慈岳が選ぶ高校生時代の名ヲタク9人と、若手ヲタクへのメッセージ

はいはいどもども、慈岳バアでございやす。そこのお兄さんや、ちょいとこのバアの高校時代の思い出話に付き合っちゃいただけませんかね。お嬢様ももちろん歓迎ですよ。高校生のヲタク男子の話ですけどそれでよろしければ。

さぁ遠慮なくおざぶへ。足崩してね。茶など進じょ。

過去最高の長話となりますので、目次から好きなところだけ選んでごゆっくりどうぞね。


●慈岳の母校と当時のスペック

男子率驚異の95%。学年に女子9人。うち仲良くしていたのは2人のみ。今は母校はなくなってしまいまして、いつの間にか改編されて校名も変わっていましたね。

慈岳は黒髪ロングストレート生徒会長。ただし清楚で品行方正とはとても言えず、校外ではヴィジュアル系コピーバンドしてSHOXX(現在は廃刊)購読して。父から続く鉄道ヲタクで、のちに念願叶って新卒で第一志望の鉄道会社に就職。

●ヲタク委員会とヲタク部

生徒会は下位組織を統括する関係で、いろいろな委員会や部活と交流がありました。役員にも各自得意分野や人脈があり、私は視聴覚委員会、およびゲーム部とただならぬ関係に。

この2組織はそれぞれ『ヲタク委員会』『ヲタク部』と呼ばれていました。理由は簡単。構成員がヲタク男子だらけだからです。このうちヲタク部に、私も所属していました。

TRPG、マジック・ザ・ギャザリング、ボードゲーム、アニメ、漫画、同人誌、ロボット、自作パソコン、プログラミング、政治、ミリタリー……いやぁすごい部活です。ゲームじゃないのがいろいろ混ざってます。

中学時代、体操部でレオタード着てバック宙をしながら陽キャぶるウラで、TRPGなんつーモンにハマってましてね、それを一般ピーポーじゃなくガチヲタとプレイしたくて入部したのですよ。

●ヲタはヲタを呼ぶ地獄絵図

ヲタク部員は、第二第三のヲタク部ともいえる動画部やロボット研究部などのヲタク達と交流があり、ヲタク委員会の所属者もいました。ヲタク委員はヲタク委員で、委員会や部活には所属していないヲタ友がいて、視聴覚室にたむろってヲタ話を繰り広げる……。

ヲタクがどういう人種か知らない人には、まさに地獄絵図だと思われるでしょうねw

でもヲタクの皆さんは、少なくとも私が接してきた限りの範囲では、研究者気質で頭が良く、優しい人ばかりでした。イケメンも陽キャも普通にいます。以下印象に残っているヲタク男子を上げていきますよー。


独断と偏見!慈岳が選ぶ名ヲタクの皆さん

本名やそれに近いアダ名で呼ばれていた人は、てきとーにニックネームつけますぞ。

●軍人さん

2年生前期で2期目の生徒会長をつとめていた際、3年生の彼が副会長をしていました。軍人さんは校内のヲタ組織には所属していませんでしたが軍事ヲタで、校外では自衛隊のイベントやサバゲーなど積極的に動いていた様子。

その夏の生徒会研修で集合した際、私のカットソーの左肩からアレのヒモが出ていました。

「会長、肩」
「え?……あっ」

軍人さんらしい最低限の簡潔な指摘です。礼を言おうと顔を見たときにはすでに前を向いており、必要なことを言ったまでだと、その横顔が語ります。進路は高卒で海自。ヲタからプロへとなられ、翌年生徒会室に現れてセーラー服を見せてくれました。

●ぺーすけ

ギター弾ける系イケメン陽キャヲタ。ロボットアニメが大好きで、ガンダムやマクロスの曲を弾き語りするかたわら、プロレスヲタでもありました。好きなプロレスラーは武藤敬司さん。

みんなのムードメーカーで気配り上手、ぺーすけを嫌いになる人はいないんじゃないかってくらいイイ奴です。彼の家はヲタの溜まり場で、私もよくご自宅に訪問させていただきゲームに明け暮れました。

お母さんも明るい女性。珍しく現れた女子の私に優しくしてくださり、ぺーすけとともにでんでんタウンに連れて行ってくれたことも。しかしでんでんタウンとは……息子の趣味を心得てますなぁ。

