「すてきな1日を!」ーTaka
桁増しく鳴り響くアラームに、もうやめてと叫びたくなる気持ちを抑え
ベッドから体を起こす。
朝6時。
体はまだまだ起きていないが、自分で決めたマイルール「6:30-8:30は英語の勉強タイム」を達成すべく、眠い目をこすりながらタイマーを切る。
マイルールを決めたのは2日前。
三日坊主まで残り1日を迎えて、3分の2を達成出来たとまだ3日経っていないが自分を褒めたい。
最近は頑張りたい気持ちとは裏腹にベッドと仲良く朝の時間を過ごしてしまい自分は何と意志の弱い人間なんだと懺悔の日々だった。
考えてみれば、「3日坊主」は日本人が作った最強の言葉かもしれない。
ネガティブなイメージの言葉だが、何かをはじめたら、とりあえず3日やろう。そう駆り立ててくれる、日本文化のコーチのような存在かもしれない。
いいすぎか。
自分に勝てた喜びで迎えた朝。
そして今日はなんともありがたい有給の日なのである。
仕事の日ではなく、休みの日で6時に起きれた自分にさらに喜びがます。
そんな日は折角なら外に行こうと、近くのスターバックスの開店時間を調べ、近くの2店舗がどちも6:30~空いてることに笑みがこぼれた。
単語帳や最近便利さに気づいたiPadを鞄に入れ、家を出た。
マンションから出ると、澄んだ空気と、静かな通り。
普段は車や人通りが多いこの道も、朝は神様が「あなたのために空けておきました」と言わんばかりに、静かで落ち着いている。
たっぷりと空気を吸い込んで、朝日を感じる。
暑い。
最近の茹だるような暑さは朝もかと思いつつも
この誰もいない場所で空気や日光を感じられていること、
こんな都会にもそんな場所があったことを知れて
得した気分で青になった信号の交差点を踏み出した。
近くの2つのスタバのどっちに行こう。
2つのスタバは交差点の反対側。
大きなビルの1階に1つと、路地の端にちょこんともう1つ。
広いのはビルの1階だけど、いつも出社する方向だから
今日はもう1つの普段行かない方に行こう。
今日は自分に勝てたいつもと違う日だ!
そんな高ぶる気持ちでスタバに向かった。
店には本を読むおじさんが1人。
普段は人でいっぱいの店内に、スタバのカントリーサイドな音楽が響き渡り、違うお店のような顔をしている。
注文は、最近ハマっているアイスコーヒー「Ventiサイズ!」
実は今まで貧乏性の自分はトールサイズしか頼んだことがなかった。
しかし、最近誕生日祝いにもらった500円チケットで何を買おうかと悩んだ時にフラペチーノは年のせいか飲めなくなり選択肢から外れ、アイスコーヒーでいいかと値段を見ると、「Venti 480円」丁度いい。
Ventiは量が多くて飲み切れないかも、、、
アメリカ人が飲むものでしょ、、、
時々お店で飲んでいる人がいると、この人アメリカ行ってたのかなと想像していた人にひょんなことから自分がなったのである。
飲んでみるとカフェイン中毒の自分には丁度いいと、それ以後Ventiを頼むようになったのだ。
慣れた口調のように「アイスコーヒーVentiとシュガードーナツ」と注文すると黒紙の綺麗な大学生ぐらいの店員さんが「すぐにご準備しますね。」とほほ笑んでくれた。
自分も支払いをしようと、スタバチケットを準備する。
Apple Walletからボタンをポチポチ押して意外と時間がかかる作業を済ませて、チケットの表示画面をお姉さんに見せた。
するとお姉さんが何やらペンを取り出し、
おてふきに何やら文字をそそくさと書いていた。
なんと書いてあるのかと思いつつ、支払い作業をすませる。
コーヒーとシュガードーナッツが載ったトレーを差し出してくれたお姉さんに「ありがとうございました」と声をかけて、選び放題の席を探した。
席に座り、お手拭きの文字を見ると
「すてきな1日を!」
達筆な文字は、自分の背中を押すような力強さがあった。
英語では「Have a nice day」と家族や友達、カフェやスーパーで言い合うことで人との繋がり、温かみを感じる。
日本でそんな言葉はなく、強いて言うなら「お疲れ様」なのだろうか。
疲れた1日にねぎらいの言葉だから少し違う。
1日の始まりである朝に少しのエネルギーをかけてくれるそんな言葉は日本語にはないのかもしれない。
けれど、お姉さんがくれた文字にはそんな力強さがあった。
話し言葉では伝えられないけど、書き言葉として、ストックしてあるお手拭きではなく、今文字にして伝えようとしてくれた言葉。
伝え方は人や文化でそれぞれだけど、今目の前にいる人に対して
少し背中を押せる言葉を送れる人でありたい。
「すてきな1日を!」
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