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詩③「海をみにいく」

海をみにいく
 
 退屈そうな夜空が、建設中のビルのうえに、月をのっけている。巨大なハンバーガーの顔をめがけて、ハンドルを切った瞬間、僕たちの背中を渡って行った空が、二度と戻らないことを知ったまま、この道はたしかに続いていくのだろう。
 
 
夜明けの海をみたいと、君が言ったわけではないけれど、朝を待っているのは人間だけじゃないんだぜって、僕がつぶやいたわけでもない。黄金色の空と海のあいだには、生まれたばかりの命が光り輝いている。なにかを探そうとする必要などないはずだから。
 
 
僕らはベンチに腰をかけて、広い空を見ていたら大きな声が出したくなった。誰もいないから思いきり叫びつづけていいと、白い波頭が招くように見えたり隠れたりする。でも、いったい誰にむかって叫んだらいいのだろう。ちぎれた雲?海鳥たち?大きな島影とか?いくら呼んでも振り向きもしなかった真昼の海。
 
 
 

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