●わっきー

ぺーすけの相方。言葉数が少ないし、見た目も地味で表情も話し方の抑揚も変化が少ない人ですが、決して愚かではなく、付き合えば付き合うほど味が出るスルメ系。今考えてみてもわっきーは謎多き人物で、その味を引き出せるのは相当腕のよい料理人(ぺーすけ)だけかと。

彼にはある特技がありました。裏声がスゴいのです。わっきーなくしてカラオケは語れないというほど、何ならToshIを超えんじゃねーかという高い声を出せてしまう。しかも子供向けアニソン限定。

おもろすぎる。楽しすぎる。わっきーを活用できない人間はクソだと感じるほど、彼の裏声カラオケは名物でした。「わっきーアレやってよ!」と、私も何度リクエストしたか分かりません。

●エヌタさん

ヲタク部の最長身で最重量ながら、ベビーフェイスで人柄のよいギャップが素敵なエヌタさん。彼は特段『専門』といえるヲタジャンルを持たなかったのですが、とにかく誰にでも何にでも話を合わせられる幅広い知識と卓越したコミュ力、そして年下女子にイジられても難なくかわす度量が特長。

エヌタさんはぺーすけとともに、私が高校生時代最もお世話になったヲタ男子です。学校から最寄り駅まで徒歩20分だった私を、部活終わりによくチャリ2ケツで駅まで送ってくれました。(オマワリサンごめんなさい)

エヌタさんの家と駅は、まったくの反対方向なんですよ。巨漢の彼と私の2人分の体重を乗せ続けた自転車のタイヤは、消耗が早かったそうです。ありがとうエヌタさん。

●ボス

私が入学して間もなく、各部活の部長が檀上で部活紹介をする催しがありました。私がヲタク部に入ったきっかけがこの催しだったのですが、ボスが檀上に上がるなり度肝を抜かれてしまいました。

ボス「あーまぁ、僕らいろんなゲームやってるんで。よかったら見学でも来てください。おわり」
慈岳「(頭に緑のバンダナ!中途半端な長髪!淡々とした語り口!これは本物のヲタクだ……)」

ボスはカリスマ性でまとめるタイプでした。183cm長身で、色白美肌の細身で塩顔。令和女子ならその中性的な顔立ちと背の高さに一発でやられそうな恵まれた容姿を、抑揚のない語り口とバンダナですべて破壊しています。これは会いたすぎる!と、その日すぐにヲタク部見学に行きました。

●まっつー

ボスの下位互換のヲタク委員。どこが下位なのかと言えば、ボスより15cm低い身長と、カリスマ性の代わりに人を立てることで立ち位置を確保しているところ。能力は極めて高く、ボスとはバンダナ仲間。

まっつーは自作パソコンもプログラミングもサイトビルドも、IT系なら何でもこなす頭の良い人で、同期でありなら私のことを「会長、会長!」と慕ってくれました。

スケベ男子からセクハラ発言を受けたときは「おまえさ、もう明日から視聴覚室来るなよ。会長にローファーで踏まれて嬉しいなら別だけどさ」と謎の圧力を掛けて放り出し、しばらくヲタ勢の中で語り草となったりもして。

●ダンディくん

見た目が整ってダンディなので安直に『ダンディくん』なのですが、その素行もダンディを極めていました。ダンディくんの家にも時々寄せてもらってヲタ男子たちとゲームしまくってたんですが、途中で眠くなって寝ちゃったんですよね。で、目が覚めたらお布団が掛けられていました。

ダンディくん「起きた?疲れてたかな?」
慈岳「あ、ごめん」
ダンディくん「起きたらアニキがタクシー呼んでくれるって。それ乗って駅まで行ったらいいよ」

ダンディくんには社会人のお兄さんがいて、夕方帰宅した様子。「ヤローの中で女子1人で来るのはあまりしないほうがいいよ。こいつらは大丈夫だけどw」と、こちらも紳士的なお諭しが。兄弟してダンディでした。

●オクレ兄さん

ヲタク委員会の委員長。Mr.オクレさんに顔からメガネからめっちゃ似ていてそのままニックネーム。前述のまっつーよりもITに強く、その名に恥じない(!?)高い頭脳により繰り出されるボケツッコミは委員たちの心を掴み、ヲタ達の中では人気者の1人でした。ヲタ界でも頭の良い陽キャはもてはやされるんですよー。

