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「付き合った事、最初に誰に言おう〜」

檻の中から出てみたい。
毎朝起きれば電車に乗り、東京駅の観光客とビジネスマンの間を抜け、会社に向かう。
会社が終われば、同じ道を帰り、帰路に着く。

同じ景色に見飽きた心が東京という名の檻から
抜け出したいと叫んでいる。

いきなり病み切った言葉に、
タイトルとのギャップを感じてしまう。
違う。書きたい事に戻そう。

檻の中から出たい。
これは本当。東京の狭い空から出て
大草原を子供のように走り回りたい。

東京で1番空が広い所どこだろう?
ふと思いついたのが、お台場。
お台場の砂浜で外から東京のビルを見てやろう。
行くと決まると解放されたい心がワクワクする。

新橋からゆりかもめに乗り、
モノレールでレインボーブリッジを渡る。
東京のビルが少しづつ遠ざかり、
5歳児のようにバイバイと手を振りつつも
近づくお台場に胸を躍らせる。

到着。
空が広い。
砂浜ではビーチバレー。
溢れるは家族連れと若者たち。

自分だけよそ者と感じつつも
誰からも見られてない事に心地よさを感じる

夕陽を眺めていると
このままずっとここにいたいと感じるが
そんな淡い期待とは裏腹に夕陽は落ちる

そうだ。映画を見よう。
お台場にある映画館で、大好きな
マーティンスコセッシの映画を観た。

インディアンの土地で、既得権益を守る白人。
何故人は手にしたものを失うのが怖いのか?
何故人を傷つけてまで利益が欲しいのか?
既に裕福なのに家族が幸せなのに、何を望むのか?

人間のドロっとした汚さに不快感を感じつつも
どこか自分と同じ共通項に、自分の虚しさも感じた。

早く映画館を出て、夜景を見て
汚れを洗い流そう!と外に駆け出した。

外から見る東京は綺麗で、
自分の心はドロっとしてる。

外を歩く人は少なく。
少しばかり夜景を楽しむカップル。

楽しい音楽でも聴いてテンションをあげよう。
イヤホンを耳につけようとすると

横を歩いていた高校生ぐらいのカップルの女の子が一言。
「付き合ったこと、まず誰に言おう〜」

自分の汚れた心がふわっと
付き合った直後の幸せを全身で感じる
浮遊感に包まれた。

こんな言葉いつぶりに聴いただろ。
いずれ付き合った事はみんなに知れ渡るのに
まず誰に言おうかと悩む時間。

親?親友?恋愛相談に乗ってくれた友達?

自分今幸せです!
と宣言する言葉。

彼氏はきっと、誰かに幸せを伝えたい
彼女の横顔を見て幸せなんだろうな。

一世一代の告白なんだから。
好きって伝えたんだから。
伝わったんだから。

お金や既得権なんかよりも
きっと、好きな人に好きと言える事
それ以上に大事なことなんてないんじゃないか
なーんて思った、寒空の下半袖姿のtakaでした。

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