<愛美と翔琉の場合 第1話>


伊藤愛実(まなみ)と藤原翔琉(かける)は浜風大学に通うカップルである。
入学当初から友人として行動を共にすることが多かったが、最近ついに交際をスタートさせた。学年の誰もが認める仲睦まじい、できたてほやほやのカップルである。

「今日講義が終わったらご飯でもどう?」
5時限目の講義も残り10分、翔琉は愛実にメッセージを送信する。
翔琉からの誘いに、智花は即座に返信を送る。
「いいよ!この間友達が行ってたお好み焼きのお店に行きたいな」

どこのカップルでも見られる日常的なやりとりである。

そうこうしているうちに、講義が終わる。講義が終わると愛実は翔琉の元に駆け寄り、二人で講義室を後にする。そんな二人の姿を遠くから見ている影に、二人は気がつく余地もない。

食事が終わると、二人は帰路につく。二人で出かける際は翔琉の運転で出かけることがほとんどであり、今日も翔琉がハンドルを握り愛実は助手席に座る。
信号待ちの間、翔琉は愛実の横顔を見る。客観的に見ても整った横顔で、そんな愛実を見て翔琉は幸せを実感する。それと同時に、毎回デートのたびに温めてきた誘い文句が頭の中で響き始める。「このあとうちに来ない?」遊び慣れした男性ならスムーズに言えるのだろうが、女性と初めて交際する翔琉にとってはハードルが高い。
不自然な沈黙が続いたあげく、結局誘えないまま愛実のマンションへ到着してしまった。
「今日はありがとう、また明日も大学でね」
型どおりの挨拶を済ませ、翔琉は帰路につく。着替えを済ませ、シャワーを済ませると翔琉はベッドに横たわる。愛実のことを思うと、疲労もあいまってムクムクと性欲が頭をもたげてくる。そう、女性に対しては奥手な翔琉だが性欲はむしろ強い方なのだ。慣れた手つきで股間へ手を伸ばすと、半ばルーチン化した自慰行為を始める。左手のスマートフォンには、愛実がSNSへアップした写真を保存した画像が表示されている。特にお気に入りは愛実が友人と海水浴へ行った際の1枚だ。知り合いの水着写真というのはキレイに修正されたグラビアアイドルの写真よりもむしろ生々しく興奮を誘う。翔琉はあっという間に絶頂に達する。満足した翔琉はそのまま眠りにつく。

そうして夜は更けていく・・・。

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