売主側からのキャンセル

去年11月。
入社したての頃、会社はある地主から土地の売却を依頼されていた。

調整区域
宅地の要件なしの山林。

高齢の地主さんは太陽光のパネル設置などの用途として売れる事を期待していたようです。

坪単価1万円。1000坪超。価格は1千万円。

ネットから購入希望の連絡をして来たのは建築関係の会社を経営している外国籍の若い男性。

用途としては重機や機材、車両を置くとの事。

慎重な我が社の社長は
あらゆるツテからその人がどんな仕事ぶりかを
調べた。

何の問題もない方だった。

地主さんにその旨を伝えると
隣接している法人が良いと言われるなら売ってもいいと。

その旨買主に伝えたら、
すぐに設計士に依頼したらしく、
配置図や面積等の図面が届いた。

それを持って隣接の法人へ出向くと
境界にフェンスなどで目隠ししてもらえるなら…
との条件で了承をもらった。
(それも変な話だけど)

約3ヶ月かけてそれら諸々の売買の準備を粛々とすすめた。
いよいよ契約。
契約は持ち回りで、まずは売主の署名捺印をもらう。
その2日後、買主に来てもらい契約業務を行う予定だった。
が。
売主の署名捺印の翌日、買主契約の前日に
売主側からの突然のキャンセル。

理由は、車両の出入りが近隣住民に迷惑になるから。
それでは私どもで近隣の方に事情をご説明してご納得頂ければよろしいでしょうか。と聞いたところ、
次から次へと出てくる。
日本人じゃないからとか
同じ市の市民でもない人の手伝いはしたくないとか
老害にもほどがある。

挙げ句の果て息子が出てきて
認知症気味なのでと。

もちろん買主は納得しない。
せめて謝罪の言葉と、買主が依頼した設計士の費用を負担してほしいと伝えると、それはこちらは知らない、売主の取りやめは自由だと。
いやでもそちらが出した条件(隣の法人の許諾)を成就するために必要だったと伝えると、
それなら10万円は出すがそれ以上は一切出さない。
老害にもほどがある。(2回目)

買主さんは弁護士にも相談しているようで
裁判になる可能性もありますよと伝えると
突然態度が変わった。
それは困ると。
困っているのは買主さんですが。

結局謝罪をする事と、今回の件で買主側でかかった費用は全額負担すると言う事で、買主さんにもご了承頂いた。

最後、買主さんの仕事場に
売主家族と弊社で謝罪に行ったとき、
高齢のためふらつく売主に
咄嗟に手を差し出してサポートした買主さん。
本当に優しくて良い人。
この人のために
代替えとなる土地を
1日でも早く探そう。



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