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新宿にて

私と入れ違うようにYさんが風邪でダウンした。金曜日、とうとう会社を欠勤。関節痛、38度以上の発熱、食欲減退、激しい咳。これまで見たことのないYさんの重症ぶりに、二人ともインフルエンザと疑っていなかった。

が、なんと私が仕事から帰ったら(私は私でこの日に限って携帯を家に忘れるという失態)、結局寝過ごして医者に行けなかったという。アンビリーバボ…。

温泉卵とわかめとほうれん草とかまぼこを載せたうどんを作った。うどんが口に合ったようで一人前完食。併せて切り餅をひと切れレンチンで煮たらそれも食べた。食欲は落ち気味ながら食べられないわけではないようでひと安心。食欲さえあるうちは何とかなる。

私自身の夕飯は、納豆ごはんに味噌汁などのありもので済ませた。自分一人の夕食となると粗食になるものだ。(むしろ好んで粗食を食べている節が大きい、ごはんと味噌汁に、目玉焼き、あるいはサバ缶なんて組合せの方が余程うれしかったりする。)

そして今日、医者への外出前に検温、38.1度。昨日今日と風呂に入ってない、汗をかいて気持ち悪いから風呂に入ろうと思うと言う。努めて穏便に入浴は控えるよう伝えレンジで蒸しタオルを作り、顔や体を拭かせて着替えさせたら、満足してくれた模様で内心安堵。

こういう常識がしばしば足りないのが彼のおそろしく、正直な話困ってしまうところなのだけれど、男の人が大体こういうものなのだろうか。

そうして午前中にめでたく医者に行き、診断を受けた結果、まさかのシロ判定と連絡。まじですか、ただの風邪の方が私のインフルエンザより重症とは。

私の時といい今回といい、この頃のわが家の健康問題にはことごとく予想を覆され、まるで何かに化かされているような気がする。ここまで真逆の症状度合と結果だと、素人判断は本当にまったくあてになりようがないんだなという話でもあるけれど。

そしてYさんがそうこうしているうちに、留守番の私はポカリを作ったり、トマトスープを作ったり、たまった洗濯物や洗い物などの家事を済ませたりした。

ともあれお互い拍子抜けはしたものの、インフルエンザでないと分かっただけでも本人は随分気が楽になった様子で、Yさんが帰宅した後はしばらく二人でのんびり動画を見た。

我が家は狭いので私がずっといては落ち着いて休めないだろうということと、私が彼の体調不良のために外出を我慢していると感じてかえって彼が気を病む懸念があったので、とりあえず外へ。


どこに行こうか決めてなかったことと、状況的にさすがにあまり遠出する気分にならなかったので、なんとなく新宿へ。

新宿タカシマヤのデパ地下の和菓子コーナー〜銘菓コーナーをぶらぶらし、いくつかの和菓子を物色。以前新宿伊勢丹で「あも」という絶品銘菓を買って以来ファンになった、滋賀県の叶 匠壽庵(かのうしょうじゅあん)がそこにもあり、バレンタイン向けらしい「心よせ」というきなこがけの黒豆を試食でひと粒いただいた。見た目も口当たりもまるでトリュフチョコレートのようで、言われなければ黒豆とは気づかないんじゃないかと思うくらいしっとり繊細で優しい味わい。ものすごく甘みを抑えた大人のチョコと言われれば信じてしまう。ヘルシーでお洒落で高級感もあるので、Yさん用の今年のバレンタインプレゼントにと、抹茶味の方を買った。

叶 匠壽庵は、新宿伊勢丹でもそうだったけれども、いつも積極的に試食を振舞ってくれて、そんな営業精神にも惚れている。どの商品もびっくりするくらい美味しいものばかりなのに、常に客に歩み寄ろうとする努力姿勢が本当に素敵だ。商品がどれもシックなのであまり目立たない印象の店だけれども、とにかく衝撃的に美味しいので和菓子に興味のある方はぜひ試食目当てで構わないので行ってみてください。少なくとも新宿伊勢丹と新宿タカシマヤは必ず試食が出るし、一度試食したら買わずにいられないはずだから。

続いて銘菓百選コーナーを舐めるように物色し、いくつかのバラ売り和菓子を買い込んだ後、新宿三丁目の追分だんごへ。

いつも行列になっている甘味処が、タイミングよくすぐに座れた。

ここには前にもYさんと二人で一度来たことがあって、その時も確かだんご二本盛りを食べたような気がするけれども、おそらく初めてだからということで、王道中の王道で、みたらしとあんだんごを選んだに違いない。

ということで今回は、田舎しること迷いつつ、予算の都合でよもぎ(こし)と白あんのだんご二本を選択。ごまだれも気になったけれど、白黒の取り合わせはなんとなく縁起が良くない気がしてよもぎにした。

こちらの追分だんご本舗のおだんごは、もち米を使っているとのことで、モチモチとコシのあるだんごを噛んで味わうと、確かにだんごからお米の味がする。白あんで食べるとことさらにお米の甘みが際立って感じられる。よもぎの香りも瑞々しく感じられてしみじみ美味しい。

あくまで個人の好みの話になるけれども、上新粉だけのだんごの場合、お店によらず弾力というかコシが今ひとつ好みとしては物足りなく、味わいもあっさりしているように思われるので、今後はこの追分だんごのようにもち米を使っているかどうかを手がかりにして買うようにしようと思った。あるいは白玉も大好きなので白玉粉を使っただんごでもいい。今度からその点を気にしてみようと思う。

なんて、一人でだんご考。

次回は生醤油とごまだれの二種か田舎しるこを試したい。帰り道、小田急百貨店だか京王百貨店だかにもお店を発見したので、今度はそちらへ行こうと思う。そちらなら会社帰りに立ち寄ることもできる。

味の散歩セットも、きっといつの日か。



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