最高裁判所は正しいか? 1

 裁判を経験した人は少ないでしょう。最高裁判所の裁判を経験した人は更に少ないと思います。
 最高裁判所の裁判について、新聞で伝えられる以外は知らないという人がほとんどだと思います。
 皆さんに最高裁判所の裁判が果たして正しいか判断してもらいたいと思います。

 民事訴訟においては、上告と上告受理という手続きが最高裁判所の裁判ということになります。その際、両方の手続きを一つにして申し立てる上告兼上告受理申込書という書類を提出することができます。(もちろん、上告と上告受理申し立てを別々にすることもできる)
 最高裁判所が出す結論、「調書(決定)」の内容は、
第1 主文
 1 本件上告を棄却する。
 2 本件を上告審として受理しない。
 3 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。
第2 理由
 1 上告について
  民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
 2 上告受理申立てについて
  本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
というものである。

 どうでしょうか?
 おかしいと思いませんか?

 ここで勘違いして欲しくないのは、最高裁判所は「裁判した」とは言ってないということです。
 「民訴法312条1項又は2項という条件を満たしていないから、裁判しない」と言っているのです。

 まず、最高裁判所が憲法の中でも重要な権利である「裁判を受ける権利」をどの裁判でも利用できるような、紋切り型の、テンプレートである「理由」で拒絶する行為を取ることに衝撃を受けた。
 つまり、最高裁判所は「裁判を受ける権利」を軽視しているということでしょう。
 最高裁判所は「裁判を受ける権利」をこんなに軽視していることがあまり知られていないのではないでしょうか?
 
 以前は「~違憲を言うがその実質は単なる法令違反の主張であり、民訴法312条1項又は2項の規定に該当しない」というような理由であった。
 現在はその以前の理由から後退しているが、以前の理由もまだまだ説明不足である。
 
 まず、「憲法違反の主張」ではないと言っているようです。「憲法違反の主張」の実質というものがあり、単なる法令違反の主張は「憲法違反の主張」から排除させると解釈することができる。
 では、「憲法違反の主張」を法令は定義しているのか、少なくとも民事訴訟法にはない。
 「憲法違反の主張」の定義がない以上、申し立てに「憲法に違反している」という主張があれば、その主張を「憲法違反の主張」ではないということはできないのではないだろうか?
 最高裁判所は定義していない「憲法違反の主張」を何をもって否定できるのか、理解できない。

 「単なる法令違反の主張」の定義もよくわからないが、なぜ「単なる法令違反の主張」が「憲法違反の主張」から排除させるのか、説明不足である。
         つづく

 

 


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