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和菓子、風呂、焼肉

この日曜は一日義理の両親と過ごした。

まず朝から義父と一緒に行きつけのスーパー銭湯へ行く。いつも義父に11時に調布駅まで迎えに来てもらい、そのまま車でおフロまで連れて行ってもらう。Yさんは時々ついてくることもあるけれど基本はいつも私と義父の二人だけ。もちろん行きと帰りが一緒なだけで館内では完全別行動。

だいたい11:30から1時間半お風呂に入り、13:00にあがって髪を乾かして、その後13:30〜14:30まで60分コースのボディケアマッサージをするのが定番のルーティン。ちなみに毎回すべての費用は義父もちで、とにかく義理の実家ではこの歳になっても甘えることが親孝行という恵まれ過ぎている親子関係。嫁姑問題も皆無だ。

そんな本日の丘の湯では白湯あつ風呂という所で晩白柚風呂という限定風呂をやっていた。ドッジボールとかサッカーボールくらい、果物でいえば夕張メロンぐらいはあろう特大サイズの品種の柑橘類で、10玉も湯舟に浮いている様はなかなか楽しい光景だった。インパクトが大きいので普段より白湯あつ風呂の人口が多かった。壁に貼られた案内には、約直径20cmと書いてあり、ザボンのような爽快な香りをお楽しみください、とあった。浮いている一つを手にして香りを楽しんだ。ああ食べたい。

たくさん汗をかいて体をほぐして義両親の実家に帰ると、晩白柚をひと回り小さくしたような文旦が3つ用意されていた。早速その一つをいただく。晩白柚と同じ香り、爽やかな酸味。渇いた喉と体に沁み渡る。

17時過ぎに義両親とバスで再び調布駅に出てYさんと合流し、予約していた駅ビルトリエ京王調布の5階へ。義母が予約してくれていた平城苑という本格黒毛和牛焼肉店に入る。この時17時半ながら早くも行列ができていた。


店内に進むとゆったりと贅沢に構成された空間設計で、4人席のテーブルが6、7卓ほどしかなく、そのほとんどはリザーブの札が置かれていた。後で聞いた話によれば、元々横浜界隈で名の通った名店なのだそう。納得。

おススメメニューの7点盛りを3人前と、肉寿司を一人一貫ずつオーダー。

肉のお寿司を生まれて初めて食べた。舌の上でじゅわりとほどけてあっという間に溶けていき、それでいてあと口まろやか。一体何をどうしたらこんな食べ物が生まれるんだろう。口に入れた瞬間から呑み込んだ後まで、自分の知っている肉とは完全に異次元、別世界の食べものだった。すごい。


私は元々進んで焼肉を食べたがるタイプの人間ではなく、どちらかというと草食系。以前も書いたかもしれないことだけれども、幼少の頃は偏食で小食で、産まれて間もなく医者に「食に対する欲求が希薄な子」と言われた。米や芋、豆などと果物は好んで食べたが、野菜も魚も肉も嫌うような子どもだった。動物性タンパク質といえば卵や魚肉ソーセージ、蒲鉾などの練り物くらい。肉も挽き肉やウインナーなどの加工食品なら辛うじて食べられる程度だった。

そもそも母が還暦を過ぎた今でも魚も肉も嫌ってろくに食べない人間なので、母から受け継いだ体質なのは誰にも明白だった。それゆえ個性として母からの理解はあったものの、栄養になるものを食べようとしないため、食の多様性に寛容でなかった昭和の時代には随分苦労をかけたし、私自身当時の給食制度にはかなり辛い思いをした。

今でこそ青背の魚や肉もそこそこ食べられるようになったけれども、ホルモンなどは食べない。噛み切れない肉は呑み込めないのだ。

が、そんな偏屈な私でもこちらの店の肉はどれも抵抗なく美味しくいただけた。唯一ひと切れ試したミノも、下ごしらえが丁寧だったお陰でなんとか不快感なく呑み下せた。恐るべし。

7点盛りでは牛タン、ハラミ、ランプ、まくら、サーロイン、たてばら、とうがらし(これも部位の名らしい)とあったが牛タンととうがらしを除き(単純に家族に譲ったため)美味しくいただいた。私ごときの偏食もものともしない肉のクオリティ。美味とは偉大にして寛容なり。柚子胡椒や塩で食べた。

7点盛りの後はハラミとカルビ。野菜で巻いて食べるといくらでも食べられて際限がない。安い肉だと数切れも食べればすぐ胸が一杯になるのに。本当に美味しいものというのは満腹中枢が機能しなくなるものなのだと身をもって学ばされた。

キリがないので最後に全員ミニ冷麺で締める。

冷麺初体験。食に対して保守的なので、40前にして初体験の食べ物ばかりでお恥ずかしい。でもその分この後の人生にまだまだ知らない楽しみが多く残されているということでもある。

麺のしこしことした歯応えとあっさりした味つけは私好みの食べ物だった。いつか盛岡に旅行に行ったら是非ご当地の冷麺を食べたいと思う。


さて本日の和菓子をご紹介。

前日の土曜、下北沢に行った際、途中で見つけた和菓子屋にて。

東北沢駅に近く、何回も通った道のはずながら、こんな所に和菓子屋があったのかと初めて知った。歴史を感じる店構えと暖簾につい吸い寄せられていく。

美味しそうな薯蕷饅頭と道明寺桜餅も悩んだけれど、どら焼きと草だんごを購入。

毎度のことながら週末の朝ごはんとして食す。

草団子140円。なんと愛らしい。中は美味しいこし餡が程よい比率で詰まっている。ひと晩経ってもフィルムで巻かれていたお陰でつるんとしていた。よもぎの味がちゃんとする。

パックにもどら焼きの個包装にも一切の情報がなく提供される、ほんとの町の和菓子屋さん。ネットで調べたら50年の歴史をもつお店らしい。


このフォルム。皮と皮の間のライン。ドラえもんに出てくるどら焼きみたい。生地は若鮎用のそれのように密度が高く、厚みはそこそこながら随分としっとりもっちりしている。手で割ってみると、

中に求肥が仕込んであった。

思わぬ展開に嬉しくなる。

ぎゅっとキメの細かい皮生地と粒あんと求肥。昔ながらの素朴なおいしさ。薯蕷饅頭も買えばよかった。店の営業時間が長めなのも嬉しい点。また行こう。










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