オクレ兄さんは、ボスのカリスマ性とぺーすけのムードメーカー、そしてエヌタさんにも劣らぬ知識の守備範囲の広さを兼ね備えたオールラウンダー。

……と思っていたら、ヲタク委員会アジトでくっちゃべって日没近くなっていたところへ「アネゴ、駅まで送りますよ」とダンディ君的発言。上乗せきた!と思いつつ、私はオクレ兄さんのチャリの後ろに座り(オマワリサンごめry)、学校を後にします。

その光景を見た成績下位の底辺ギャル2名がギャハハと下品に指差して笑っていましたが、

オクレ兄さん「あわれですねぇ」
慈岳「おばちゃんみたいやな。無視無視」
オクレ兄さん「ww アネゴは厳しい。まぁだから僕らは付いて行きたくなるし毎回選挙で当選するんスよ。もう4期目でしょ? 」

どうでも良い人は埒外に置いて動じない。自己評価の高いヲタは堂々としています。趣味がソッチ系なだけで、優秀な人は優秀なのです。

●ごっちゃん

トリは紅一点。ヲタサーの姫っぽい可愛い系。ノーメイクで地味、身長低めで成績平凡という、モブヲタにウケる属性です。実際、モブヲタから人気者で、『空いてたら』断らず常に彼氏はいます。言い寄られた男子の趣味に合わせるので守備ジャンルは不明ですが、漫画が好きなようでした。

彼女は非部員。部員に彼氏がいたためヲタク部に出入りしていました。その彼氏と別れたら、『順番待ち』をしていた別のヲタとくっつきます。好き嫌いがあまりないのかと思っていたら、単に断れなかっただけという(本人談)。

その断ることができない性格がアダとなり、高校生としてあまりよろしくない関係に流されてしまう。卒業後も同じようなことをして、進路はシングルマザーとなってしまいました。


●おまけ『ヲタのカラオケ大会』

上記で挙げたヲタを含むヲタ会で、ある日の夜カラオケに行きました。メンツのお母さんが、未成年の若者のハジける行動力を理解されてくれていて、懇意のカラオケ屋に「今から高校生10人ばかり行く。アタシが全員の監督責任取るから歌わせてやってよ!」と交渉してくれたのです。

私らは意気揚々とカラオケ屋に行きます。男子10人、女子は慈岳だけ。ダンディくんのお兄さんから忠告を受けていたものの、自分以外のメンツ全員男子のバンギャやってる高校生がそんなもん聞くわけねーじゃん?

そんなこんなでオタカラオケが始まります。父には前述のお母さんから連絡入れてもらい、「お嬢さん貧血起こしまして、最悪こちらでお休みいただくのでご安心くださいね」

はいオトンちょろすねー! 処理オワリ

そしてカラオケ終盤。最後の一曲となります。選ばれたのはとなりのトトロの『さんぽ』。あっ、これだめなやつ。

ヲタ男子「歩こう!歩こう!わたしはぁげんきぃ!あるくのぉだいすきぃー!どんどんゆこぉうー!♪」

あかんあかんあかん!
こんなおもしろすぎる重低音聞いたことない!

慈岳「普通に怪しいよこの部屋!」
ヲタ「いやぁ今さらでしょ?」
ヲタ「会長サビ独唱!」
慈岳「サビ終わっただろww」
ヲタ「あーそか、じゃーBメロ!」
ヲタ「バンド系で荒々しく!」

なんやねんこいつらパリピかよw

慈岳「みっつばちぃーぁ!ぶんぶんーぁ!はっなっばったっけぇぇあるぁ!!」
ヲタ「ド迫力ww」
ヲタ「さすが会長www」

たのしすぎるやろ。あと喉死ぬ。
既にヘッドボイスのV系10曲はトバしてるし。

(……以下脱力省略)


●さいごに……若手ヲタクさんへ

なんてね、昔のヤンチャ語りをするジジババはクソ痛くてめんどくさい、はやくカンオケに入るべき産廃ってのは分かってるんですけどね、要は「楽しかったよ」って言いたいだけなのです。

今現役学生の皆さんは、大人が作った退屈な体制に『表向き』は従って内申点を稼ぎつつ、目の届かないところでは好きなようにやってください。

当時はまだマイナーだった『ヲタク』が、今は海外進出を果たし、あるいはインフルエンサーになっています。大人の言うこと聞き過ぎず、自分がよいと思ったことはどんどんやってください。

私が本当のおばあちゃんになったとき、社会の中核を担うことになる方々がどんな社会を作っているのか楽しみです。

おわり

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