

 いくら無人機の兵器・武器が盛んに活用される時代になったとはいえ,戦争の基本には人間という要素:存在が控えており,欠かせない。当然の話である。

 本日における「日本国情的な結論」は,すなわち,いまや「どうにもとまらない」「こまっちゃう」現実を抱えている。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題も,いまだに大きな問題として日本社会のなかに潜伏中だが,「防衛費増大 ⇔ 少子化傾向の深化(進化?)」という現実の問題は,自国軍事問題の基盤をゆるがす一大要因である。
 

 ※ー9「キシダノミクスで格差拡大加速」『植草一秀の「知られざる真実」』2023年3月29日

 註記)この記事の住所は,http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-0c349b.html

 a) インフレが進行し,政府は企業に賃上げを求める。一部の大企業は大幅な賃金引き上げ決定を公表している。この結果生じている現実はなにか。格差の一段拡大である。

 自動車総連のメーカー部会に属する11メーカー労組のうち,トヨタ,日産,ホンダなど7つの組合は賃上げ要求に対する満額回答を獲得した。大手電機メーカーも労組の要求どおりの月額700円の賃上げ満額回答を示した。

 一部の大企業は高水準の賃上げを決定している。しかし,中小企業の状況はまったく異なる。城南信用金庫が〔2023年〕1月10~13日に東京都や神奈川県の顧客企業738社に対象におこなった調査では,

 「賃上げを予定している」と回答した企業は全体の 26.8%。
 「賃上げを予定していない」と回答した企業が全体の 72.8%

だった。

 賃上げを予定している26.8%の企業でも賃上げ率は1~2%未満が35.4%で,大半が3%未満。インフレ進行で企業は原材料費や水道,エネルギー価格の高騰に直面している。

 本来は,中小企業でもコスト上昇分を商品やサービス価格に転嫁しなければ利益を確保できないが,上記城南信金調査では,「価格転嫁ができていない」と回答した企業が80%を超えた。

b) 日本に存在する360万社の企業のうち大企業は1万1000社強。企業の99.7%が中小企業で大企業は0.3%に過ぎない。労働者の数でも大企業は全体の約3割。7割が中小企業で働く労働者だ。

 また,大企業で働いていても非正規従業員は企業内組合の賃上げ交渉の恩恵を受けることができない。日本の労働者の賃金状況は悲惨な道筋を歩んできた。労働者1人当たりの実質賃金指数は2021年5月に前年同月比3.1%増加を示した。

 2020年5月のコロナ禍に伴う生産活動減退の反動もあり,記録的に高い伸びを示した。ところが,本〔2023〕年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減少を記録した。

 2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた。物価が上昇すればインフレ率を差し引いた実質賃金伸び率は低下する。このとき以来の激しい賃金減少が観測された。
 補注)本記述のなかでは※-4に関連する統計図表が掲示してあった。

 2021年5月から実質賃金伸び率はつるべ落としに下落しつづけたのである。この状況下で一部の大企業の賃金だけが増加する。小企業は賃上げしたくてもできない状況に置かれつづけている。

 c) 日本の労働者の実質賃金は1996年から2022年までの26年間に14.4%も減少した。

 〔つまり〕世界最悪の賃金減少国。これが日本の実態だ。OECDが公表する購買力平価ベースの労働者賃金水準で日本はG7のなかの最下位。韓国にも追い抜かれている。

 過去26年間の実質賃金推移をみると,長期減少傾向のなかで5年だけ実質賃金がわずかに増えた年がある。これと消費者物価指数上昇率推移を突き合わせると重要な事実が浮かび上がる。

 それは,物価上昇加速に連動して実質賃金が減少し,物価上昇減速=物価下落に連動して実質賃金が増える,というもの。中小企業では賃上げが実行されないという現実がある。

 名目賃金が変動しないなかで実質賃金を変動させる主因に躍り出ているのが物価上昇率=インフレ率なのだ。インフレが進行すると実質賃金は減少する。逆に,デフレが進行すると実質賃金は増加する。

 2021年春から2023年1月まで,日本でもインフレが進行した。これに連動して労働者1人当たりの実質賃金が激減してしまった。

 岸田内閣も黒田日銀が追求した「インフレ誘導」を肯定しているようにみえるが,根本的な誤りがここにある。インフレ誘導は労働者の実質賃金減少の元凶なのだ。

 企業に賃上げを求めるのではなく,インフレを完全に遮断することが最重要の実質賃金引き上げ策であることを岸田内閣に認識させなければならない。(引用終わり)

 結局,自民党プラス公明党政権体制を変えないことには,なにも始まらない時勢になっていた。腐りきった現政権になにかを期待することじたい,お門違い。自己存続が目的じたいになった政権は,このさい,打倒されるのが好ましいと判断せざるをえない。

 権力は腐敗する実例どおりであり,現政権は悪臭紛々。無規律,野放図でありながら,なおかつ「米国の属国」

 しかも「世襲3代目の政治屋」の定番になった拙劣な,いいかえれば「異次元的な」国家運営ぶりときたら,俗物以下の小物政治屋がこの国をますます弱体化させ,溶融させていく風景になっていた。

 ところで,引きこもりびとが140万人いるという報道があった。この人たちに対する政府の対応策は? 積極的にはなにもない。もったいない社会集団だといえなくはない。

 しかし,この人たちに対してであっても,なにかを強制して動かすようにすることはできない。どのようにこの人たちを活性化させ,社会の舞台に出てきてもらえるようにするかの仕事が,まさしく政治家に課せられた任務になっている。

 国民・市民・庶民たちはまず,統一地方選挙(2023年4月9日 – 2023年4月23日:投票日)では,自民・公明・維新・国民民主などの「とくに腐りきったダメ政党」に対して「ダメなものはダメ」という結果を突きつけないことには,今後の日本はもっと・ますますダメになる。

 それこそ,「現状のごときキシダメノミクスのいい加減さ」に手がくわえれれないかぎり,日本の政治はさらにダメ押しされる。

【参考記事】-『長周新聞』『日刊スポーツ』などから-

 註記)上掲,『サンデー毎日』2023年4月9日号の同上記事の題名は「『若者の貧困化』を食い止めるため終身雇用制度を復活せよ!」

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